サムライ文化と精神が息づく会津若松市―オススメの名所7選と旅の楽しみ方
福島県の会津若松市は、会津藩の城下町として栄え、今もサムライの伝統が色濃く残ります。武士の文化が深く感じられる7つの名所のほか、地域の食材を使った食事処やラーメン店、温泉が楽しめる宿、また、ゆったりとウォーキングで周るスポットなどをご紹介します。
サムライの街「会津若松」へ
鶴ヶ城の天守閣からの眺め
東京から列車で約3時間で行ける福島県会津若松市。明治維新(1868)の際、新政府軍に対してサムライたちが最後まで戦った場所として有名です。
会津若松では、現代でも、丁寧に保存された史跡や歴史的建造物、郷土料理からサムライの精神を感じることができます。
さらに、弓道や座禅など、武士の文化を体験できるワークショップも開催。四季折々に変化する情景を楽しみながら、飯盛山といった歴史スポットをゆっくりと歩いて周るのもオススメです。
ここでは、会津若松への旅で外せない7つの名所とともに、オススメの宿やグルメをご紹介します。
会津若松市へのアクセス
東京から会津若松市への移動は簡単です。
東北新幹線で郡山駅(東京駅から1時間20分)へ行き磐越西線(ばんえつさいせん)に乗り換えれば、1時間ほどで会津若松駅に着きます。列車の待ち時間を含め、東京からは約3時間です。
1. 鶴ヶ城――歴史に残る砦
春の鶴ヶ城 Picture courtesy of 極上の会津プロジェクト協議会
到着後、まず鶴ヶ城に向かいましょう。600年以上も前に築かれたこの城は、創建当時の石垣や掘割(ほりわり)が残っています。
冬の鶴ヶ城 Picture courtesy of 会津若松観光ビューロー
天守閣には、この城の歴史や、この地で繰り広げられた合戦の資料が展示されています。最上階からは、庭園や山並みが一望できます。
鶴ヶ城では、さまざまな行事が定期的に開かれています。中でも春の桜と秋の紅葉のライトアップは見事なので、お見逃しなく。
2. 日新館――サムライの文化を学ぶ
鶴ヶ城で会津の歴史を学んだ後は、日新館を訪ねてみてください。ここでは武士の文化を体験することができます。
1803年に完成した日新館は、当時、日本有数の藩校(武士の学校)として知られていました。藩士の子弟など1,000人ほどが、ここで中国の古典や礼儀作法、武術などを学びました。現在、館内には当時の様子が分かる資料が展示されています。
さらに、ここでは武士の生活が体験できるワークショップも開催されています。筆者は今回、弓道(弓で矢を射る武道)体験に参加させてもらいました。そのほか、茶道や民芸品の絵付け体験などもあります。
どれも予約が必要なので、日新館の公式HPまたは旅行代理店から申し込みましょう。
3. 堤製作所――刀鍛冶たちの末裔
会津若松市の歴史的な遺産は、鶴ヶ城や日新館のような歴史的建造物だけではありません。サムライの伝統は、現役の地元企業にも受け継がれています。
そのひとつが、農具である鍬(くわ)の専門メーカー、堤製作所。創業者は刀鍛冶でしたが、19世紀後半に廃刀令が布告された後、鍬を作るようになりました。
地元ガイドに調整してもらい、筆者は堤製作所の見学ツアーに参加しました。
見学ツアーの参加者は、事前に申し込めば伝統的な刀鍛冶の衣装をまとって鍛造作業を体験することができます。体験では、自分だけのレターオープナーを作れますよ。
4. さざえ堂――絶景を堪能
さざえ堂もぜひ訪れてほしい名所です。200年以上前に建てられたこのお堂は、世界的にみても珍しい様式の建築です。
それは、中の通路が二重の螺旋になっていること。上りと下りが別の通路になるため、参拝者はすれ違わずにお参りできます。
さざえ堂は会津若松市や周囲の山並みを見渡せる飯盛山にあります。その飯盛山からは素晴らしい眺望が楽しめ、市街地だけでなく、鶴ヶ城も撮ることができます。
5. 松平家墓所――静かな森を散策
松平家墓所は、初代会津藩主によって1657年、墓所として指定された場所。
以後、藩主が埋葬されるたびに、その業績を記した石碑が建てられていきました。現在は全国から人が集まる史跡となっています。
松平家墓所は、会津若松市で朝の時間を楽しむのに絶好の場所。サムライ文化に触れられるだけでなく、森の中を気持ち良く散策できますよ。
6. 天寧寺――座禅を体験
天寧寺は、松平家墓所から徒歩で行ける距離にあります。山の上にあるため空気は清々しく、本堂には静けさが漂います。
天寧寺では、事前に電話で相談をすれば40分間の座禅を体験させてもらえます。静かな本堂でお香の香りに包まれると、ゆったりとした気分となってくるでしょう。
7. 戸ノ口原古戦場跡・飯盛山――「白虎隊」ゆかりの地でウォーキング
白虎隊のお墓 Photo by Pixta
1868年の明治維新をきっかけにサムライの時代が終わり、新政権のもとで日本の近代化が始まりました。しかし、この移行はスムーズには行われず、1868~1869年にかけて、旧幕府軍と新政府軍が衝突する「戊辰戦争」が勃発しました。
「戊辰戦争」時、会津藩は旧幕府軍に味方し、新政府軍と戦いました。その際、戸ノ口原合戦場では、15~17歳の若者たちによる「白虎隊」も参戦。
しかし、次第に追い詰められた彼らは、長さ150メートルの地下用水路・戸ノ口堰洞穴をくぐって飯盛山中腹へ逃れ、その地で自決しました。
現在、戦の重要なポイントとなった十六橋周辺から戸ノ口原古戦場跡はウォーキングができる場所となっています。また、飯盛山中腹の白虎隊自決の地には、彼らのお墓が見られます。
会津若松市の郷土料理と地酒
「田季野」――会津の食材を生かした料理
お腹がすいてきたら、「田季野(たきの)」へどうぞ。
古い建物をリノベーションしたこの食事処では、多彩な郷土料理を食べることができます。中には、「天ぷらまんじゅう」といった珍しいものも。
餡が詰まったまんじゅうは、天ぷらの薄い衣に包まれ、外はカリッとして中は柔らかく、ほんのりと暖かく仕上がっています。会津風ジェリードーナツとも言えるかもしれません。
「会津らぁ麺 うえんで」――人気のご当地ラーメン
会津山塩ラーメン
ラーメン好きの人にぜひチェックしてほしいのが、1972年創業の老舗店「会津らぁ麺 うえんで」です。昔ながらの味わいが楽しめる「中華そば」や、地域で採れる塩を使った味わい豊かな「会津山塩らぁ麺」をぜひ試してみてください。
末廣酒造――受け継がれる伝統
会津の特徴は、サムライの文化だけではありません。ここは日本有数の酒造りが盛んな地域でもあります。中でも末廣酒造は、150年以上地元で愛されてきた酒造です。
末廣酒造では、100年以上の歴史がある醸造設備を見学することができます。酒造りの歴史を知ると、お酒がもっとおいしく飲めるでしょう。
見学後は酒蔵ショップで試飲して、おみやげを購入することもお忘れなく。
会津での宿泊――旅館2選
「料理旅館 田事」――絶品の料理
会津若松市は見どころが多いので、ゆったり連泊するのがオススメです。
魅力的な宿はたくさんありますが、筆者がオススメしたいのは「料理旅館 田事」です。
料理に定評があり、旅行者だけでなく、地元の人たちにも人気です。建築も魅力的で、昔の風情が感じられます。
「くつろぎ宿 千代滝」――山間の温泉宿
Picture courtesy of くつろぎ宿 千代滝
もう1泊するなら、温泉宿に泊まるのはどうでしょうか? 会津若松市には多くの温泉がありますが、特にオススメは、山間に建つ「くつろぎ宿 千代滝(ちよたき)」。
「千代滝」は最上階に設けられた露天風呂が有名で、山の清らかな空気を吸いながら、美しい景観を堪能できます。
サムライの歴史と文化を体験する
会津若松市には、今もサムライの精神と遺産が残っています。武士の文化を体験してみたい方は、ぜひ会津若松市を訪れてみてください。
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Written by Chris
Main image by Pixta
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