丹波篠山の旅——城下町、自然、工芸品を満喫
京都・大阪から電車でおよそ1時間で行ける丹波篠山は、歴史豊かな城下町。伝統工芸や素晴らしい景色、国が指定する史跡や文化財など、見どころが豊富です。
ここでは3日間ほど滞在して、ゆっくりと街並みを楽しむのがオススメ。篠山城から穏やかな田園風景、世界に知られる丹波焼まで存分に味わいましょう。本記事では、旅の道程や行くべきスポットを提案します。
もくじ
1日目:福住の田園風景を堪能
2日目:丹波篠山の歴史に触れる
3日目:丹波焼を見て、学んで、作る
行き帰りの交通手段
1日目:福住の田園風景を堪能
丹波篠山での第1日目は、江戸時代の建物が残る魅力的な地域・福住の風景から始めましょう。かつて京都と篠山城を行き来する旅人の宿場として栄えた場所です。
古い町並みや、どこまでも広がる青々とした田畑、ゆるやかな丘を目にすることができます。町には個人経営の店や会社が多く、これから向かうゲストハウスもその1つです。
朝食、そしてサイクリング
朝のうちに到着したら、元気づけの1杯をいただきに「マグナムコーヒー」へ行きましょう。こちらは芝居小屋を改装したカフェ。オーガニックのコーヒーと、質の高いフードを提供しています。自家製フレンチトーストと素敵なラテで1日に備えましょう。
福住の移動手段の1つは自転車。「GreenCrossRoad」では、フレンドリーな村上さんがガイドする自転車ツアーに申し込みできます。村上さんは、丹波篠山出身。自転車に関することなら何にでも熱心な男性です。築300年の伝統家屋にある「GreenCrossRoad」で彼と落ち合い、自転車をレンタルしました。
福住を自転車で周るあいだ、村上さんは町や歴史について教えてくれました。筆者は「眺めのよいところへ行きたい」とお願いして「ささやまの森公園」まで登りました。坂道がありますが、サイクリング初心者でも難なく行くことができますよ。
ランチにショッピング、神社参拝
ランチは、カレーが売りのカフェ「豆の花」で取りましょう。飲食スペースは居心地がよく、料理は味わいたっぷり。店主は自家繁殖のブリーダーで、かわいい子猫たちも迎えてくれますよ。
昼食の後は、福住のショップやカフェを回りましょう。たとえば、ここには陶器や漆器、アロマなど手工芸品の店「Littleaf (リトリーフ)」があります。
もう1カ所、訪れたいのが「住吉神社」。早朝の穏やかな風景を味わってください。美しい庭園を見るのを忘れずに。
アオアシゲストハウスで一泊
1日の探索が済んだら、古民家を改修した宿泊施設「アオアシゲストハウス」にチェックイン。兵庫県の芦屋市から移住したカップルが運営する、民家をリノベーションした宿です。日本の田園風景を感じさせる裏庭は必見ですよ。
夕食には手作りの食事が出され、地元の人になった気分で過ごすことができます。上の写真は鍋。シンプルでおいしい料理です。
地元の飲み物も購入できます。ここでのオススメは、丹波篠山ジグザグブルワリーの黒豆インディアペールエール。ゲストハウス近くのクラフトビール醸造所がつくった名品を一口飲めば、丹波篠山の名産品・黒豆の香ばしい風味が漂ってくるようです。
夜、あたりは驚くほど静かになります。日の出すぐの朝の景色は特に見事です。
2日目:丹波篠山の歴史に触れる
Pictures courtesy of 篠山城大書院(左上、左下)
丹波篠山は、日本の歴史に興味がある人にオススメの地域。「篠山城」やその周囲の城下町は、魅力的で楽しいエリアです。
篠山城散策
丹波篠山でもっとも有名な篠山城。
当時大阪を支配していた豊臣氏を抑えるため、徳川家康が大阪城の包囲網の拠点の1つとして建設させました。1609年に1年以下で建設されたといわれ、最短期間で建てられた城とされています。
篠山城にはもともと天守はありませんが、中核となる建物はあります。大書院(上の写真)は、催し事や貴人との面会などに使われ、城で中心的な役割を果たしていました。
城を見て回るのには1時間強かかります。大名がほかの人と会う際に使った場所も残っているなど、当時の城の様子が思い浮かぶようです。
民謡と地元史を知る
城を見たら、「丹波篠山デカンショ館」にも立ち寄ってみましょう。毎年8月に開催される丹波篠山デカンショ祭で披露される民謡「デカンショ節」の案内コーナーがありますよ。
城の近くにある「青山歴史村」は2020年3月まで工事中ですが、完成後は篠山地域を治めた青山家と、丹波篠山の歴史に触れることができる場所となるそうです。
おいしくて満足感あるRHベーグル
「RHベーグル」は、古民家でベーグルを提供しています。人気があるのはベーグルサンドウィッチで、上の写真はベーグルランチボックスセット(エビとワカモレ、税抜1,682円)。サラダにスープ、サイドもついてきます。
ボリュームたっぷりなので、お腹を減らしてから行きましょう。店内は、遊び心あふれる空間になっています。
※RHベーグルではベジタリアンやビーガンといった食事のニーズに対応しています。ご希望の方は事前にお問合せください。
城下町を歩く
城を見た後は、町中で軽くつまめる物を探しましょう。「大正ロマン館」はレストランやカフェ、そして売店が入ったレトロな建物です。黒豆コーヒー(写真、下段左)で一息ついたら、売店でおみやげを選ぶのがオススメです。
丹波篠山の城下町は歩きやすく、見どころがたくさん。城下町の真ん中に位置する「春日神社」(下段右)は、年2回披露される能で知られています。
鮮やかな赤い鳥居が眩しい「王地山平左衛門稲荷神社」(通称、まけきらい稲荷)も歩いて行ける距離にあります。ぜひ写真を撮りましょう!
丹波古陶館に学ぶ
丹波篠山は伝統工芸、特に丹波焼で有名です。その歴史は平安時代の末期(12世紀)にまでさかのぼり、日本最古の陶磁器の1つとされています。丹波焼は、国の伝統工芸品に指定され、保護活動が行われています。
丹波篠山の焼き物について知りたい人は、「丹波古陶館」を訪ねてみましょう。平安時代末期(12世紀)から江戸時代末期(19世紀)にいたるまで、さまざまな時代の焼き物が展示されています。ミュージアムショップでは、現代作家の作品も購入できますよ。
丹波焼は土の色合いをした実用的かつ機能的な陶器で、釉薬で色の違いを出していました。明治に日本や日本美術がヨーロッパの注目を得るようになり、外国人の好みに合わせて、より複雑なデザインになっていったといいます。
「篠山城下町ホテル NIPPONIA」で豪華な食事と宿泊
「篠山城下町ホテル NIPPONIA」は、篠山城下町各所に宿泊棟をもつ高級宿泊施設。それぞれ異なるテーマとデザインの部屋を予約できます。英語を話せるスタッフもいて、宿泊客のニーズに快く応じてくれますよ。
筆者は「ONAE」という、歴史的建造物をリノベーションした棟の部屋に泊まりました。 レストランとフロントデスクは同じ建物の中にあります。豪華で広々としていて、寝室とは別に茶室もあります。ふすまの上にある木の穴など、もとの民家の特徴をそのまま残してあります。
夕食はコースディナーがオススメ。地元産の季節の素材を使ったフランス料理(※)は絶品です。地元で作られた日本酒も注文できますよ。
※「篠山城下町ホテル NIPPONIA」では、ベジタリアンやビーガンといった食事のニーズに対応しています。 予約時に問い合わせるようにしてください。
地元のバー・西町BURでクラフトビール
「篠山城下町ホテル NIPPONIA」の最寄りにあるのは、ブリキのおもちゃ専門店が開いたバー「西町BUR」。地元のクラフトビールを楽しみながら、フレンドリーな店長や地元の人たちとおしゃべりしてみましょう。
3日目:丹波焼を学び、作ってみる
丹波焼では、伝統的に登り窯、斜面形の炉が使われてきました。プロは間断なく昼も夜も、およそ3日から4日にわたって窯を動かし続けます。
3日目は、「兵庫陶芸美術館」や、丹波焼の販売・陶芸教室を行なっている「立杭陶の郷」を訪ねました。歴史的作品を眺め、現代の陶芸家が製作する姿を見て、実際に自分でも作ってみることができます。
兵庫陶芸美術館で作品を鑑賞
兵庫陶芸美術館には、丹波焼の常設展があります。鎌倉時代にさかのぼる最古の作品の一部が見られるほか、季節によっては特別展も行なっています。
丹波古陶館と同じく、丹波焼の時代による変化を追うことができます。初期の作品はおおむね素朴で、水や保存のための水差しや容器がほとんどです。時を経るにしたがって、日用品や茶器が洗練されたデザインになっていくのがわかります。
一部、英語のガイドや案内もあります。入館時は英語のパンフレットをもらいましょう。
ランチは、館内のレストラン「虚空蔵」でいただきました。絵のような景色と、陶器工房を眺めながらパスタを楽しめます。
上の写真はきのこと若鶏のバジル・ペペロンチーノ風パスタ。明太子のトーストも付いています。料理と飲み物は、もちろん丹波焼の器で出てきますよ。
立杭陶の郷と才能ある職人たち
美術館の後は、すぐそばの立杭陶の郷で、もう少し陶器を見てみましょう。およそ50人の職人・窯元が手掛けた作品が並んでいます。皿やカップのような日用品もあり、気に入ったものがあれば、その場で購入できます。
気になる窯元を見つけたら、工房を訪ねることもできますよ。筆者は、実際に4人の職人さんを訪ねてみました。
上の写真は、左からそれぞれ「信凜(しんりん)窯」の作品、「伝市(でんいち)窯」の植木鉢やかめ、「信行(のぶゆき)窯」の遊び心ある器、「陶勝(とうかつ)窯」の華麗なデザインです。
実際に窯元へ訪れてみると、職人がどれほど経験と技法を費やしてこのような美しい器を生み出しているのかを目の当たりにすることができます。
丹波焼を学ぶ
一部の窯元は、丹波焼づくりの教室を開いています。筆者は、ろくろを使ったカップづくりに挑戦してみました。陶芸の経験が初めての人は、冷たい粘土の感触に驚くかもしれません。でも、すぐに慣れます。
陶の郷では、丹波焼づくりのワークショップを行なっています。ここで作った物が完成するまでは1~2カ月かかります。海外への発送はできない場合があるので、事前に確認しましょう。
交通手段
丹波篠山までは電車で大阪から約1時間、京都から約1時間半です。大阪方面からの最寄はJR篠山口駅で、京都方面からの最寄りはJR園部(そのべ)駅です。そこから丹波篠山の観光地までは、バスやタクシーで向かいましょう。
バスの本数は限られているので、時刻表を確認してください。篠山口駅の改札すぐ外にある「丹波篠山観光ステーション」でもバスの時間を教えてくれますよ。
下記は、バスを使った3日間(上記参照)の移動方法です。
1日目:福住への行き方
大阪からの場合、JR大阪駅から福知山線でJR篠山口駅へ行きます。福住行きの神姫バスに乗り、バス停「福住」で下車します(乗車時間約48分)。篠山口駅から7:20発のバスに乗れば福住に8:08に着きます。
京都からの場合、JR京都駅から山陰線(園部行き)でJR園部駅に向かい(乗車時間36分)、駅の西口から福住行きのバスに乗り、バス停「福住」で下車します(乗車時間37分)。6:38のバスに乗ると、7:15に到着します。
2日目:福住から篠山城下町
福住から篠山城下町へは、「福住」バス停から篠山口駅行きのバスに乗って、バス停「二階町」で下車します。 9:08発のバスに乗れば9:42に到着します(乗車時間34分)。
3日目:篠山城下町から今田
篠山城下町から「兵庫陶芸美術館」などがある今田(こんだ)へは、まず「篠山本町」バス停から9:07発篠山口行きのバスに乗って、終点「篠山口駅」で下車します。そこから大阪駅方面の電車に乗り換え「JR相野駅」で下車します。さらに、清水・清水寺方面のバスに乗り換え、バス停「兵庫陶芸美術館」で下車しましょう(乗車時間1時間28分)。
丹波篠山を発見しよう!
丹波篠山は、魅力ある城をはじめ、のんびりとした福住の田園風景、見事な陶器まで、見るもの、することがたくさんある観光地です。3日間ほど滞在して、魅力的な風景にゆったりと触れてみましょう。
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Main image courtesy of 篠山城大書院
Written by Jasmine Ortlieb