太宰府は、日帰りじゃもったいない!
多くの人が太宰府を訪れたら、半日の日帰り旅行で帰ってしまいます。しかし、太宰府は1000年の歴史を持つ太宰府天満宮と、隈研吾が設計したスターバックスだけではありません。梅ヶ枝餅だけ食べて満足して、帰りの電車に乗るなんてもったいない!
太宰府でゆっくり宿泊して地元の人も知らない場所をめぐる、そんな太宰府のアートな小旅行をMATCHAスタッフがご紹介します!
観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗って優雅なブランチ
福岡市街から太宰府までは、福岡バスターミナルから太宰府ライナーバス「旅人(たびと)」や、西鉄福岡(天神)駅で太宰府観光列車「旅人」に乗って直行するなど多くのアクセス方法があります。
でも、もし目的地までの旅の途中、ワクワク感や地元のおいしい料理を楽しみたいなら、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」が絶対オススメです。
今回は9:51発、太宰府直行の「地域を味わうブランチの旅 -DAZAIFU BRUNCH SET-」に乗車。チケットは、西鉄福岡(天神)駅・北口チケットカウンターで当日の朝8:00~9:15に購入できます(当日券は数に限りがあります)。
白地に赤いラインが細かく入った外装デザインは、キッチンクロスにインスピレーションを得たもの。車内は城島瓦(じょうじまがわら)や八女(やめ)産竹細工など筑後地方の伝統工芸品を使い、家の中のようなリラックスした空間になっています。
窓からは自然な光が差し込み、快適な音楽が流れ、電車に乗っていることを忘れてしまいそうになります。
ブランチは、久留米市で人気の厳選されたコーヒーと、柚子胡椒を効かせたホットドッグを提供しています。パンは外がサクサクで中は軟らかく、柚子胡椒もさっぱりしていて、まったく胃にもたれません。嬉しいことに、白くてきれいなタンブラーマグカップは持ち帰りできます!(タンブラーの持ち帰りは2020年5月末まで)
ほかにも、車掌さんが記念乗車券を配ってくれて、切符切りも体験できます。切符切りはさみの重さが感じられ、楽しい経験。
「地域を味わうブランチの旅 -DAZAIFU BRUNCH SET-」は、税抜3000円です(時期によってメニュー変更の場合があるので公式HPをご確認ください)。
「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」公式HP
太宰府天満宮は実は野外美術館!? 境内アート巡り
写真は「Really shiny stuff that doesn't mean anything」(Ryan Gander)
「学問の神様」と呼ばれる菅原道真が祀られている太宰府天満宮は、日本全国にある天満宮の総本宮です。1100年もの間に、この地を訪ねて祈った文人や作家たちが、数多くの作品を奉納してきました。
これらの「文化の宝」を守り、伝えていくために太宰府天満宮は10数年前から「アートプログラム」を始めています。境内各所に現代アートを展示し、アーティストたちが思う存分、その才能を発揮しています。
境内で境内美術館マップ片手に作品を探してみましょう。この2つの作品はいずれもRyan Ganderの作品です。
現在、境内には7点の作品が常設展示されています。これらはいずれも太宰府天満宮と神道をモチーフにして、アーティストたちが生み出した作品です。
中でも印象深いのは「Everthing is learned,VI」。これは梅林に置かれていて、まるで誰かがここで長い時間熟考した後のように、少し表面が削られてすり減った岩石です。考えを終え、ここを離れた人は一体どんな答えが見つかったのでしょうか。
もう1つは「Like the air that we breath」。木の柱の下に、太宰府天満宮幼稚園の子どもたちがいちばん大事だと思うものを埋めてもらい、それを表すシンボル的な絵を、木の柱にアーティストが彫刻しています。見る人に子どもたちの考えていることを自由に想像してもらい、「一番大切なものは想像力である」ということを思い出してほしい、そんな思いが込められています。
芸術に触れたあとは、BEAMS JAPANとコラボし、有名な染色家がデザインした限定版の御朱印帳がオススメ。ピンク色に梅の花とウグイスで太宰府天満宮を表現しています。古典的な美しさの中に現代的センスが光ります(毎月25日に数量限定発売。1人1冊税込2,500円)。
初穂料を払って神職の方から御朱印をもらうこともできます。気持ちを集中させて筆を執る様子に、自然と厳粛な気持ちにさせられます。
ほかの人と違うおみやげを!
焼きたてがおいしい梅ヶ枝餅だけではなく、太宰府にはまだまだ記念のおみやげを買える雑貨店がたくさん隠れています。
九州ヴォイス
まずは小鳥居小路(ことりいしょうじ)にある、2019年11月にオープンした「九州ヴォイス」。電気店だった古民家を福岡の建築家・デザイナーたちが改装、クオリティの高い九州の商品を各地に向けて販売するアンテナショップです。
店内の照明は鳥居をイメージしているなど、店内1つ1つのデザインも工夫されています。
店内には九州の各県・各市の食品や生活雑貨が並んでいます。工夫が凝らされたパッケージと手ごろな価格が人気のチョコレート「チロルチョコ」は、地元福岡発祥のブランド。最近発売された「きなこもちカレー」はきなこの香りが口の中で広がり、ご飯がすすむ人気商品です(税込500円)。
また、熊本にある150年の老舗が醸造した「透明醤油」は、食材の色をそのままに、キレイに調理ができます(税込540円)。オープンから今まで多くのお客さんが訪れる中、「また食べたくなって、同じものを買いに来ました」と、常連さんもたくさんいます。
蛇の目うさぎ
親しみやすい夫婦が経営する「蛇の目うさぎ」。店名の由来は、オーナー夫妻の干支が蛇とうさぎであることから。
日本の伝統文化と新しさが融合した、オリジナルデザインの日本雑貨が販売されており、ここにしかない特別なおみやげが見つかりますよ。
オリジナル商品だけではなく、多くの九州のクリエイターによる商品も多数。手彫りによる型を使って染色したオーダーメードのデニムパンツ、開くと瞬時にカードが見つかるカードファイル、面白い節分の飾り物、御朱印帳が入るきれいな手作り布バッグなど、それぞれの商品が和の魅力にあふれています。
時の流れを忘れる古民家宿泊体験「HOTEL CULTIA 太宰府」
年間に大宰府を訪れる人の数は1,000万人を超えますが、ここに1泊する旅行客は少なく、多くが日帰りです。
もっと多くの人にこの地域の魅力を知ってもらいたい、そんな思いで「HOTEL CULTIA 太宰府」は誕生しました。
「HOTEL CULTIA 太宰府」は絵師・吉嗣(よしつぐ)家が三世代以上にわたって住居にしてきた歴史ある建物「古香書屋(ここうしょおく)」をホテルとして改築。建物がもっとも輝いていた時代の姿をそのままに、観光客に古民家のすばらしさを体験してもらうというものです。
旅行客が自然にリラックスできるように、各部屋には時計やテレビがありません。蔵を改築した部屋がもっとも人気が高く、1Fはエレガントなリビングスペース。ソファーに、古めかしい木製の戸棚の組み合わせが柔らかな雰囲気を醸し出しています。
2Fからは季節が感じられる雅な日本庭園が眺められます。和洋折衷のインテリアが置かれた室内は快適な居心地。自然光のもと、静かに本を読みながら非日常のお昼どきを過ごせます。
庭園後ろにある、畳の和室もオススメ。天井が高く圧迫感がなく、心地よい空間です。座布団に座って、その日の旅で撮影した写真を眺めるのも楽しいかも。
Picture courtesy of HOTEL CULTIA 太宰府
食事は地元の食材を使い、真心こめて調理したフュージョンフレンチ。昼食と夕食は宿泊者以外も食べることができます。
和食の朝食は宿泊者限定で、メニューは炊き込みご飯、鮭のみりん焼き、煮卵、カットフルーツ、お吸い物。おいしくて栄養のバランスもとれており、携帯電話を手放してゆっくり味わって食べたくなります。
ホテルカルティア太宰府
「HOTEL CULTIA 太宰府」は宿泊者にただ泊まるだけでなく、地元に根づく伝統文化にも触れてほしいと願っています。そこで宿泊者専用に企画されているのが九州国立博物館のナイトツアー。毎週土曜日にさまざまな体験を提供しています。
専門のガイドによる展示品の解説だけでなく、博物館のバックヤードにある収蔵庫の見学や各国民族衣装の試着もでき、まるで映画『ナイト ミュージアム』のようにエキサイティングで、刺激的!
ツアー参加者は梅ヶ枝餅交換券がもらえます。毎週金曜日と土曜日の17:00から20:00まで、この券を提示すれば各店舗でアツアツの梅ヶ枝餅と交換できますよ。
次の日早起きしたら、太宰府天満宮で毎朝8:30に行われている朝拝に無料で参加できます。神職の祝詞が聞こえる凛とした空気の中、御本殿に集まり真心こめてお祈りし、新しい一日の始まりを迎えます。
アニメファンや仏像・歴史好きにオススメ!太宰府周辺の注目スポット
アニメ『鬼滅(きめつ)の刃』ファンの巡礼地となっている宝満宮竈門(ほうまんぐうかまど)神社や、「仏教美術の殿堂」と称され日本最古の梵鐘がある観世音寺、そして日本の元号「令和」に縁の深い大宰府政庁跡などは、太宰府を訪れるとき、あわせて訪れたい散策スポットです。
気品と芸術の息吹に満ちた宝満宮竈門神社
1350年を越える歴史があり、縁結びの神社として有名な宝満宮竈門神社。境内は緑が多く、春には鳥居下の桜並木の美しさに足がとまります。
「UNIQLO 銀座店」を手がけた世界的に有名なインテリアデザイナー・片山正通(かたやま まさみち)もデザインに関わった授与所は、100年経っても人々に愛されるであろう、かわいさがありながら荘厳さも失わない空間。
社紋が桜であることから、授与所内には桜色の短冊状の大理石が張り巡らされています。桜の花びらがたくさん散らされた天井とも調和し、素晴らしい雰囲気です。
ここにはさまざまなお守りと絵馬があります。夫婦円満、商売繁盛などいずれも細やかなデザインで独特の味わいがあります。
また神社の名称が大人気アニメ『鬼滅の刃』の主人公の名字と同じことから、多くのファンが聖地巡礼に訪れ「痛絵馬」(キャラクターなどが描かれた絵馬)を掛けています。ファンたちの画力はなかなかのもので、若い人たちが神社を訪れるきっかけになっています。
仏教美術の殿堂 観世音寺
746年に建立された観世音寺は九州でもっとも重要な寺院の1つです。全盛期には49の支院がありましたが、ほとんどが火災や台風などの災害によって消失してしまいました。
収蔵庫には多くの重要文化財が収蔵されており、高さ5メートル以上にもなる馬頭観世音菩薩立像の荘厳な姿を目の前にすると、自然と背筋が伸びます。
新元号「令和」と縁のある大宰府政庁跡
今では地元の人々の散歩や憩いの場となっている史跡公園には、かつて九州の重要な政務機関がありました。その規模の大きさは建物の基礎から推測することができます。
春になると桜の木の下が笑い声と花びらに包まれる、地元の人々の隠れた花見スポットです。
入口にある太宰府展示館には、考古学調査で出土した遺物や石造りの遺構(溝)、そして日本の新元号「令和」の出典元『万葉集』に記載がある「梅花の宴」を再現した模型などが展示されています。付近には万葉集の歌碑が多くあり、元号が発表されてから多くの人が訪れる人気スポットとなっています。
太宰府でゆっくりしてはいかが?
福岡市街から出発し、伝統文化を守りつつ新しい姿で旅行客を迎え続ける太宰府の魅力を発掘することができました。次回訪れるときは、ちょっとゆっくり、太宰府ならではの芸術と美を存分に感じてみるのはいかがでしょうか。
Written by Miho
Main image courtesy of nishitetsu
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