【ゆふいん】湯の坪街道を外れて。若葉と野花が彩る「裏道」さんぽ
湯の坪街道の賑わいを離れ、みずみずしい新緑と道端の野花を五感で楽しむ初夏のゆふいん裏道散歩。美しい木漏れ日や竹林、風が育てた花々に囲まれ、雄大な由布岳を望む牧歌的で本来の姿に癒やされる旅へご案内します。
目に鮮やかな新緑が迎える裏道と、深く静かな杜

ゆふいんの花といえば、春に大分川沿いを鮮やかに彩る「桜と菜の花の並木」を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろんあの華やかな景色も素晴らしいものですが、実は、本当にゆふいんらしい、のどかで瑞々しい風景に出会えるのは、生命力あふれる若葉が街を包み込む「新緑の季節」です。
いま、ゆふいんの裏道に一歩足を踏み入れると、しっとりと苔むした古い石畳の坂道や、サラサラと音を立てる竹林、そして青々とした「青もみじ」が美しい古き杜(もり)が出迎えてくれます。風がそよぐたびにキラキラと光を弾く若葉のグラデーションは、この季節だけの特別な美しさです。
今回は、あえてメインストリートを外れ、偶然の出会いを楽しみながら歩く「裏道の野花めぐり」へとご案内します。そこに待っているのは、誰かが狙って植えたものではない、風と雨が育てたたくましくもちいさな生命(いのち)たちです。
線路沿いや石垣の隙間に見つける、自慢の色彩

アスファルトから土の道へと変わる境界線や、線路沿いのちょっとした空き地。じっと足元を見つめてみると、そこには驚くほど鮮やかな色彩が息づいています。
古い石垣のほんのわずかな窪みに根を張り、パキッとした紫紅色の花を咲かせるもの。線路沿いの斜面で、昔からそこが定位置だったかのように、初夏の陽気を吸い込んだ黄色を誇らしげに振りまくもの。
そして、どこかの庭から風に乗ってやってきたのか、緑のフェンスを背に、紫ピンクとレースのような白い花が、まるでお互いを引き立て合うように寄り添って咲いている場所もあります。
これらはすべて、手入れをされているわけではない自然の落とし物。風が種を運び、この土地の豊かな水が育てたつくりたてのギャラリーです。
日陰の特等席を探して歩く、たくましい生命力

さらに奥へと進み、民家の生垣や古い石垣の続くエリアへ。今度は少ししっとりとした日陰のなかで、自らの力で居場所を見つけた花たちに出会えます。
ゴツゴツとした岩肌を覆うようにこんもりと優しいピンクを宿すものや、大きな石の足元、アスファルトとの境目からひょっこり顔を出す濃いピンクの小さな花。そして、木陰の涼しい場所を選んでひっそりと佇む、深みのある紫の花。
「よくこんな場所に根を張ったね」と思わず感心してしまう場所ばかりですが、次から次へと新しい蕾を開くその姿には、人間の心配をよそに、この土地にしっかりとしがみついて生きる芯の強さが宿っています。
あぜ道に広がる初夏の薫りと、緑の山並み

裏道を抜けて、田んぼのあぜ道やパッと視界が開けた場所に出たら、ぜひ周囲を見渡してみてください。
足元には、細やかな白い細工をちりばめたような花が緑の中にこぼれ落ちるように群生し、見上げれば、新緑の梢に雪が積もったかのように真っ白な小花を咲かせる木や、白から黄色へとグラデーションを描く蔓草が。風が吹くたびにどこか甘い香りが鼻腔をくすぐり、歩く足をそっと癒やしてくれます。
そして視線を遠くへ移すと、由布の山並みを背景に、堂々とそびえ立つ背の高い大輪。クリーム色の鐘形の花を鈴なりにつけたその姿は、この静かな裏道の移り変わりをずっと見守ってきた主のようでもあります。
ただ歩くだけで心地いい、ゆふいんの本当の魅力

お土産選びや食べ歩きも旅の醍醐味ですが、ただ目の前の花をそっと眺め、風の音を聞く。そんな時間を過ごせるのも、ゆふいんの隠れた魅力です。
どこからか種が飛んできて、一生懸命に咲いている花たちを眺めながら歩く道。ふと見上げれば、青々とした田んぼの向こうに雄大な由布岳がそびえ、遠くからはかすかに、のどかな里山のせせらぎや鳥のさえずりが響いてきます。
それらが織りなす絵画のような牧歌的風景こそが、きっと、いつまでも心に残る「由布院本来の姿」です。
由布岳の見えるまち・大分県由布市のとっておきの旅情報をお届けします。 憧れの由布院温泉をはじめ、ノスタルジックな湯平温泉、開放感あふれる塚原高原、そして由布川峡谷や男池湧水群といった神秘的な自然まで。宿泊・グルメ・自然体験など、地元が自信を持っておすすめするスポットを厳選してご紹介します。