ライター Hiromasa Uematsu
京都最古の禅寺「建仁寺」で、日本の"美"と"禅の教え"に触れる

あなたは"禅"を知っていますか? 京都で最も古い禅寺「建仁寺」で、禅の教えと、日本最高峰の美術品に触れてみましょう。
あなたは「禅(ぜん)」を知っていますか?
禅宗(ぜんしゅう)とも呼ばれる仏教の一派で、座禅(ざぜん:正しい姿勢で精神統一を行う修行)をはじめとする修行を通じて、真理に到達することを目指します。
アップル社のスティーブ・ジョブズ氏が傾倒したことでも知られ、禅は日本やアジアを超えて世界中から注目されています。
京都で最も古い禅寺「建仁寺」

中国で生まれた禅が日本に伝わったのは、13世紀ごろだと言われています。禅の伝え手となったのは、中国で修行した僧・栄西(えいさい)。ちなみに栄西はこの時、日本に「茶」の文化も持ち込みました。
この栄西が創建したのが、本日ご紹介する「建仁寺(けんにんじ)」です。京都で一番古い禅寺(ぜんでら:禅の教えを守り追い求めるお寺のこと)であり、日本で禅の教えが発展する基礎を作った寺院です。
まずは禅宗らしい、無駄のないシンプルな建築と庭園に注目

建仁寺を訪れたら、まずはその建物や、敷地内の雰囲気を全身で感じ取りましょう。
建仁寺の建物に、派手さや余計な飾りはありません。そのためシンプルで清々しい印象を、訪れる人に感じさせます。

拝観者は建物の中から、洗練された日本庭園を鑑賞することもできます。こちらは大雄苑(だいおうえん)。枯山水(※1)の見事な庭園で、この日も多くの拝観者がここで足を止め、物思いにふけっていました。
※1…枯山水(かれさんすい):日本庭園の様式のひとつ。石や砂で、水や山などの自然を表現する。

こちらは潮音庭(ちょうおんてい)。庭を取り囲むように渡り廊下があり、庭園をさまざまな角度から楽しむことができます。
※大雄苑と潮音庭は、拝観料を支払わないと見学できません。
襖(ふすま)に描かれた水墨画の数々が、拝観者を出迎え
受付で拝観料(一般500円、中高生300円)を支払い、お寺の中に足を踏み入れましょう。建物の全域を、自由に見学することができます。
まず注目していただきたいのが、部屋と部屋を仕切る襖(ふすま)に描かれた水墨画(すいぼくが)の数々です。

水墨画とは、紙と墨だけで描く絵画のこと。禅宗とともに中国から伝わり、日本で独自の発展を遂げました。
墨の濃淡やにじみを上手に利用し、墨だけとは思えない豊かな表現力で人や動物、自然を描き切ります。




竹林七賢図(ちくりんしちけんず)や花鳥図(かちょうず)など、建仁寺の襖絵(ふすまえ:襖に描かれた絵)は、日本の重要文化財に認定されているものも珍しくありません。
そんな貴重な美術画が、建仁寺ではガラスケースにしまわれることもなく、そのまま展示されています。建仁寺にお越しの際は、自分の目で直接その美しさをご覧になってください。
いまにも動き出しそう!? 国宝「風神雷神図」

建仁寺に収蔵されている美術品の中でも、特に参拝者を驚かせ感動させるのが、こちらの『風神雷神図』。江戸時代に活躍した俵屋宗達(たわらやそうたつ)の作品です。
2体の自然にまつわる神が向かい合う、躍動感あふれる一品です。後世の多くの芸術家に模写され、日本の国宝(こくほう)に認定されています。

左側で太鼓(たいこ)のバチを構えているのが、白い「雷神(らいじん)」。雷を起こす神様です。リズム感のある筆づかいと、ユーモラスな表情が親しみを感じさせます。

右側で白い袋を手に、宙を駆けているのが、緑色の「風神(ふうじん)」です。手にした袋で風を起こします。力強く足を踏み込み、今にも走り出しそうなほど臨場感があります。
もちろん手を触れることはできませんが、こちらの作品も間近で遮るものなく鑑賞することができます。
法堂を覆う巨大な「双龍図」に圧倒

建仁寺で最も大きな美術品が、法堂(ほうどう)にある天井画です。仏像の置かれる法堂は、やや離れた場所にあります。渡り廊下を抜け一度外に出てから、再度建物の中に入りましょう。

ご覧ください! 天井一面に描かれた、双龍(そうりゅう:2匹の龍)の絵です。こちらは2002年に描かれた比較的新しい作品ですが、その迫力、いきいきとした描写から、すでに建仁寺の目玉のひとつとなっています。
体験教室で禅の教えに触れてみよう!

最後に、建仁寺では、禅の教えに触れられる体験講座を行なっています。
最も気軽に参加できるのが、「写経体験」。仏教の経典を書き写す修行です。費用は1,000円で、所要時間は約45分。参加状況にもよりますが、予約無しで参加することができます。参加希望の方は、当日受付にてご確認ください。
開催時期が制限されてはいますが、「座禅講座」も開かれています。毎月第2日曜日の08:00に開催しており、参加費は無料、予約は必要ありません。終了時刻は10:00前後です。旅行の日程が合う方は、ぜひこちらも参加してみてください。
Information
建仁寺
住所:京都府京都市 東山区小松町584
営業時間:
【3月1日~10月31日】
10:00~16:30(17時閉門)
【11月1日~2月28日】
午前10時~午後4時(午後4時30分閉門)
定休日:12月28日~12月31日
Wi-Fi環境:-
クレジットカードの有無と種類:無し
言語対応レベル:日本語
他言語メニューの有無:パンフレットあり(日本語、英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語)
最寄り駅:京阪電車「祇園四条駅」、阪急電車「河原町駅」
アクセス:「祇園四条駅」より徒歩7分、阪急電車「河原町駅」徒歩10分
拝観料: 一般500円、中高生300円
宗教情報:仏教
電話番号:075-561-6363
公式HP:建仁寺