【福島】雪にお城に猫!冬の会津若松1泊2日旅で美と癒しを味わおう
福島県にある美しい城下町、会津若松。江戸時代から続く大内宿、築600年の鶴ヶ城、かわいらしい「ねこ駅長」、さらに明治、大正、昭和とさまざまな時代の建物が立ち並ぶ七日町通り周辺など、多くの魅力があります。特に雪に包まれた冬景色は、幻想的な魅力に満ちていますよ。
建築やグルメを楽しめる冬の会津若松旅へ!
雪の中を走る鉄道の絶景が有名な福島県の会津若松。かつては江戸と東北地方を結ぶ交通の要衝であり、大内宿(おおうちじゅく)をはじめ、当時の栄華を物語るスポットが今も多く残っています。
今回は冬の会津若松で、美しい建築やグルメなどを楽しむ1泊2日旅に出かけましょう!
1日目:会津若松の城下町と芦ノ牧温泉へ
東京あるいは仙台から会津若松までは、新幹線やJRを使って2~3時間かかります。少し遠く感じるかもしれませんが、この距離のおかげもあり、会津若松には今も古い町並みが保存されているのです。
1日目は、まずかつての城下町を散策してみましょう。城下町へは、会津鉄道の七日町駅が最寄りです。JR会津若松駅からバスで行くこともできますよ。
歴史的建造物が集まった城下町散策
七日町通りと野口英世青春通りは、もともと城下町であり、今も50~100年以上の歳月を重ねた歴史的建造物が並んでいます。明治時代、大正時代、あるいは昭和時代にできたこれらの建物からは、町の歴史と個性が見て取れます。
明治・大正・昭和の3時代の蔵造りの建物が連なる「末廣(すえひろ)酒造の嘉永蔵(かえいくら)」は、会津若松の有名酒蔵。お酒を買うのはもちろん、酒蔵見学や試飲もできます。
中にある喫茶店では、自家醸造酒を使ったケーキなどのスイーツが楽しめます。ほんのりお酒の香りがして、あまり飲めない人でも日本酒のおいしさを堪能できますよ。
公式HP:https://www.sake-suehiro.jp/kurakoubou/access.html
大正時代の雰囲気を彷彿とさせる「大正ロマン」の代表的建築が「白木屋漆器店」。外観は少し灰色がかった白色の西洋建築で、内側は会津らしい土蔵造りという和洋折衷建築です。
職人がひと筆ひと筆塗り上げた漆器は、繊細さや精巧さ、ツヤなど、すべてにおいて大量生産品とは比べ物になりません!
公式HP:https://www.shirokiyashikkiten.com/
老舗菓子屋「長門屋」の店舗の1つ「長門屋 七日町店」。新旧の融合を目指す考えが、近年リニューアルされた建物にも、和菓子にも反映されています。
稀少な会津産の鬼クルミを使った「香木実」、一切れずつ絵柄が変わる羊羹「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」などは、必ず買いたい銘菓です。
公式HP:https://shop.nagatoya.net/
「料理旅館 田事」では、会津若松の郷土料理「めっぱめし」が楽しめます。高温で蒸したご飯には、ほかの食材の味がよく浸み込んでおり、一口ごとにおいしさが広がります。
ランチセットはボリュームたっぷり。食べ切れなかったらおにぎりにしてくれるため、持ち帰りもできます。
定番の3種類のめっぱめしのうち、筆者の1番のオススメは山菜せいろめっぱめしです!
日本の高名な細菌学者、野口英世が手術を受けたこともある明治時代の古い建物「会陽(かいよう)医院」。ここがリノベーションされて生まれ変わったのが、喫茶店「会津壹番館」です。
このカフェでぜひ試してほしいのが、会津はちみつ珈琲。自家焙煎の豆を使ったコーヒーに、小瓶入りの会津産はちみつが付いてきます。残ったはちみつは、持って帰れます。
公式HP:http://www.uyou.gr.jp/aizu-ichibankan/index.html
通りには、ほかにも多くの古い建物があります。美しい建物には1つ1つ独自のストーリーがあり、見飽きることがありません。
西若松駅──芦ノ牧温泉駅
半日散策して疲れたら、温泉で休みましょう! 西若松駅から会津鉄道に乗れば、約15分で芦ノ牧温泉駅に着きますよ。
乗車前に、西若松駅の窓口で「大内宿共通割引きっぷ」を購入しましょう。会津鉄道の一定区間に乗れるだけでなく、大内宿を走るレトロなバス、猿游号(さるゆうごう)1日フリー乗車券が付いてきます。今回の旅の必須アイテムですよ!
片道と往復があり、筆者は往復切符を購入しました。
大内宿共通割引きっぷ |
内容:片道/往復の会津鉄道割引乗車券+猿游号1日フリー乗車券
①片道……西若松駅→会津田島駅/会津田島駅→西若松駅(途中下車可能です。逆戻り不可)
②往復……西若松駅⇌湯野上温泉駅/湯野上温泉駅⇌西若松駅(往復1回の利用)
有効期間:会津鉄道は2日間(片道または往復1回の利用)。バスは乗車日1日限り
料金:片道・往復とも大人2,200円、子ども1,100円
詳しくは公式HPをご覧ください。
芦ノ牧温泉「大川荘」
「大川荘」に一歩入ると、流れる水の音とともに、三味線の生演奏が出迎えてくれます。まるで桃源郷に来たかのような気分に浸れるでしょう。中国語や英語にも対応しているので、訪日観光客も安心です。
Picture courtesy of 大川荘
「大川荘」には、すばらしい露天風呂があります。大浴場の露天風呂は、棚田のようなだんだん造りになっており、さまざまな高さや角度から景観を楽しめます。
夜は、1日4組限定の「空中露天風呂」もあります。空中露天風呂は、崖にせり出すように設けられており、四季の絶景と自然が楽しめます(夜間貸切料金3,300円、詳細は公式HP)。
温泉を楽しみ、豪華な夕食に舌鼓を打った後、まだ余力があれば「大川荘」の餅つきショーを見学してみてはいかがでしょうか?
餅つきショーでは、つきたてのお餅を味わえますよ。さらに、館内のおみやげ屋さんを見てみてもよいでしょう。もちろん、ぐっすり寝て、朝にまた温泉を満喫するのも素敵ですよ!
なお、芦ノ牧温泉駅から「大川荘」へは、無料の予約制送迎バスが出ています。
2日目:ねこ駅長、大内宿、会津若松城へ
「大川荘」で朝食を食べた後、送迎バスに乗って芦ノ牧温泉駅へ向かいましょう。ここでは、会津鉄道で1番かわいい「駅長」に会えますよ。
芦ノ牧温泉駅のねこ駅長
1999年、地元の小学生の嘆願がきっかけで、1匹の野良猫が芦ノ牧温泉駅に住み始めました。これが芦ノ牧温泉駅の初代ねこ駅長「ばす」です。
2008年に駅長に就任した「ばす」は、すでにこの世を去りましたが、現在は2匹の猫が後を継いでいます。2代目名誉駅長「らぶ」と施設長「ぴーち」です。
2代目名誉駅長「らぶ」。取材のため特別に撮影許可を頂きました
2匹は交代で出勤し、駅の巡回や列車の出迎えなどをしています。
冬の待合室で、ねこ駅員さんが見守る中、熱いコーヒーを飲めば……。心が満ち足りて、電車に乗りたくなくなっちゃうかもしれませんね。
亡くなった「ばす」が多くのフラッシュを浴びて視力障害になったため、現在、芦ノ牧温泉駅ではねこの撮影は禁止されています。
でも大丈夫! 待合室には、至るところに3匹のねこ駅員の写真や絵が飾られています。さらに、カレンダーやポストカードといったグッズを買って帰れば、いつでも彼らのかわいい姿を見られますね。
次の駅「湯野上温泉駅」には、1日目に購入した「大内宿割引きっぷ」を使って行ってみましょう!
湯野上温泉駅から大内宿へ
「湯野上(ゆのかみ)温泉駅」は、大内宿へ向かう際に必ず立ち寄りたい場所です。木造駅舎の屋根は茅葺きで、駅に入ると薪を燃やす香りがします。
薪は旅人を温めるだけでなく、屋根を燻し、害虫の繁殖も防ぎます。駅の横には無料の足湯もあります。雪景色を見ながら足湯を楽しめる駅なんて、滅多にありませんよ!
昔、冬に大内宿に行くには、自分の車で行くか、湯野上温泉駅からタクシーに乗るしかありませんでした。
でも、2019年から往復シャトルバス「猿游号」が冬も運行するようになりました。このバスは「大内宿共通割引きっぷ」で乗ることができますよ。
大内宿散策
Picture courtesy of 下郷町 総務課 総合政策係
日本でもっとも有名な茅葺屋根の集落の1つ「大内宿」には、壮麗な日本家屋が立ち並んでいます。
冬に大雪が降ると、茅草の上には厚い雪が積もり、昔話のように幻想的な世界が広がります。どんなに寒くても、その絶景は一見の価値ありです。
その昔、ここは東北と江戸を結ぶ街道の宿場町でした。現在は観光地となりましたが、家屋には今も地域の方々が住んでおり、皆が努力してこの土地の歴史と家を守っているのです。
冬に楽しめる温かい「ねぎそば」も(写真後方)
「萬屋(よろづや)」では、大内宿では外せない名物「ねぎそば」が食べられます。新鮮で大きなねぎを箸の代わりに使って蕎麦を食べるのが正統派の食べ方だとか。こうすると、汁とねぎ独特の辛味が口の中に広がります。
ねぎ1本食べられなくても大丈夫です。もちろん、お箸も借りられるので、難しければお箸を使って食べてくださいね。
ここで印象的だったのは、お婆ちゃんが悠々と川魚を炙っている姿です。コテコテの会津弁で「たくさん食べてね、暖かくするようにね」と声をかけてくれる心遣いに、身も心も温まるようでした。
ねぎそばを堪能した後は、再び「大内宿割引きっぷ」で猿游号に乗り、湯野上温泉駅へ戻って、そこから会津鉄道で西若松駅に行きましょう。
次は、会津若松のシンボル「鶴ヶ城」へ向かいますよ。
美しき精神を表す「鶴ヶ城」
Picture courtesy of 極上の会津プロジェクト協議会
この美しい城は、「会津若松城」と呼ばれることが多くありますが、地元の方々は「鶴ヶ城」と呼んでいます。もともとは天守閣を擁する7階建ての城でしたが、度重なる災禍により、現在残っているのは5階までです。
しかし、今でも東日本でもっとも美しい城郭の1つとして、さらに現存する日本唯一の赤瓦の城として「日本100名城」に名を連ねています。城マニアの筆者がもっとも愛する城の1つでもあります。
Picture courtesy of 極上の会津プロジェクト協議会
赤瓦と白壁の組み合わせの前には、ほかの装飾は無用でしょう。冬、白い雪の中に赤い瓦が顔を覗かせる姿は、神の一筆で描かれたかのような美しさです。
それは、どんなに厳しい環境でも毅然とした強さを持つ会津精神を象徴しています。
2020年冬のスペシャルイベント
Picture courtesy of 極上の会津プロジェクト協議会
世界が白銀色に包まれる冬、鶴ヶ城と大内宿では雪まつりが開催されます。雪まつりでは、数え切れないほどの「会津絵ろうそく」の雪灯篭が、夜の鶴ヶ城と大内宿を彩ります。
Picture courtesy of (一財)会津若松観光ビューロー
2020年には「スカイランタン」も登場する予定です。雪が積もった地面から空に放たれる灯りが、お城と大内宿を温かく包んでいくのは、えもいわれぬ美しさです!
期間限定の冬の夜の雪まつり、1年のうちたった1度の幻想美をお見逃しなく。
日程 | 場所 | スカイランタン日程 | |
会津絵ろうそくまつり | 2020年2月7、8日 17:30~21:00 |
鶴ヶ城、御薬園、市内各所 | 2020年2月7日 |
大内宿雪まつり | 2020年2月8、9日 (2月8日 13:00〜18:00) (2月9日 10:00〜14:00) |
大内宿 | 2020年2月8日 |
Written by chia
Supported by 会津鉄道
Main image courtesy of 極上の会津プロジェクト協議会