銀座・歌舞伎座に佇む「寿月堂」：隈研吾建築で味わう日本茶と和スイーツ

大人の魅力あふれる街、銀座には、老舗の美食店が数多く点在します。建築家・隈研吾氏が設計を手がけた歌舞伎座の屋上庭園に隣接する「寿月堂」は、創業160年を超える海苔と日本茶の専門店。店内は3000本の竹が織りなす禅の空間で、最高品質の日本茶とこだわりの抹茶スイーツを心ゆくまで堪能できます。

ライター

miho

東京

台湾出身の作家、クリエイター、コンテンツディレクター（旅行業務取扱管理者資格保有）

自身で運営するSNSアカウント合計15万人のファン数を誇る。

300店舗以上取材経験から最新情報・穴場・伝統なスポットを把握しており、台湾・アジアで日本に関する本を6冊出版している。

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歌舞伎座に潜む、極上抹茶と日本茶の隠れ家「寿月堂」

生粋の抹茶好きなら、タピオカドリンク店へ向かう足を止めて、これまで深く知る機会がなかったかもしれない歌舞伎座を訪れてみませんか？というのも、ここにはMATCHA編集部員が忘れられないほどの高品質な日本茶と抹茶スイーツを味わえる専門店兼喫茶、「寿月堂」が隠れているんです。

創業165年の海苔老舗「丸山海苔店」が世界に日本茶文化を発信する場所「寿月堂」

1854年に一枚の海苔から歴史を紡ぎ始めた老舗「丸山海苔店」は、当初日本橋に店舗を構え、職人たちが日本各地の漁場を駆け巡り、試食と検証を重ねて厳選した最高の海苔を販売していました。その後、関東大震災を経て築地へと店舗を移転。今では多くの高級寿司店や日本料理店、ミシュラン星獲得店などのシェフたちが丸山海苔を指名するほど、業界からの厚い信頼を得ています。

ある時、お客様から「美味しい日本茶も提供していないの？」という声が寄せられたことをきっかけに、丸山海苔店は一念発起し、日本茶専門店「寿月堂」を設立することを決意。茶禅の精神を融合させ、日本茶の魅力を追求し、世界へと発信しています。

お茶の品質への揺るぎないこだわり

寿月堂で使われる茶葉は、静岡県産の上質なものや、鹿児島県産の鮮やかな緑色の茶葉が中心です。これらをブランドが多角的に評価・選定し、焙煎してオリジナル茶葉として提供しています。抹茶には最高級の宇治抹茶を使用し、店内では石臼で挽きたての抹茶を提供。湯沸かしや急須などの茶器を用いて、専門の茶藝師が淹れるお茶も味わえます。

寿月堂のお茶の最大の特徴は、あえて長時間焙煎しないことです。これにより、茶葉本来の自然な香りと風味が生かされ、清々しく爽やかな味わいを楽しむことができます。

隈研吾氏が手がける、まるで竹林のような歌舞伎座銀座店

2008年、寿月堂は繊細な食文化を持つフランス・パリにも店舗をオープン。その際、国際的な建築家である隈研吾氏にデザインを依頼しました。そして2013年、歌舞伎座が第五期の姿として生まれ変わったのを機に、寿月堂はこの伝統文化の聖地を通じて、より多くの訪日観光客に日本茶を好きになってもらいたいと考えました。そこで再び、竹や木材といった自然素材を巧みに用い、自然との共生を表現する隈研吾氏に依頼し、独自の「茶禅の世界」をデザインしてもらったのです。

店内には合計3000本の竹が使われ、静かで落ち着いた、まるで竹林の中にいるかのような空間を創り出しています。歌舞伎を観劇に訪れた多くのお客様が「銀座にこんなにリラックスできて、心が落ち着く良いお店があったなんて驚きだ」と口にするほどです。

歌舞伎座の屋上庭園を眺めながら、光の移ろいとともに変化する景色の中で、丁寧に淹れられたお茶を味わうひとときは、忙しい都会の喧騒を一時忘れさせてくれます。

丁寧な手土産で、どんなシーンでも好印象を

店舗では海苔とお茶関連のギフトも販売しています。取材当日も、外国人観光客の方が自国へのお土産として日本茶のギフトセットを選んでいる姿を見かけました。

隈研吾氏が設計した第五期歌舞伎座の外観が描かれたティーバッグセットは、玉露、有機抹茶入り玄米茶、有機焙じ茶、有機煎茶が入っており、折りたたみ式のリーフレットを開くと歌舞伎座の歴史が紹介されています。（500円）

フランスの有名ポップコーン専門店とコラボレーションした有機抹茶ポップコーンは、元々寿月堂パリ店限定でしたが、好評につき日本国内でも販売されるようになりました。添加物や油は一切使わず、有機栽培の抹茶で作られており、サクサクとした清涼感のある風味は、一般的なべたつくポップコーンとは一線を画します。（1箱 630円）