【丹波篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート

街角からふいに、武士と着物姿の女性が現れ、下駄や草履の音が街中に響く――。そんな光景を今も見ることのできそうな歴史的な街並みが、兵庫県丹波篠山市には残っています。篠山城、古民家カフェ、城下町をめぐるモデルルートで、丹波篠山を存分に楽しみましょう!

イメージしてみてください。木造の伝統的な和風住宅が立ち並び、古城の高さを越える高い建物もない、400年以上も昔の姿のままの残る街を。

街角からふいに、武士と着物姿の女性が現れ、下駄や草履の音が街中に響き渡る――。そんな光景を今も見ることのできそうな歴史的な街並みが、兵庫県丹波篠山市には残っています。丹波篠山市は日本遺産に認定されており、丹波篠山の400年の歴史を伝承しているのです。

丹波篠山について

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

兵庫県中部のやや東に位置する丹波篠山は、かつては「丹波国(たんばのくに)」と呼ばれ、都の置かれていた京都に向かう際に必ず通る立地だったため、歴史上の要所とされていました。

16世紀には将軍・徳川家康の命令で篠山城が築城されました。篠山城の大書院(※1)は京都の二条城と極めて似た造りで、都である京都以外にこのような高規格の建物が作られた例はあまりありません。

※1:大書院(おおしょいん)……書院造りの御殿。書院造りとは、上流階級の邸宅でよく採用された住宅様式のこと。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

2015年、丹波篠山のその建築や歌謡、文化などを含んだ街全体が日本で最初の「日本遺産」に認定されました。

丹波篠山の街に一歩足を踏み入れると、歴史回廊を渡ったかのように、時空を超えた旅に向かうことができます。

着物を着て、時空散策へ

【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート

歴史的な丹波篠山の雰囲気を深く味わいたいなら、伝統的な服装である着物以上に最適なものはありません。着物に着替えて保存された古い町並みを進めば、自分もその風景に溶け込んで、よりよい思い出を作ることができるでしょう。

丹波篠山唯一の着物レンタル店 「花菱」

【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート
【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート

篠山城下町にある、古民家を利用した着物レンタル店「花菱」。丹波篠山市内では、現在唯一の着物レンタル店です。規模こそ大きくはないですが、着物の着付けに必要な設備はすべて備わっています。お店に入ったら、まずは1Fでお好みの花柄と帯を選び、次は髪飾り、カバンと草履を選びましょう。すると着付師の方が2Fまで案内してくれるので、いよいよ着物姿に変身です!

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畳が敷かれたお部屋で着替えができたら、簡単なヘアメイクもしてもらえます。また、着物を着たままでのトイレの仕方も教えてもらえるので、忘れずに聞いておきましょう。

自分の洋服と貴重品以外の手荷物は無料でお預かりできますが、スーツケースのお預かりはオプションで500円となっております。これで準備は万端です! ここからは、篠山市散策のオススメスポットを紹介します。

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花菱

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1. 丹波篠山の中心 篠山城跡

乱世を治めた徳川家康は各地の大名の力を削るため、「天下普請(てんかぶしん)」と呼ばれる土木工事の命令を出し、各地の大名に金銭と資源の供出を要求しました。この天下普請により、各地に城郭を建築したり修復したりしたのです。篠山城もこのときに誕生しました。

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篠山城は、築城の名人・藤堂高虎(とうどう たかとら)の手によって設計されました。大阪城の包囲を目的として築かれた実戦的な城で、戦いの備えは万全。しかし篠山城には天守台(てんしゅだい)と呼ばれる石垣造りの台座はあるものの、そのうえに建てられる天守(てんしゅ・木造の重層建造物)は造られませんでした。一方で戦乱後の世を見据えた城でもあり、平地に築かれ、政治の中心となるように造られたのです。

歴史ある風格 大書院

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

大書院は篠山城の核となる建物です。面積が広いだけでなく、風格のある外観や金色に輝く内装は、京都の二条城の二の丸御殿に極めて似ています。ここから篠山城の地位が高いことをうかがい知ることができます。唯一の違いはその屋根の上に金ではなく漆が塗られていること。ここから大書院には素朴なよさを感じられます。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

残念なことに本来の大書院は1944年の火災で消失し、現在の大書院は2000年に再築されたものです。多くの資料を細大漏らさずに参考にし、大書院はその美しさを取り戻しました。

丹波篠山市では、篠山城よりも高い建物は建てることができません。篠山城と空が綺麗に溶け合うように、その景色を保っているのです。現存する天守台から城下町を

【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート
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篠山城は日本の100名城であるだけではなく、日本の桜名所100選の1つでもあります。1,000株以上の桜が城跡を囲んでおり、毎年桜が満開になる4月には、桜祭りが行われます。花見をしながら歌を歌う人もいて、賑やかな城の姿を見ることができます。

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篠山城 大書院

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2. 城下町散策 古民家茶房

広大な篠山城を見て回ると、足も疲れて来るでしょう。そんなときは、おなかを満たして元気を出すのがオススメ。丹波篠山の城下町にはいたるところに古民家を改装したお店があり、おみやげ品や名産の丹波焼の陶器を販売する店、カフェなどが軒を連ねています。

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訪れたのは篠山城の南西角(徒歩10分)にある、古民家茶房「岩茶房 丹波ことり」。丹波篠山地区で人気のお店です。

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「岩茶房 丹波ことり」はかつて武士が住んでいた屋敷を改修して造られました。元の建物を活かしながらも、若い店主のおもむきのある装飾によって、あたたかみが増しています。

【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート
【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート

店主の父は丹波の作陶家であり、店内には父の作品が展示されています。また、店内で使われる茶器などにもその作品が用いられています。

【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート

和風なたたずまいの茶房ですが、提供しているのは中国の稀少な岩茶と自家製のスイーツと点心。さらにビスケットなども売っていて、厳選した食材を用いたスイーツは特に人気があり、その味を目当てに訪れる方も多くあります。

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岩茶房丹波ことり

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3. 武家屋敷群と青山歴史村

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策
【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

おなかが満たされたら次の旅程へと進みましょう! 「岩茶房 丹波ことり」の近くには篠山武家屋敷群があります。ここはかつて武士たちが生活していた地域で、その中の一つが現在は「武家屋敷 安間(あんま)家史料館」となっています。ここでは、昔の武士たちの日常生活の様子を垣間見ることができます。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策
【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

またここは写真撮影スポットにもなっています。着物を着て撮影すると、この建物の古きよき雰囲気と相まって時空を超えた写真を撮影できるでしょう。

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武家屋敷安間家史料館

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【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

「青山歴史村」は、かつて篠山を治めていた青山家の別荘で、現在は歴史資料館となっています。青山家に関係する書物を展示していて、他にも「日本遺産のまち 丹波篠山」を紹介する「丹波篠山デカンショ館」があります。

2015年、丹波篠山市が申請した「丹波篠山デカンショ節 民謠に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」は、日本遺産に認定されました。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

デカンショ節は江戸時代の丹波篠山地区の民謡が起源とされます。1年間一生懸命働いた農民たちがこの日だけ休息を取ることができたため、一日中歌を歌い、心から楽しむ様子が表現されています。明治時代になり、丹波篠山出身の学生から偶然東京大学の学生に広がり、日本各地に広がっていきました。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

歌詞は篠山城から始まり、丹波篠山の特産、文化、技術が歌詞に組み込まれています。歌が伝わっていく中で、その当時発生した大小さまざまなことを理解することができ、歴史の記憶も同時に伝えられていきます。

現在は毎年8月15、16日に丹波篠山城跡で丹波篠山デカンショ祭が行われ、次の世代へと引き継がれています。

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丹波篠山市立青山歴史村

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4. 城下町でほろ酔い気分を楽しむ 鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策
【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

丹波篠山の歴史を聞いた後は、丹波篠山の歴史の味を楽しみに行きましょう! 「鳳鳴酒造(ほうめいしゅぞう)ほろ酔い城下蔵」は江戸時代に創業した220年の歴史を有する酒蔵で、現在もそのままの形で保存され、当時の酒作りの知恵と過程を見ることができます。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

またここでは丹波篠山の地酒を試飲することもできます。恥ずかしがることなく何杯も試飲して、自分のお気に入りを見つけましょう!

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鳳鳴酒造(株) ほろ酔い城下蔵

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5. さらに時空を超える 河原町妻入商家群

丹波篠山の地酒を楽しんだ後は、さらに時代を超え、河原町妻入商家群(かわらまち つまいりしょうかぐん)を散策しましょう!

【篠山のんびり旅】篠山城、古民家カフェ、城下町散策を楽しむモデルルート
【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

ここは篠山城の東に位置する長さ約500メートルの通りで、江戸時代から続く伝統的な家屋が連なっています。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

妻入(つまいり)の妻とは、建物の棟に対して垂直な方向の側を言い、妻入りとは妻のある面に出入り口を設けた建築様式のことです。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策
【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

丹波篠山市では建築物の保護が行われており、この伝統的な街並みを保全しています。一度足を踏み入れると時空を超えた、昔の世界にやってきたような気分になるでしょう。

いたるところに白壁と木材が美しい伝統的な建築物があります。手を凝らした小さなお店が、まるでかくれんぼをしているかのようにあなたに発見されるのを待っていますよ!

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

通りの中で最も目を引かれたのが、こちらの可愛い雑貨屋さん「ハクトヤ」です。建物は200年の歴史がある古民家で、店主は神戸からやって来た明るい女性です。この古民家が気に入り、毎日約3時間の移動時間をかけてやって来ているそう。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策
【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

お店に置かれている雑貨は世界各地から集められたもの。ヨーロッパからのものや、アメリカやアフリカのもの、そして日本各地の工芸品も販売されています。もちろん、丹波篠山の丹波焼も置かれていますよ。

写真のツバメが描かれたコーヒーカップは、店主のオススメ。柔らかく素朴なデザインで精巧なツバメと椿の花があしらわれており、目を惹きつけられます。

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

古民家にマッチするように雑貨が並べられているので、雑貨好きにはたまりません。丹波篠山へやって来るなら見逃せないお店です!

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

雑貨ショップを堪能したあとは、町並みの写真を撮って記念にすることをお忘れなく! この地区の建物の保存のレベルはとても高いので、歴史オタクの旅行者の目を必ずや満足させてくれるはず(筆者が保証します!)。

太陽が傾く西日と相まって、着物、石畳、古民家がどれも美しくSNSのトップ画に使いたくなること間違いなし! この風景を思い出に残したくないという人はいないでしょう!

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河原町妻入商家群

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6. 丹波篠山の千本鳥居 王地山稲荷神社

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

河原町の妻入商家群からほど近くに稲荷神社があります。入り口から本殿まで無数の真っ赤な鳥居が置かれる「王地山稲荷(おうじやまいなり)神社」は、別名「まけきらい稲荷」とも呼ばれています。江戸時代には、丹波篠山出身でこの稲荷の名をとった力士8名が連勝を重ねたという伝説もあり、パワースポットとしても人気を集めています。

もちろん赤い鳥居と着物も見事にマッチするのでここでも記念撮影も忘れずに!

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王地山まけきらい稲荷

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7. 食べなかったらもったいない! 丹波篠山名物「ぼたん鍋」

【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅

丹波篠山の名物として有名なのが「丹波黒」と呼ばれる黒豆のほかに、「ぼたん鍋」があります。

【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅

「ぼたん鍋」とは「いのしし鍋」のこと。丹波篠山は四方を山に囲まれていることから、いのししが多く、いのしし猟が行われています。「ぼたん」と呼ばれるのは、いのしし肉をぼたんの花のように盛り付けたことや、鍋に入れたときに煮えた肉がぼたんの花びらのように見えることに由来しているのだとか。その他にも、花札(花の絵柄を合わせて楽しむ日本のカードゲーム)と関係があるとも言われています。

【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅
【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅

こちらの「いわや」のぼたん鍋は、丹波篠山の名物の一つ。茅葺屋根と囲炉裏のある趣のあるお店で、炭火でコトコト煮込んだぼたん鍋をいただくことができます。

【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅
【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅

新鮮ないのしし肉は脂肪が多く見えますが、油っぽくありません。みそベースで煮込んだいのしし肉はやわらかくも噛み応えがあり、他の肉とは違った美味しさがあります。

【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅

こちらで提供されているお米(丹波篠山コシヒカリ)や季節の野菜の多くは、店主が自ら育てたもの。大自然の美味しさをお客さんに提供しています。

【篠山モデルコース】800年の伝統をもつ丹波焼を体験し、古民家に泊まり、窯元を自転車で巡る旅

いのしし肉を楽しんだあとは旨味が詰まったスープに卵を落とし、お米(丹波篠山コシヒカリ)にのせて、「玉のせご飯」をいただきましょう。風味が豊かで、ぼたん鍋の完璧なシメとなります。

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丹波篠山囲炉裏料理 いわや

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住所:兵庫県丹波篠山市火打岩495-1
営業時間:11:00~ (20:00オーダーストップ)
定休日 :4月~9月(毎週木曜日) 10月~3月(無休) 12月31日、1月1日休み
クレジットカードの有無と種類:無
言語対応レベル:日本語
他言語メニューの有無 :英語、中国語
アクセス :JR福知山線「篠山口駅」よりタクシーにて約20分
料金: 3,900円~ ぼたん鍋は11月初旬~3月下旬まで提供します。 予約制です。
電話番号 :079-552-0702(代)・4071
公式HP :丹波篠山囲炉裏料理 いわや  http://www.iwaya-yosaku.com/

まとめ

【篠山漫遊】和服、城跡、古民家 400年の城下町散策

着物から元の洋服に着替えると、今回の時空を超える旅は終了。でも、街を歩くと古民家が建ち並んでいる姿が見られ、旅はまだ終わっていなかったんだなと気づくはずです。

丹波篠山は時代を超えた旅を楽しめる珍しい場所。ひとたび足を踏み入れれば不思議と足が軽くなり、もっともっと丹波篠山の魅力を知りたくなるでしょう。伝統的な日本を体験してみたいなら、ぜひとも丹波篠山に行ってみることをオススメします!

丹波篠山市の観光に関するお問合せ先

篠山観光案内所
079-552-3380
篠山口駅観光案内所
079-590-2060
丹波篠山市役所 商工観光課
079-552-1111
丹波篠山観光協会
079-506-1535