ライター Atsuko Yagura
【雨の日】京都「両足院」で座禅体験。雨音すら聴こえない境地へ

建仁寺両足院で座禅体験をしてみましょう。
忙しく過ぎ去る日常。ホッと一息つく間もなく時間は流れ、ついイライラしてしまうこともありますね。しかも6月は雨の多い時期。窓の外に目をやるたび、「今日も雨か」と憂鬱な気分になるかもしれません。
そんな時には呼吸を整え自然と一体になる坐禅をしてみませんか? 鬱陶しいと思っていた雨も、きっと耳に心地良く聴こえるはずです。
60分の坐禅体験に行ってみよう

場所は京都、祇園の街中にある建仁寺両足院。時刻は朝の8時30分。門をくぐった瞬間、まどろみが不思議と消え去り、自然と背筋が伸びます。
坐禅体験の受付をすませ、本堂に移動。中庭に向かって二列に並べられている座布団の一つに座り、時計やアクセサリーを外して準備を整えます。

写真:両足院公式HP
坐禅体験の時間は60分。最初の25分は、足や手の組み方や目線、呼吸に仕方についての説明があります。 次の25分で坐禅を行い、最後の10分はお茶を頂きながら法話に耳を傾けます。

写真:両足院公式HP
両足院の座禅の組み方とは?
坐禅というと決まった姿勢を取り、じっと我慢をする修行を想像してしまうかもしれません。そしてピクリと動いてしまうと棒でバシっと叩かれる、というイメージが一般的ではないでしょうか。
ですが、実際は全くそんなことはありません。無理をせず、リラックスできるように脚を崩しても良いしく落ち着ける型を見つけることが大事とのことでした。

写真:両足院公式HP
坐禅開始の鐘の音を受け、ひとつ、ふたつとゆっくりと数を数えていきます。目の前にはしとしと雨が降る日本庭園、そして耳に心地良く響く雨音を聴きながら不思議と落ち着いてくるのがわかりました。
途中、どうしても雑念が入ったり集中できない時は、こちらからご住職に向かって合唱し、肩から肩甲骨にかけての辺りをパシパシッと2回ずつ叩いてもらいます。痛くはありますが、身体が芯から引き締まる心地良い痛さです。最初はビビっていましたが勇気を持って申し込んで良かったです。
こぼれ話

最後に、ご住職に伺った興味深いお話を一つ紹介させて頂きます。
坐禅中には、普段どうでもいいことや気にしていないことがぐるぐると頭を巡り、なんとなく落ち着かなくなることがあります。例えば「足が痛いな」や「あ、虫が飛んでる」など。
そんな時には「ふーん」とだけ思えばいいそうです。「足が痛いなー。ふーん」。どうでしょう。思い浮かんだこともすーっと消えていきませんか?
ちなみに余談ですが、筆者はこの考え方をフルマラソンを走った時に実践しました。30kmを越え、もう足が痛いし重いし止まりたい!と雑念が出てきた時に、その都度「ふーん」とやり過ごし、結果なんとか完走することができました。ご住職に感謝です。
雨の日の座禅のすすめ

話が逸れてしまいました。
たった一時間。しかしこの坐禅体験を終えた時はすごく気持ちが落ち着き、心なしか身体も軽く感じました。坐禅を体験する時、夏の陽射しに煌めく庭園を見ながらの坐禅も爽やかで良いでしょう。しかし雨音を聴きながら自然に溶け込んでいくような坐禅もとても風流ではないでしょうか。
興味を持たれた方はぜひ坐禅体験に参加してみてください。雨音に耳を澄ませながら、ひとつ、ふたつと数を数え、坐禅を組んでみると心のアクが落ち、雨の日に晴れ晴れとした気持ちになれそうです。
Main image courtesy of Pixta