日下部味噌醤油醸造: 食卓を支える高山の味
高山土産に迷ったら、日下部味噌醤油醸造へ。高山の名物グルメの味を支える醤油や朴葉味噌キットをはじめ、飛騨高山の伝統発酵食品を豊富に取り揃えています。
朴葉味噌:高山の食文化を象徴する芳醇な味わい

高山を訪れたら、ぜひ味わいたい名物料理が「朴葉味噌」です。朴(ほお)の葉の上で飛騨牛や野菜を焼きながら楽しむ、飛騨地方を代表する郷土料理です。
料理の要となるのは味噌。山々に囲まれた飛騨地域は、昼夜や季節ごとの寒暖差が大きく、発酵に適した気候条件を備えています。その環境が、深みのある味噌を育んできました。
料理名の「朴葉」は、周辺の森に豊富に自生する朴の木の葉に由来しています。
火にかけられた朴の葉からは、朴の葉特有の香りがふわりと広がり、ねぎやきのこ、豆腐、そして牛肉といった具材に香りが移ります。こうして生まれる香ばしく旨み豊かな味わいは、白米との相性も抜群です。
この朴葉味噌を支える味噌づくりの技を知るため、私たちは地元の老舗「日下部味噌醤油醸造株式会社」を訪ねました。同社は、昭和40年代初頭に地元で親しまれていた朴葉みそを初めて商品化し、家庭でも楽しめるようにした存在。旅の思い出の味を、自宅でも楽しめるようにした立役者でもあります。
角一ブランド: 135年使い続ける木桶で仕込む味噌と醤油

1890年に高山で創業した日下部味噌醤油醸造は、「角一(かくいち)」ブランドで知られる老舗です。味噌と醤油は、昔ながらの製法を守りながら、手間ひまかけて仕込まれています。
この蔵の大きな特徴は、約50個もの木桶(きおけ)を所有していること。なかには100年以上にわたり使い続けられているものもあります。年月を重ねた木桶の内側には、長い時間をかけて根づいた微生物が息づき、蔵ならではの発酵環境が育まれてきました。この微生物の働きが、角一味噌と醤油の個性ある味わいを形づくっています。

こうした独自の発酵によって生まれるのが「角一こうじ味噌」です。大豆、米、塩、そして飛騨山脈の清らかな雪解け水のみを使い、素材本来の力を引き出しています。自然な甘みと塩分控えめのやさしい味わいが特長です。
一般的な減塩味噌の塩分濃度が9~10%(通常の味噌は11~12%)であるのに対し、角一こうじ味噌は8~9%とさらに低め。それでいて味わいはしっかりとしており、幅広い世代に親しまれています。健康面でも評価が高く、地元では学校給食や病院食にも使用されています。
塩分を抑えながらもおいしさを保てる理由は、木桶に息づく微生物の働きにあります。発酵の過程で生まれるブドウ糖が、米の自然な甘みと大豆の旨みを引き立て、全体の味のバランスを整えます。そのため、塩分が少なくても、安定したおいしさを実現できるのです。

角一醤油もまた、高山の食文化を支える欠かせない存在です。
名物・高山のみたらし団子の味の決め手も、この醤油。多くの地域では、みたらし団子と言えば、甘いタレと共に提供されますが、高山ではほとんどの店が角一醤油を使い、香ばしく塩味の効いた仕上がりにします。甘くないみたらし団子は、甘いものが苦手な人にもおすすめです。

※写真はイメージです。
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さらに、有名な高山ラーメンの多くのお店で“味の要”として角一醤油を使っていると言います。香り高く奥行きのある風味が、地域を代表する醤油ベースのスープを支えています。
角一こうじ味噌と角一醤油は、高山市中心部にある本店で販売されるさまざまな商品のベースにもなっており、自宅でも高山の味を楽しむことができます。
味噌・調味料・朴葉セットをお買い物

高山の人気観光エリア「三町通り」からすぐの場所にある日下部味噌醤油醸造の本店は、ぜひ立ち寄りたいスポットです。店内には、こだわりの味噌や醤油をはじめ、ドレッシングや各種調味料など、発酵の魅力が詰まった商品がずらりと並びます。名物の朴葉味噌セットも購入でき、自宅で本場の味を再現することもできます。

この店を訪れる最大の楽しみは、複数の味噌を試食できることです。そのため、どの味噌を買うか迷っても心配ありません。

まろやかで塩分控えめの味わいがお好みなら「角一こうじ味噌」がおすすめです。素朴でコクのある赤味噌が好きな方には、木桶で熟成させた「いなか味噌」を。さらに、米麹と豆味噌を合わせ、三年間じっくり熟成させた「むかし味噌」は、奥深い味わいが特長です。

いくつかを食べ比べてみると、シンプルな原材料から生まれる味の多様さと、発酵の奥深さに驚かされるはずです。

醤油の試飲もまた印象的で、塩分や香りの異なる4種類が用意されています。煮物に合う力強い味が特徴のものから、寿司や刺身に合う繊細な風味のものまで、用途に合わせて選ぶことができます。

作りたい料理が決まっている場合は、スタッフさんが丁寧におすすめを提案してくれるのも嬉しいポイントです。

店内には、伝統的な調味料の使い方を紹介する説明資料も充実しており、「10秒みそ汁」の作り方も紹介されています!さらに、英語のレシピを紹介するパンフレットも置いてあるため、帰国後も安心して高山の味を再現できます。

※写真はイメージです。
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これらの説明は、一般的な和食とはひと味違う郷土料理「朴葉味噌」を作ってみたい方にとって、特に役立つと思います。
蔵のスタッフさんによると、朴葉味噌は飛騨地方の郷土料理で、山仕事の人々が朴の葉を皿代わりに味噌をのせて火で温め、ご飯とともに食べたことが始まりと伝えられています。
そこにねぎやきのこなどの身近な食材を加えて、現在の朴葉味噌へと変わって行きました。
現在では上質な牛肉をのせた贅沢なスタイルも一般的となり、高山を代表する名物料理として親しまれていますが、もともとはとても素朴な家庭料理でした。実は自宅でも気軽に再現することができます。店頭で配布されている紹介パンフレットによると、家庭で上手に作るコツは、味噌をのせて焼く前に朴の葉を水に浸しておくこと。香りをより引き立てるだけでなく、葉が焦げるのを防ぐ効果もあります。

店内でもひときわ注目を集めているのが、「柚子みそドレッシング」です。2025年の調味料選手権で入賞した実力派の商品です。
爽やかな柚子の風味と、伝統的な味噌の深い旨み、やさしい香りが絶妙に調和し、サラダや前菜に幅広く活躍します。味噌の新しい楽しみ方を提案する一本でありながら、その味わいには飛騨高山らしさがしっかりと息づいています。
高山ならではの味を、現代的なかたちで楽しみたい方にぜひ手に取っていただきたい逸品です。

豊富な調味料のラインナップに加え、日下部味噌醤油醸造の本店では、寒い日の高山散策にぴったりの手づくりドリンクも楽しめます。
やさしい甘さの甘酒や、濃厚な抹茶シロップドリンクなど、体の芯から温まる一杯を片手に、歴史ある町並みを歩くのもおすすめです。
ドリンクメニューは季節ごとに入れ替わるため、訪れるたびに新しい味に出会えるのも魅力のひとつです。

日下部味噌醤油醸造の本店の隣には、かつて蔵の倉庫として使われていた赤レンガ造りの建物「レンガ館」があります。
クラシックな産業建築の趣を残す佇まいは、ひときわ目を引くフォトスポット。旅の思い出を彩る一枚を撮影するのにもぴったりのロケーションです。

日下部味噌醤油醸造の本店に並ぶ多彩な商品は、家庭のキッチンで日本料理の奥深い味わいに挑戦してみたくなるような魅力にあふれています。一つ一つの食材や調味料には、何世紀にもわたって受け継がれてきた発酵の知恵が息づいており、それは現代の食卓にも新たな発見と感動をもたらしてくれます。
まとめ
日下部味噌醤油醸造の本店は、本格的な発酵食品を自宅で楽しみたい方にとって理想的な立ち寄り先です。高山駅から徒歩約14分、歴史情緒あふれる三町エリアを散策しながらアクセスできるのも魅力です。
名古屋から高山へは、JR特急「ひだ」を利用すれば約2時間半。JR名古屋駅近くの名鉄バスセンターからは、高速バスも頻繁に運行しています。
日本のHAKKO(発酵)はUMAMI(旨味)の源。その知られざる「秘密」と「魅力」を、たっぷりご紹介します! その昔、天下を取ったShogunが活躍した名古屋。「名古屋城」や「ジブリパーク」が有名ですが、実は和食を象徴する”UMAMI”を生み出す食文化の宝庫なんです。 ■What’s HAKKO? 和食の味を左右する「調味料」や世界中で人気の「日本酒」づくりにおいて「HAKKO技術」は、重要な鍵を握る存在です。 ■What's Nagoya like? 日本の中部地区に位置し、空路・陸路共に、ハブとなる名古屋。 恵まれた自然環境と風土によって、独特の発酵食文化を育んできました。伊勢湾と三河湾に囲まれた知多半島は、風光明媚な地で、古くから酒や酢・味噌・たまりなどの醸造業が盛んです。徳川家康の生誕地である西三河は「八丁味噌」や「白醤油」といったユニークな発酵調味料の歴史を紡いでいます。