ライター Norihisa Hasegawa
【大分県杵築市】300年続く味。お殿様が愛した「鯛茶漬うれしの」

江戸時代から続く町並みが魅力の大分県杵築市。町並み以外にも、古い文化や風習がいまも息づいています。本記事では300年前から愛されてきた伝統料理、若栄屋の「鯛茶漬うれしの」を紹介します。
江戸時代の雰囲気が色濃く残る町並みを、和服で楽しめることで旅行者からの人気が高まっている大分県杵築市。
この城下町・杵築に、過去のお殿様が愛してやまなかった「鯛茶漬(たいちゃづけ)」があります。今回は、江戸時代から300年以上も愛されている「鯛茶漬うれしの」の味と魅力を紹介します。
1698年から続く老舗料亭「若栄屋」とは
殿様も愛した鯛茶漬けを味わえるのは、城下町杵築で1698年から続く老舗料亭「若栄屋(わかえや)」です。現在は後藤源太郎さんが、16代目当主として鯛茶漬けの味を守り続けています。
日本食を提供する料亭ですが、必ず食べて欲しい名物料理は「鯛茶漬うれしの」です。
名物「鯛茶漬うれしの」
一般的な鯛茶漬けとは、温かいご飯の上に鯛の切り身を乗せて、ダシをかけて食べるというシンプルなもの。杵築市の鯛茶漬けは、ゴマだれに漬けた鯛を使い、ダシではなく日本茶をかける点に特徴があります。これは、秘伝のゴマだれの味を堪能してほしいからだそう。
使用する材料が少ない分、素材やタレが料理の味を決める奥深い料理です。
「うれしの」という名前がつけられた由来は、杵築城のお殿様が体調が悪い時に若栄屋の鯛茶漬けを食べて「(美味しい鯛茶漬けを食べられて)うれしいのぉ」と口にしたことからなんだとか。
受け継がれる秘伝の味
味の決め手は、鯛を漬ける秘伝のゴマだれ。創業時から代々の当主が味のベースを守りつつも、ゴマや醤油の量を調節することでその時代に合ったゴマだれの味を定めて受け継いでいます。
一般的な鯛茶漬けには、出汁をかけることもよくあるのですが、若栄屋ではゴマだれの風味を消さないように、薄めのお茶をかけるというこだわりもあります。
体が喜ぶやさしい味わい。実際に食べてみた
料理が運ばれてきたら、まずは熱々のお茶をかけて蓋をして3秒待ちましょう。この工程を入れることで、鯛がよりふっくらして美味しくなります。
お茶漬けは音を立てて食べてもよい料理なので、口の中に一気に流し込んでみましょう。濃厚なゴマの風味とあっさりした鯛の味が口一杯に広がり、あっという間に食べてしまいました。体調を崩したお殿様が「うれしいのぉ」と言ったことも納得の味です。
確実にうれしのを食べるなら予約がオススメ
今回紹介した若栄屋さんですが、能舞台を備えた大広間や落ち着いて食事をしたい方向けの個室など様々な部屋があります。ランチタイムはとても混み合うので、事前に予約をしておくとスムーズに食事ができるのでオススメです。
杵築の魅力とは
最後に後藤さんに杵築の魅力についても聞いてみました。「杵築の魅力は本物です。アトラクションや造り物でもなく、江戸時代から続く町並みや伝統のあるお店の数々。和服を着て本物の江戸時代を体感できることが最大の魅力です!」と熱い思いを語ってくれました。
ぜひ、大分県杵築市に足を運んで江戸時代にタイムトリップしてみてください!