長野県の秘境・小谷村で楽しめる温泉とおすすめ観光スポットガイド

1555年、武田信玄の家臣に発見されたと伝えられている小谷温泉。長野県の秘境にある小谷村で、470年もの間、守られ、愛されてきた温泉です。小谷温泉をはじめとした小谷村で入れる日帰り温泉や、魅力あふれる観光スポットをまとめてご紹介します。
“美人の湯”で有名な小谷温泉とは?

200近い温泉地がある長野県。地元民から愛され、守られてきた秘湯の中に、開湯470年の小谷(おたり)温泉も名を連ねています。
小谷温泉は、1555年の川中島の合戦の際に武田信玄の家臣によって発見された温泉。発見以降、長らく湯治場(とうじば)として栄えてきました。
湯治場として評価されていたのは、ナトリウム炭酸水素塩泉(中性低張性高温泉)という泉質。石鹸で洗い流さなくても皮膚の脂肪分、分泌物を流してくれる効能が由来して、“美人の湯”と呼ばれています。
さらに、温泉を飲む「飲泉(いんせん)」効果も有名。切り傷や糖尿病、肝臓病などの病気、症状が良くなる効能を持っており、国民保養温泉地にも指定されています。
小谷村周辺の観光スポット3選

小谷村は日帰りでも、宿泊でも楽しめます。せっかく小谷へ来たなら、周辺の観光スポットもたっぷり楽しみたいですよね。
そこでここからは、小谷村に来たついでに立ち寄れる観光スポットを3つご紹介。お土産を購入したり、グルメを楽しんだりと、旅の目的に合わせて利用してみてくださいね。
道の駅おたり

大糸線・北小谷駅から歩いて10分弱で到着する「道の駅おたり」。このスポットには、露天風呂付きの温泉が楽しめる「深山の湯」と、小谷の名産品が購入できる売店、ランチにぴったりな食事処「鬼の厨」が併設されています。

店内に入って最初に出迎えてくれるのは、ずらりと並んだお土産たち!地元で採れた野菜や漬物、お酒などが所狭しと並んでおり、歩いているだけで目移りしてしまうはず。
悩んでいるところに助け舟を出してくれたのは、支配人の富野さん。

「湯上がりにスカッとできる雪どけサイダーや、小谷野豚を使用した生ハム、野豚カレーがおすすめです。小谷村でしか手に入らないものばかりなので、ぜひショッピングを楽しんでくださいね」と、優しく教えてもらいました。

ちなみに、筆者が訪れた冬の時期は、雪の中に食材を入れて熟成させる雪中酒(せっちゅうしゅ)や、雪中キャベツなども絶品なのだそう。春夏秋冬がはっきりしている小谷では、季節ごとの旬の食材も自慢ポイントの1つだと言います。

お土産をゲットしたらお楽しみのランチタイム!「鬼の厨」の人気ナンバー1のランチ「日替りかまど定食」をいただきます。

名前の通り、日ごとにメニューが変わり、その季節に1番美味しいメニューをシェフが提供してくれます。
この日にいただいたのは、小谷野豚の生姜焼き、小谷野豚の豚汁、雪中キャベツのサラダ、わらびの小鉢といったメニュー。ご飯とお漬物はお代わり自由、味噌汁は豚汁か季節の具材の2種類から選べる贅沢仕様です。
まずそのまま味わいたいのは、小谷産のコシヒカリを釜戸で炊いた真っ白なご飯。

炊きたてのツヤツヤご飯は、噛みごたえを残しつつも、甘くてふんわりとした口当たり。濃いめの生姜焼きとも相性がよく、気づけばご飯だけがパクパク進んでしまうほどです。

生姜焼きと豚汁には、小谷の自然に4ヶ月放牧して育てた小谷野豚を使用。食べ応えのある硬めの肉質は、お腹いっぱい食べたいときのランチにぴったり!
豚汁は小谷野豚の良質な脂が染み出て、まろやかな風味に仕上がっていました。

ちなみに、食事を食べ「道の駅おたり」の温泉にも入ると、入浴料が半額になるサービスもあります。ぜひ日帰り温泉とセットで楽しんでみてくださいね。
一輪の華

「帰りの車で食べられる軽食がほしいな」「地元で愛されているお店に行ってみたい!」という方にぜひおすすめしたいのが、南小谷駅のメイン通りに店を構えているパン屋さん「一輪の華」。

元々、ご主人が中華料理店で働いていたことから、店名に中華の「華」の文字を入れているのだとか。
1991年の創業以来、ご夫婦で素朴でリーズナブルな愛されパンを小谷の方々に届けています。

お店に入ると、実家に帰ってきたかのような安心感と空腹を刺激する焼きたてパンの香りに包まれます。
店内はお客さんが2〜3人入ると一杯になってしまいますが、そのこぢんまり感故に、奥さんにおすすめのパンを聞いたり、世間話をしたりするには落ち着く空間。アットホームな空間で、ゆっくりとお気に入りのパンを見つけてみてくださいね。

奥さんにおすすめのパンを聞くと、「ハードロールは創業からずっと50円。フランスパンなので、どなたでも食べやすいですよ。外国人の方に人気なのは、おぐら。英語は話せないんですが、スイートビーンと伝えると買ってくれる人が多いです」と、丁寧に教えてくれました。
そしてなんと食パンとコッペパンは、近隣の小中学校給食にも卸しているのだそう!“小谷のパン屋さん”の看板を一身に担う偉大なお店であることが伺えました。

じっくり悩んでテイクアウトしたのは、おすすめのおぐらとデニッシュ生地のチョコバナナクロワッサン、オレンジの3種類。
生地がさっくりとしていて、中からフルーツがごろりと出てくる贅沢感がたまりません。
ほかにも自宅で食べる用に、コッペパンやハードロール、チーズフランスなどのお食事パンもたっぷりゲット。
時間が経ってもふんわりとしていて、朝食やおやつにぴったりのサイズ感のパンたちは、お土産にも最適です。

お店は10:00オープンですが、全種類のパンがそろう13:00〜14:00の来店が狙い目だそう。支払いは現金もしくはQRコード決済に対応しております。
小谷ならではの地元名店を探している方は、ぜひ来店してみてくださいね。
小谷村の散策

小谷村の魅力をもっと知りたい方は、ぜひ小谷村の散策をしてみてはいかがでしょう。
小谷村には北南にまたがって一級河川の中谷川が流れており、特に雪景色の中谷川は絶景!水が勢いよく流れる様子や、マイナスイオンに包まれた村の雰囲気を楽しむことができるでしょう。

南小谷駅周辺には、日本海側から太平洋側へ塩や、海の産物を運ぶために使われていた「塩の道」が残っています。モデルコースの中でも1番綺麗に整備されているため、初心者でも安心して歩くことができますよ。
毎年5月3日には「塩の道祭り」が開催され、村全体を上げたイベントとして盛り上がりを見せます。
ほかにも小谷村郷土資料館や、おたり名産館などで歴史の理解を深めたり、新緑シーズンには日本百名山にも選ばれた雨飾山や、北アルプスの湖・風吹大池といった大自然の絶景探しに出かけてみても良いでしょう。
小谷村の日帰り温泉施設3選
ここからは、小谷村にある日帰り温泉施設を3つご紹介。小谷温泉をはじめとした各種温泉を堪能できます。
贅沢に湯巡りして、それぞれの温泉の効能を存分に楽しんでみても良いでしょう。
山田旅館

小谷温泉が開湯したのは、今から470年前の1555年。
昭和時代までは山田旅館を含めて数軒の旅館で小谷温泉に入れましたが、現在は山田旅館が小谷温泉を楽しめる唯一の宿となっています。

山田旅館では、1回1時間程度の「立ち寄り風呂」と、個室で休憩しながら何度でも入浴できる「休憩日帰り湯治」の2種類の日帰り利用、もしくは宿泊ができます。

山田旅館の魅力は、登録有形文化財にも指定されている6棟の建物と、温泉とのコラボレーションが楽しめるところ。本館、新館、浴槽棟などが登録有形文化財に指定されており、どこから見ても歴史の重なりを感じる圧巻の光景が楽しめます。
日帰り温泉の受付時間は、10:00〜14:30まで。1人700円でたっぷりと小谷温泉の恩恵を受けられます。
ただし、入浴料は現金のみの支払いのため、来館する前に現金を用意して来てくださいね。

趣のある廊下の先にあるのは、横並びになった男湯と女湯の入り口。
窓から見える雪景色に別れを告げ、いざ入浴です。

扉を開けると、まず目に入ってきたのはジャバジャバと降り注ぐ豊富な源泉!
旅館のすぐ裏から、加水や加温をせず引いている44度の源泉を打たせ湯として堪能できるのだとか。

さらに、体を洗うかけ湯も源泉をそのまま使用。なんとも贅沢な源泉の使い方に、思わず「小谷温泉に来てよかった!」と心の声が漏れてしまいます。

体を洗い流して湯船に浸かると、柔らかなお湯が全身を包み込んでくれるような感覚に。
滝のように流れる源泉の音と、ほわんとした湯煙が漂う浴室内が心地よく、リラックスしながら温泉を堪能できました。

浴室内には寝湯エリアや、頭を預けられる木製枕もあるため、ぼーっとするにはうってつけ。疲れや悩みを浄化したいときに、ゆっくり浸かってみても良さそうです。

また、4月中旬〜11月上旬の時期には、展望風呂もオープン。
標高850mの山腹にある山田旅館からは、周囲の山々と見渡す限りの空が独り占めできます。雪の心配がなく、車で観光しやすい4〜11月の時期は、初めて小谷温泉に来る人におすすめの季節だと言います。
宿泊、日帰りともに、公式サイトからチェックしてみてくださいね。
道の駅おたり

小谷名産のランチが食べられる「道の駅おたり」には、日帰り温泉「深山の湯」を併設。ランチを食べに来たついでに、手ぶらで日帰り温泉を楽しむことができます。

12:00から18:00〜19:00ごろまで入浴できる深山の湯は、北小谷温泉と風吹荘源泉の混合泉。入浴後に肌がすべっとして、いつまでもぽかぽか温かい嬉しい泉質を持っています。

受付でタオルを受け取り、いざ入浴!浴室内には、源泉掛け流しの「熱湯」、温度を抑えている「ぬる湯」、そしてメインの「露天風呂」の3種類がありました。

まずは洗い場で汚れを落とし、室内の熱湯でじっくりと体を温めていきます。
肩までお湯に使っていると、とめどなく流れる源泉の湯音や、立ち込める湯煙に、心の芯の部分が解きほぐされる開放感も感じられます。

体がほてってきたところで露天風呂へ移動し、ゆったりと温泉に身を委ねます。
思わず「極楽…」と呟いてしまうほど、心も体も浄化されるような温泉時間が過ごせました。

深山の湯では、1回の入浴料で1日に何度でも入浴OK!
ランチを食べた後にもう一度入浴したり、小谷観光の合間に立ち寄ったりと、旅のスケジュールに合わせて利用してみると良いでしょう。
サンテインおたり

JR大糸線「中土駅」から歩いて15分の場所にあるサンテインおたり。
JR大糸線増便バスの停留所にも指定されている観光スポットです。(2025年2月時点の情報となります。JR大糸線増便バスの最新の運行スケジュールについてはこちらを参照ください。)

館内にあるのは、自家源泉「下里瀬(くだりせ)温泉」が楽しめる大浴場、地元で有名な美味しい手打ちそばが食べられるお食事処、小谷の名産品がそろった売店の3スポット。
普段から地元の方や観光客、スキーや登山客の方々で賑わっています。

下里瀬温泉が開湯したのは、1972年のこと。アルカリ性が強く肌の汚れを落としてなめらかにする効果や、湯冷めしない効果が実感でき、別名「美肌の湯」とも呼ばれています。

入浴受付は12:00〜19:30まで。大人700円、小学生350円で日帰り入浴が楽しめます。
受付を済ませたら、ワクワクしながら天然温泉ののれんをくぐり、いざ入浴です。

浴室内にあるのは、泡沫(うたかた)湯、圧注(あっちゅう)湯、寝湯、檜の水風呂の4種類の温泉。
源泉温度が31.8度のため加温はされていますが、水風呂だけは源泉温度そのままで楽しめるそう。

陽の光がたっぷり入ってくる浴室は、源泉の蒸気に包まれたほんわか空間。旅の思い出を振り返り、ぼーっとリフレッシュするにはうってつけの空間です。

首までじっくりと浸かっていると、かすかに肌がぬるっとするような感覚が。
後から話を聞くと、温泉が肌の汚れを落としてくれる時に、ぬるっとする感覚が感じられるのだそう。入浴中に温泉の効能を実感できてホクホクです!

浴室内では、ぶくぶくと泡が出る泡沫湯で刺激を受けたり、じっくりと寝湯を楽しんだりと、過ごし方はさまざま。
湯上がり後も、畳が敷いてある保養室でごろ寝をしたり、テレビを見たりとゆったりと湯上がりタイムを楽しめました。
アクセス
小谷村へのアクセスは、バスを利用する方法、新幹線とJR大糸線を利用する方法など、いくつかの手段があります。
観光の目的や季節によってもアクセスの良し悪しが変わるため、詳しくご紹介します。
【首都圏からのアクセス】北陸新幹線+JR大糸線
まず、北陸新幹線を利用して、糸魚川駅まで移動します。東京からは最速列車の場合、2時間ほどで到着します。
大阪からの場合は、JR特急サンダーバードに乗車し、敦賀駅まで移動します。敦賀駅から北陸新幹線に乗り継ぎ、2時間ほどで糸魚川駅に到着します。
糸魚川駅からはJR大糸線に乗り換え、小谷村のある北小谷・中土・南小谷駅などで下車。思い思いのスポットで、小谷観光を満喫できます。
【首都圏からのアクセス】高速バス+JR大糸線
東京からアクセスする場合、バスタ新宿や東京駅八重洲口から、高速バスを利用する方法もあります。
高速バスを利用する場合、小谷村の隣にある白馬村行きで調べるとスムーズにアクセスできます。「白馬町」や「白馬駅」で下車し、JR大糸線で北小谷・中土・南小谷駅へアクセスできます。
大阪から高速バスを利用する際も同様に、白馬村行きのバスを調べると良いでしょう。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。