ライター Osawa Kumi
タコ焼きと似て非なるもの。兵庫県名物、ふわふわトロトロの「明石焼き」って?

兵庫県明石市は、瀬戸内海に面した美味しい海産物の穫れる町。そんな明石市の名物が、地元特産のタコを使って作る、タコ焼きによく似た"明石焼き"。地元の名店「てんしん」の明石焼きを紹介します。
兵庫県南部に位置する明石(あかし)市。瀬戸内海に面したこの街は、タイやタコなど海の幸で有名です。今回は、明石でもとびきり美味しいタコが獲れる二見(ふたみ)という地域から、タコを使った「明石焼き(あかしやき)」の名店をご紹介します。
関西を代表する食べ物「タコ焼き」は、小麦粉を練った生地にタコやネギ、生姜などを入れて焼き、ソースで食べます。一方、明石焼きは、生地に入れる卵の量が多く、中はトロトロの状態で、ソースではなくだしつゆで食べます。
※明石焼きは、地元では玉子焼きという名称で親しまれていますが、ここでは明石焼きの名称を使います。
大阪・梅田から阪神電鉄の山陽姫路行き直通特急に乗り、約70分。乗り換えなしで東二見(ひがしふたみ) 駅に到着です。

駅の改札を出て左に歩き、北側の階段を降りて東に向かいそのまま1〜2分歩くと、明石焼きの名店「てんしん」が見えてきます。

3代続く創業50年の老舗で、お昼時ともなれば、お店の外に順番を待つ人の列ができるほどの人気店です。右側の窓からは、お持ち帰り(テイクアウト)もできます。

カウンターとテーブルのこじんまりしたお店の内部は、地元の常連さんや、味の評判を聞きつけて遠方から食べに来るお客様で賑わっています。
できたての明石焼きは最高の美味しさ!

では、さっそく注文してみましょう。お値段は15個で550円、玉子の量が多い特上が580円と、とてもリーズナブル。

明石焼きは、傾斜のついた木の板に盛られています。その理由は、食べやすいように、洗いやすいように、など諸説あるようです。

明石焼きの特徴のひとつは、ソースではなく、刻みネギを入れただしつゆにつけて食べる点。あっさりしていて、お腹にもたれず、いくらでも食べられそうです。
明石焼が焼きあがるまで

明石焼きの材料は、粉と卵をだしで溶いた生地(きじ)と、中に入れるタコ。使用する粉は、じん粉(うき粉)と呼ばれる粉を使うお店が多いのですが、てんしんさんではお店特製の粉を使っているそうです。だしは、かつおぶしと昆布から丁寧に取られたもの。タコはもちろん二見産の新鮮なマダコを使っています。

熱々の焼き器に混ぜ合わせた生地を流し込んでいきます。

小さく切ったタコをひとつずつ入れて、生地がやわらかいうちにお箸を使ってくるくると返します。

火が通ったら、焼き器の上に、持ち手の付いた木の板を当てて……。

板を当てて、ひっくり返せば出来上がり。そのまま木の板がお皿替わりになり、テーブルに運ばれてきます。

外はパリパリ、中はふっくらしっとりの明石焼きの秘密のひとつは、熱伝導のよい銅製の焼き器。明石に1人だけの職人さんが、銅板を打ち出して作っています。ちなみに写真のような色なのですが、使っている内に真っ黒に変色していくのだとか。
美味しい二見タコの秘密

明石で穫れる、通称「明石タコ」は全国的に有名な特産品。特に二見地区で獲れる二見タコの美味しさは、料理人やグルメの間に知れ渡っているそうです。足が短くて太い二見タコは、噛めば噛むほど旨味が出て、ほどよい弾力と柔らかさを感じられる素晴らしい素材。その秘密は、潮流や海底の土壌、エサとなる貝、海に流れ込む川の水質など、様々な好条件が重なった結果だそうです。ふわふわの生地に入れると、明石焼きに心地よい食感を加えてくれます。そのままでももちろん美味しい食材ですが、明石焼きとの相性は最高です。

今回明石のタコについて詳しく教えてくださったのは、二見の街づくりに尽力されている二見商友会会長の神代(じんだい)さん。近年日本では漁業資源の減少が懸念されていますが、二見のタコの漁獲高は以前と変わらず豊かなままなのだとか。こうした名産品を通じて、地域を活性化し、その美味しさを多くの人に伝えたいとおっしゃっていました。

地元ならではの美味しい明石焼きを食べに、とっても明るいてんしんの店長さんに会いに、ぜひ二見まで足を伸ばしてみてください。
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