音声(voice)を 聞くことが できます。
(Voice:長岡晃広)
「明日 天気(※1)に な〜れ」
今日も 日本の どこかで そんな 声が します。
雨は わたしたちに 必要なものです。
でも 雨が 降ってほしくないときも ありますよね。例えば、運動会(Sports day)とか、海水浴(海で 泳ぐこと)とか、ピクニックとか、外で 何かを したいとき。
「必ず 晴れて 欲しい」
そんなとき、日本人は、天気を 占ったり、可愛い 人形に お願いを したり します。
※1:天気……ここでは 「晴れ」という意味。
お天気 占い(fortune telling)
日本では 昔から、履物(靴など)で 天気を 占っていました。
子どもたちは 夕方まで 外で 遊び、そして みんなで 履物を 空に 脱ぎながら 飛ばしました。
「明日も 外で 遊べるように」と、空に お願いをします。
昔 テレビや ゲームが 無かったとき、雨が 降ってしまうと あまり 遊べないですから、子どもたちは 靴を 飛ばして 占いを しました。
「明日 天気に な〜れ」
そうして、落ちてきた 履物が 表なら 晴れ、横に 立てば 曇り、裏なら 雨になる と信じて いました。
表になるまで 履物を 飛ばし 続ける 子どもも いました。
それでも、どうしても 晴れて 欲しいときには、“てるてる坊主”に お願いを しました。
てるてる坊主は なんですか?
てるてる坊主は、晴れになることを 願って 屋根の 下や 窓などに つるす、紙や 布で 作った 人形のことです。
そのはじまりは、中国の 掃晴女(※2) だそうです。
平安時代に 日本に 伝わり、その姿は 女の子から 坊主(お坊さん:Buddhist priest)に 変わりました。
これは、日本では 雨乞い(雨が 降ってほしい と 神様に お願いすること)や 晴れを 神様に お願いするときなど、天気に 関係する 祈祷(お願いのための お祈り:prayer)を お坊さんが 行っていたからだ と言われています。
てるてる坊主は、元は ナンテンという 悪霊(Evil spirit)を 払う 力を もつ と言われる 木に つるしていました。
そして、晴れに してくれたときには、目鼻や 口を つけたり、頭から お酒を かけたりして 川に 流していました。
※2:掃晴女……箒を 持った 女の子の 紙の 人形。箒は 霊や 幸せを はいて 持ってくる 道具でした。だから、晴れを もってくると 信じられていました。
図:『日本こどものあそび大図鑑』(遊子館)
てるてる坊主は、江戸時代に つくられた 和歌や 物語(story)の 中にも 出てきます。
てるてる坊主に 晴れの日を お願いする やり方は、江戸時代の 中頃には たくさんの 人が 知っていました。
童が 照り照り 法師 いとなみて
(作った 人:東陽)
これは 一茶(※3)集に 載っている うたです。
童(子ども)が てるてる坊主を 作る 様子を うたっています。
大正時代に なると、「てるてる坊主」という 名前の 童謡(子どもが 歌う 歌)が つくられ、国語読本(※4)で 紹介されました。
そうして、日本の 子どもたちが 晴れの日を 願って てるてる坊主を 作るように なりました。
てるてる坊主 てる坊主 明日 天気にしておくれ いつかの 夢の 空の 様に 晴れたら 金の 鈴 あげよ
(作詞:浅原鏡村作曲:中山晋平)
※3:一茶……小林一茶。江戸時代の 有名な 俳人。
※4:国語読本……国が 作った 教科書。全国の 小学生が 使っていた。
てるてる坊主に お願いして みよう
今でも、てるてる坊主を 作る 風習(customs)は あります。
しかし、最初から 顔を 書いて つるす人が 多く なりました。
雨乞いを するために、てるてる坊主を 逆に つるしたり、黒い てるてる坊主を 作る 場所も あるようです。
てるてる坊主の 作り方は 簡単です。
いろいろな 作り方が ありますが、今回は 一番 簡単に 作ることが できる ティッシュの てるてる坊主を 作って みましょう。
1.材料(material)を 準備しよう
材料は 3つだけです。
ティッシュ3〜5枚ほど。(布や 紙でも 大丈夫です)
輪ゴムや リボンなど、てるてる坊主を つるす ひも。
顔を 書くための ペン。
2.形を 作ろう
まず、ティッシュを 2、3枚 丸くします。
そして、それを ティッシュで 包みます。
首を ひもで しばって、結びます。
3.顔を 書こう
顔は 自分の 好きなように 書いて ください。(本当は この時は 顔を かかないで つるします)
あとは、願いを こめて、屋根の下や 窓に つるせば 終わりです。
最後に
梅雨(つゆ)の 時期、雨が 続いて、お日様を みたい と思ったら、てるてる坊主に お願いを してみましょう。
でも、ときどき てるてる坊主も 願いを 叶えられないときが あります。そんなときは 許してあげて くださいね。
そして、願いを 叶えて くれたときには 「ありがとう」と、伝えて あげて くださいね。
参照:
『古典俳文学大系15 一茶集』(集英社)
『民具の事典』(河出書房新社)
『日本こどものあそび大図鑑』(遊子館)
『伝承遊び事典』(黎明書房)