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日本の新年の風習に「七福神巡り」があります。日本独自の風習で、1月15日頃までに行うと大きな福を呼び込むことができるといわれています。「七福神」の由来とともに、東京、大阪、名古屋にある有名な「七福神巡り」のスポットを紹介します。
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七福神は、日本の神話や仏教、道教に由来する7つの福の神です。台所の神様や商売繁盛の神様など、生活と結びつく神様が多いことから、庶民の間で親しまれてきました。
それぞれの神様の特徴とご利益を紹介します。
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七福神は宝物をたくさん載せた「宝船」に乗ってやって来ると信じられています。そのため七福神は宝船とともに描かれることが多いんですよ!
日本には七福神を祀る神社やお寺が多くあり、七福神巡りはそれらを訪ねて福を授かる新年の風習です。
江戸時代(1600〜1868年)後半に、江戸(東京)の風流人たちが散策をかねて行ったのが始まりだといわれています。
その後、七福神巡りのブームは全国的になりましたが、今でも東京や関東地方ではとくに盛んに行われています。
お正月の「松の内」と呼ばれる期間(地域により1月7日または15日まで)に七福神を参拝すると、一年を通じて幸運を得られるとされています。
恵比寿 Photo by Pixta
七福神巡りに特別なルールはなく、個人で自由に回ることができます。一部の地域ではガイド付きのツアーもありますが、参拝の順番は決まっていません。
各神社で御朱印をいただくのも楽しみのひとつです。御朱印は参拝の記念なので、必ずお参りをしてからいただきましょう。
七福神にちなんだ絵馬やお守り、七福神巡りのスタンプを押すための特別な色紙を授与する神社もあり、参拝の記念になります。
次に東京、大阪、名古屋で楽しめる代表的な七福神巡りを紹介します。
東京の七福神巡りスポットのなかでもとくに有名な場所を3つ紹介します。
浅草名所七福神(あさくさなどころしちふくじん)は、浅草の9つの寺社を巡るものです。
各寺社で七福神の描かれた「福絵」に御朱印をもらったり、絵馬を笹に飾る「福笹」といった、他の地域では見られない縁起物が楽しめるのが特徴です。
9つの寺社には東京を代表する浅草寺(せんそうじ)や、縁結びのご利益で有名な今戸(いまど)神社、古くから加護があるとされる待乳山聖天(まつちやましょうでん)などが含まれており、見どころ満載!
所要時間は徒歩で約4時間。隅田川やスカイツリーなど、東京の名所も一緒に巡ることができます。
おすすめの順路は、浅草駅近くの浅草寺を起点に浅草エリアを一周するルートです。浅草の歴史や文化を堪能しながら、効率よく福を授かることができるでしょう。
●おすすめの順路
浅草寺(大黒天) → 浅草神社(恵比寿) → 矢先稲荷神社(福禄寿) → 鷲神社(寿老人) → 吉原神社(弁財天) → 橋場不動尊(寿老人) → 石浜神社(布袋尊) → 今戸神社(福禄寿) → 待乳山聖天(毘沙門天)
日本橋にある7つの神社を巡る「日本橋七福神」は、神社同士の距離が近く、日本でもっとも短い時間(約50分)で巡拝できる七福神巡りといわれています。
福禄寿を祀る小網(こあみ)神社はとても小さい神社ですが、東京でも屈指のパワースポットとして知られています。この神社の水でお金を洗うと金運がアップするといわれています。
日本橋はかつて城下町として栄えた街で、今も日本の古い町並みが残されています。七福神巡りとともに、日本の美しい街並みを楽しんでみてはいかがでしょうか?
●おすすめの順路
椙森神社(恵比寿神) → 笠間稲荷神社(寿老神) → 末廣神社(毘沙門天) → 松島神社(大黒天) → 水天宮(弁財天) → 茶の木神社(布袋尊) → 小網神社(福禄寿)
「谷中(やなか)七福神めぐり」は、東京でもっとも歴史があるといわれる七福神巡りです。
7つのお寺は、JR上野駅から田端駅までの5駅分のエリアに集中しているので、電車でも徒歩でも巡りやすいのが特徴。
上野の名所、不忍池(しのばずのいけ)にある不忍池弁天堂は、弁財天を祀っています。
一般的な弁財天は琵琶を持っていますが、こちらのご本尊の弁財天像は8本の腕に煩悩を破壊するための武器を持っているのだとか。普段は公開されず、年に一度、9月の「巳成金(みなるかね)大祭」のときだけ見ることができます。
この時期を狙って、七福神巡りをするのも良いかもしれませんね。
●おすすめの順路
東覚寺(福禄寿) → 青雲寺(恵比寿)→ 修性院(布袋尊) → 天王寺(毘沙門天) → 長安寺(寿老人) → 護国院(大黒天) → 不忍池弁天堂(弁才天)
「小江戸(こえど)」とは、江戸時代を感じさせる古い町並みが残る場所の事です。埼玉県の川越も歴史がある町で、昔ながらの蔵造りの町並みが残っていることから「小江戸川越」と呼ばれています。
川越には歴史あるお寺が数多くありますが、そのなかでも町の中心地にある七福神ゆかりの7つのお寺が「小江戸川越七福神巡り」のコースです。
全行程は約6キロで、およそ半日で巡ることができる距離です。川越駅を起点に巡ることができ、連馨寺(れんけいじ)の近くには川越のシンボル「時の鐘」が、見立寺(けんりゅうじ)の近くには昔ながらの駄菓子屋が集まる菓子屋横丁などがあり、川越観光も楽しめます。
●おすすめの順路
妙善寺(毘沙門天) → 天然寺(寿老人) → 喜多院(大黒天) → 成田山(恵比寿) → 連馨寺(福禄寿) → 見立寺(布袋尊) → 妙昌寺(弁財天)
日本一の商人の町として栄えた大阪では、新年は商売繁盛を願う「十日戎(とおかえびす)」でにぎわいます。
毎年1月9日から11日にかけて、恵比寿様を祀る神社で行われ、なかでも、大阪七福神巡りの一つである今宮戎神社は有名です。
この時期に大阪七福神巡りをすると十日戎の賑わいと重なり、一層活気を感じることができます。ただし、混雑が予想されるため、訪れる際は時間に余裕を持つと良いでしょう。
大阪七福神は大阪の街の中心にあり、駅から近い寺社が多いのが特徴です。
すべてを1日で巡るのは大変ですが、効率よく巡るには大阪環状線の玉造駅から近い三光(さんこう)神社を起点に、JR天王寺駅に向かって巡るルートがおすすめです。
●おすすめの順路
三光神社(寿老神) → 長久寺(福禄寿) → 法案寺(弁財天) → 大乗坊(毘沙門天) → 大国主神社(大黒天) → 今宮戎神社(恵比寿) → 四天王寺布袋尊堂(布袋尊)
「なごや七福神めぐり」は愛知県の名古屋市内にある7つのお寺です。
七福神巡りは1年中できますが、1月中に7つのお寺全てを参拝し、専用の色紙に御朱印をすべて受領すると記念の品をいただくことができます。(数量限定)
お寺の位置は名古屋市内の広範囲にあるため、車やバス、電車などを利用して巡るのがおすすめです。
名古屋駅に近い福生院(ふくしょういん)や宝生院(ほうしょういん)を起点にするとわかりやすいでしょう。
笠覆寺(しょうふくじ)では、毎月6がつく日には境内で「六の市」が開催され、露天を楽しむ人々でにぎわいます。
せっかくなら地域の文化に触れながら、参拝をしてはいかがでしょうか?
●おすすめの順路
福生院(毘沙門天) → 宝生院(布袋尊) → 萬福院(福禄寿) → 興正寺(寿老人) → 笠覆寺(恵比寿) → 辯天寺(弁財天) → 宝珠院(大黒天)
七福神巡りは参拝を通じてお寺や神社の歴史を知り、日本の文化に触れ、その街の魅力を再発見できるユニークなアクティビティです。
1年のはじまりにぴったりな風習ですが、いつでも自由に楽しめるので、ぜひ気軽にチャレンジしてみてください!
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神戸在住。趣味は旅行とアート鑑賞。美味しいもに目がなく、5年間の中国・北京生活で火鍋の美味しさに開眼しました。