ライター MATCHA

日本のことば事典「城下町」
日本の町のいち形態である「城下町」の魅力と有名な城下町を紹介城下町は大きなお城を中心に、それを囲むようにできた町です。姫路や名古屋などの城下町では、現在でも当時の様子を偲ばせる遺構、侍の時代を思わせる凛とした雰囲気が漂っています。
「城下町」とは、都市の形態のひとつ。日本の戦国時代から江戸時代にかけて、それぞれの地域で領主の居城を中心に発達した町のことです。
城下町にはどんな特徴があるの?

【姫路城】城巡りがもっと楽しくなる!日本の城の見所ベスト7より
城下町には城の防衛施設としての役割があるため、あちこちに防衛のための工夫があります。たとえば堀(城の周りなどを掘って水を張ったもの)、土塁(土を積み上げて築いたとりで)や石垣、隙間なく立ち並ぶ家屋、袋小路(行き止まりになっている小路)なども、敵の侵入と城への到達を防ぐための構造です。

また、城の周りには侍が住む武家町、その外側には商人が住む商人町、寺院を集めた寺町など、身分や職業ごとに町の名前が区分されていたのだとか。呉服屋があつまる町として栄えた福岡県の呉服町も、当時のなごりのひとつです。

城下町の多くには、城下町としての区画や街並み、古い武家屋敷が残っており、江戸時代以前の面影が色濃く感じられる都市は「小京都」と呼ばれることも。古くからの祭りや風習が守り伝えられていることも多く「殿様のおひざ元(殿に仕える側近)」として栄えたプライドとともに凛とした雰囲気が感じられます。
古い時代の面影が色濃く残る景観

幕末の志士も駆け抜けた? レトロな魅力たっぷりの伏見・竜馬通り商店街を巡るより
昔の雰囲気を味わうなら、やはり古都・京都。伏見城や二条城などの城下には、歴史的に価値のある有名なスポットも数多くあるため、当時に近い姿を楽しむことができます。

兵庫県の姫路市も、白鷺城(しらさぎじょう)として有名な姫路城を中心に発展した城下町。400年前から破壊されることなく残されてきた貴重な城は、保存修理工事を終えたばかり。今なら当時のままで白く輝いた白鷺城を、城下から仰ぐことが可能です。

石川県の金沢市は、裕福で有力な領主のもとで栄え、日本3庭園のひとつといわれる兼六園もある城下町。第二次世界大戦の戦火を免れ、当時の姿を残す武家屋敷などが見所です。
参考記事:【石川県】歴史的風情が残る町、金沢観光でやるべき4つのこと
参考記事:日本三名園の一つ、金沢「兼六園」の美しき世界
そのほか、大阪市、名古屋市、仙台市といった大都市も実は城下町。小京都と呼ばれるような、雰囲気の濃い城下町には、新潟県加茂市や福井県小浜市、兵庫県龍野市や広島県尾道市などがあります。

とはいえ、城下町の魅力は城や武家屋敷などの歴史的建造物だけではありません。伝統工芸や、酒造りなどの食文化、長く続けられてきた風習など、城下町ならではの文化が脈々と受け継がれています。また、当時の学校が博物館や資料館になっている場合もあり、雰囲気いっぱいの空間で町の歴史を学ぶチャンスも。
ほかの町とはひと味違う楽しみ方ができる城下町。ゆっくりと流れる時間の中、観光や食事を楽しみながら散策し、日本らしい風情をたっぷりと満喫してはいかがでしょうか。