殺生石

一面に岩石が転がり、荒涼とした風景が広がる景勝地である殺生石。「九尾の狐」にまつわる伝説が残る史跡としても知られています。辺りには硫黄の匂いが立ち込め、独特の雰囲気を醸し出しています。整備された遊歩道は那須高原展望台まで続き、那須湯本温泉からも近くの場所にあるので、温泉街に泊まる観光客に人気のスポットとなっています。殺生石は不思議な力を持つパワースポットであり、日本の中でもとても珍しい風景を見ることができます。 ●「九尾の狐」伝説とは 九尾の狐とは、古代中国から伝わる尾が九つに分かれた狐の妖怪です。世界的に人気のアニメ「ポケットモンスター」に登場するキャラクター「キュウコン」は、この妖怪をモチーフとしています。 明の時代に書かれた中国の伝奇小説『封神演義（ほうしんえんぎ）』では、殷の紂王（いんのちゅうおう）の寵姫・妲己（ちょうき・だっき）に化け、王を惑わせる妖怪として登場しています。 日本では、能の「殺生石」に登場します。平安時代後期、美しい悪女・玉藻前となり、時の帝（みかど）である鳥羽上皇を翻弄する妖狐の物語に、江戸の人々は夢中になりました。小説や歌舞伎などさまざまな芸能で語り継がれています。