ローカル線「北条鉄道」が走る加西市は、11〜5月の早朝になると美しい気球が空に舞う「気球の飛ぶまち加西」としても有名なエリアです。また、第二次世界大戦中にパイロットを要請するために使われていた「鶉野飛行場跡」が残っています。(The remains of Uzurano Airfield, which was used to train pilots during World War II, still exist.)
戦争遺跡は日本全国に多数ありますが、様々な遺跡が一つのエリアに集まっているケースはまれなもの。一つ一つ駅から歩いて巡ります。
レトロな駅舎や「今屋のバーガー」というハンバーガーが人気の北条鉄道の法華口駅。駅舎から出て右の踏切を渡ると、戦争遺跡を巡るハイキングコースのオレンジのラインが現れます。
往復で6.5km程となる「鶉野飛行場跡の歴史と機銃座跡散策コース」。歩きながら見学をすると数時間かかりますが、法華口駅では便利なレンタサイクルもあります。法華口駅構内の「今屋のハンバーガー兵庫」で自転車の貸し出しを行っています。ぜひ活用してみてくださいね。(最後は駅で要返却)
駅から歩くこと約1km、かつて基地の入り口があった門柱と所跡が見えてきました。ここには「姫路海軍航空隊」と書かれた門に、衛兵の詰所、かつてあった面会所をイメージした建物があり、門柱の基礎が展示されています。
手前の竹林の中にある2つの防空壕は、空襲にあったときに衛兵が逃げるためのもの。この防空壕は奥でクランク型につながっているのは、入り口から入ってくる爆風を和らげる(cushion)ためなんだとか。
門柱・衛兵詰所跡を通ってしばらく歩くと見えてくるのが「対空機銃座跡」です。攻撃してくる飛行機を迎え撃つ機銃座が当時のままの状態で(preserved in its original condition from that time)状態で残っているのはレアなケースで、中心には当時使われていた対空機銃のレプリカが備え付けられています。
1分で230発を5000m先まで発射できたこの機銃座は、防空壕のように見える入り口から地中の通路を通り、銃を撃ち、危なくなったら近くの穴に逃げ込むというスタイルです。
様々なスポットを見学し、しばらく歩くとそこには開けた空間が。これは、当時使われていた1.2kmにも及ぶ滑走路跡で、その先にあるのがミュージアム「soraかさい」です。
▲「soraかさい」へと続く滑走路跡("remains" or "ruins")
チケットを購入して「soraかさい」の館内にはいると、迫力満点の戦闘機の実物大模型(life-size model)が!
全幅約12m、全長9.35m、「紫電改(しでんかい)」と呼ばれるこの戦闘機は、滑走路の南西にあった製作所で組み立てられた戦闘機で、当時の資料(records)を参考にしながら復元されたものです。「紫電」と呼ばれる飛行機を改良した新鋭機で、戦後に良質な米国製のガソリンを使った試験評価で、その火力と速度はかなりのものだったと報告されました。
「紫電改」の上には「九十七式艦上攻撃機」と呼ばれ、特攻機としても使われた飛行機が展示されています。
▲実際に飛んでいるかような展示の九十七式艦上攻撃機
操縦席部分も再現されており、操縦士、通信係、偵察係の3人が1つの飛行機に乗っていたのが分かります。パラシュートは積まずに、片道分のオイル(※諸説あり)だけで敵船に向かったという特攻。戦争が二度と繰り返してはいけないものだということを強く感じました。
soraかさいでは、紫電改の他に、鶉野飛行場跡の建設開始(the beginning of the construction of Uzurano airfield) から終戦まで約3年間のトピックのストーリー映像や、当時の装備品の展示などもあるので、ぜひ時間をかけて見学してください。
併設の「soraカフェ」やショップも必見!加西産のフレッシュ野菜を使用した、sora照り焼きバーガーや、爽やかな青空をイメージした「青空レモンスカッシュ」なども楽しむことができます。
ショップでは、老舗の醤油屋のお醤油や地産のお酒、soraかさいオリジナルのマドレーヌやステッカーなども販売されています。
戦後、80年程が過ぎた加西市では、飛行シーズン(11〜5月)の早朝になると、美しい気球がその空を飛んでいます。
平和の大切さを噛み締めつつ、いつまでも美しい気球が飛び続けるまちであってほしいと感じました。
※記事内で紹介した「鶉野飛行場跡(うずらのひこうじょうあと)の歴史と機銃座(きじゅうざ)跡散策コース」について詳しくはこちら!
◼︎soraかさい
住所:〒675-2103 兵庫県加西市鶉野町2274-11(
Google map)
営業時間:9:00〜18:00
定休日:第2・4月曜日(月曜が祝日の場合はよく平日)・年末年始
The 2nd and 4th Mondays (except when Monday is a holiday) and year-end and New Year holidays
入場料:大人200円、中学生以下無料
admission fee:Adults 200 yen, Free for middle school students and younger
日本語サイトのみ:https://www.sorakasai.jp/
ようこそ兵庫へ
兵庫は日本海から中国山地をまたぎ瀬戸内海をつなぐ恵まれた大地、そして恵まれた風土を育む関西の窓口です。
「さくら名所100選」に選ばれた世界遺産の姫路城、六甲山から見る大パノラマの夜景など、目を奪われる絶景が数多くあります。
世界的に名高い神戸ブランド、日本を代表する牛肉で但馬牛の代名詞「KOBE BEEF」、酒米「兵庫山田錦」は舌が驚く逸品です。
名湯、有馬温泉や多くの文学作品にも登場する城崎温泉。大自然に包まれ心も体もリラックスできます。
淡路島・鳴門のうずしおの雷鳴のように響く音、夏に各地で開催される花火大会でのダイナミックな音など、心に残る音に出会えます。
県内のハーブ園や植物園では四季を通じて、ハーブや花々の優しく心地良い香りに癒されます。
さあ、「視覚・味覚・触覚・聴覚・嗅覚」の五感を刺激する新しい旅を、兵庫県でご堪能ください。