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【丹波市】スイーツやランチでカフェタイムを楽しみ ホテルで現代アートひたるとびっきりの時間
丹波市柏原町にある『cafe ma-no(カフェ マーノ)』は、大きな木製の車輪が目じるしのホテル併設のカフェです。「いろんなモノやコトをつなげる手のような店に」という思いが込められています。
カフェの原点は「笑顔が見たい」から
バリスタ兼パティシエの北さんがこの仕事を選んだのは、「人の笑顔が見たい」というのが一番の理由。ケーキを買いに行く時、おいしいものを前にした時、怖い顔をする人はいませんよね。
「おいしいのはあたりまえ、それを楽しむ場を提案したい、豊かな気持ちになるきっかけの場を作りたい」と北さん。
2012年のオープン時から変わらないコンセプトは、「誰が作ったかわかる素材を選び、その背景まできちんと伝えること」。
今では一般的なシングルオリジンのコーヒーもオープン時から提供。実際に生産地に行って農場を見て生豆を選んでいる東京の「NOZY COFFEE」から仕入れています。
コーヒー豆は、コーヒーの木になる果実の種です。新鮮で上質な豆は、さわやかな甘さを備えていますが、食卓に並ぶまでにいろんな人の手を通って、味や風味が変わってきます。
「コーヒーは苦い」と敬遠する人においしいと言ってもらうためにも、誰がどのように作っているかを確かめ、一杯一杯丁寧に淹れているのです。
夏の『コーヒージュレパルフェ』など、見た目も華やかな季節のパルフェもおすすめです。
ジュレラテは、神戸の「TAOCA COFFEE」の豆で抽出する香り高いコーヒーを使用して作ったジュレと丹波乳業のコクのある牛乳がマッチ!なめらかな食感でするりとのどを通ります。
素材にこだわったオリジナルのドルチェ
『ma-no』 のドルチェは甘さは控えめです。なかでもリピーターが多いティラミスは、イタリア・ガルバーニ社のマスカルポーネ、「NOZY COFFEE」のエスプレッソシロップ、丹波の「カンナンファーム」の卵を使っています。
素材の良さを生かすために引き算で考えたら「甘さ」を一番に引くことになったそう。チーズとコーヒーがミックスされたさわやかな味とくちどけの良さがたまりません。
ショーケースにはテイクアウトできるドルチェやグラノーラが並んでいます。焼き菓子は、「コーヒーや紅茶に合う」をテーマに作られたもの。バターサンド、カヌレ、スフレサンドなど、時季によって違うものが登場します。
焼き菓子は通販でも購入可。わざわざ取り寄せる価値あり!の上品な味わいで、実は筆者もお取り寄せを活用中。
生ケーキやタルト、オーダーメイドで好みのホールケーキも注文できますよ。
地元農家が丹精込めた野菜を使うランチ
ランチは、メイン料理と丹波の野菜たっぷりの『日替わりプレートランチ』がおすすめ。農家から届くとれたての野菜を見てから調理法を決めるので、何が出てくるかはお楽しみ。ディナーは予約がベストです。
食事のあとにはコーヒーを飲んでほっとひといき。ナチュラルで温かい『ma-no』の雰囲気に浸っていると、気持ちがゆったりしてきます。
屋久島に丹波の味を届ける
屋久島店は、毎月1回、2日間のみの営業ですが、オープン時間の前から地元の人を中心に行列ができるほど人気です。きっかけは北さんが友人を訪ねて屋久島を旅したこと。
人口1万人の島に20万人の観光客が訪れるため、必然的に島内の飲食店は、観光客を対象に島の特産品を提供しています。島から出る機会のない住民は、島外のものを食べる機会はありません。それなら丹波のものを食べてもらおう!と屋久島出店を決めたそう。
店舗は丹波の職人たちがこだわって建て、北さん一人でも効率的に料理ができるようにキッチンは業務用、内装もおしゃれです。
流行の古民家改装かと思い込んでいただけに、その力の入れようにびっくりしました。腰をすえて店に取り組むという心意気は島の人にも伝わり、丹波の食材を使った料理はとても喜ばれているそうです。
「島の人に聞いて観光客が訪れることもありますが、基本は地元の人を対象にした店です。これからも島にないものを届けたい」と北さん。
「店を作ってくれてありがとう、おいしい料理をありがとう」と言ってもらえる笑顔が、遠距離移動を存続させる原動力になっています。丹波と屋久島を行き来するため、自身が見つけた屋久島の素材を丹波で提供できるメリットも。
「美術館に泊まる」ような特別なホテル
先ごろ『ma-no』の1階に完成したのが「HUBHOTEL KITAYA」です。
コンセプトの「Do a Child」とは、「子どもをする」という意味。単なる宿泊施設ではなく、『ma-no』の世界観を表現する一つの手段です。
「もっとお客さんと話したくて、伝えたくて、行き着いたのがホテルを作ることでした。1日1組限定でゆっくり楽しんでもらえます」と北さん。
非日常へと誘うトンネル「光の回廊」は、灯りが3カ所、神社の鳥居のように設置されています。そのうち1本は未完成?と思いきや、自然光が入ると完成するしくみ。それも特定の日時のみだそうです。
子どものように無心で感じるままに動いていいホテルです。
例えばこの出窓、ここに寝そべって真横に地面や草花の存在を感じながら、木漏れ日やガラス天井に広がる雨の波紋を眺めるなんて、なんて素敵なんでしょう。
部屋に入ってすぐにある「大樹の壁」は、いろんな種類の自然木を組み合わせて人間社会を表しています。1本1本異なるピースが人間で、壁から5歩離れて見ると全体がまとまって見えます。
「一人ひとり、違っていい」ということが視覚で伝わってくるようです。
「額」【絵になる】は、額縁に見立てたブルーの空間。ここに座れば、絵の中にいるようで、人生の主役は自分、そんな感覚になれます。
壁の裏側にはスロープがあって、上ったりくぐったり、窓から自然に顔を出したくなります。顔を出す瞬間、自然に笑顔がこぼれるから、「笑顔の窓」というネーミングになったそうです。
裏側の小さなトンネルをくぐる時は、ハイハイをしないと移動できません。
まさに子ども(赤ちゃん)に戻る瞬間ですね。
北さんが糸ノコでピースを作った木製の日本地図「時を越える地図」は、宿泊者が自分の住所にピンを立てます。「近所にピンがあったら、出会ったこともないその人に親しみがわくでしょう」と北さん。
カウンターで説明する北さんの話に興味がなければ、いくらでも隠れるスペースがあるので、そこで読書をしていてもいいんです。
本棚を動かすと秘密のらせん階段が出てきます。階段の途中にはいくつもの小さなスペースがあり、寝転がって本を読んでもいいし、本当に寝てもOK。
「ハリーポッターの本棚とドラえもんの押し入れをイメージしました。スマホを置いて自分の世界で遊んでほしい」と北さん。次の工事では、このスペースの奥の本棚を開けたら『ma-no』の店内につながるそうです。
「思いのあるプロ職人が全力で作ったホテルです。ここに来て、『自分にも何かできる』と意欲を持って帰ってもらえたら」と北さん。トイレもお風呂も意表をついた設計で、バリアフリーではありません。でも、自己管理する、自分でイメージを膨らませる、そんな時間を過ごせる場所だと感じました。
屋根の上に設置された椅子に座って、まわりを見渡すと何かが違って見えるかも。現代アートを独り占めしたような感覚になれるホテルは、「子どもをする」ことで、ものの見方を少しずらしてみよう、と思えるスポットでした。
北さんに現代アートプロデューサーという新しい肩書ができたようです。
宿泊は3食付きの1棟貸し。詳細は直接お問い合わせください。
(ライター 松田/ウエストプラン)
※本記事は2023年8月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
基本情報
cafe ma-no(カフェ マーノ)
住所:兵庫県丹波市柏原町母坪402−1
電話番号:0795-71-4110
営業時間:11:00~18:00
定休日:木曜
アクセス:・JR石生駅から徒歩約20分・舞鶴若狭自動車道氷上ICから車で約10分
駐車場:18台
Online shop:https://teikibin.thebase.in/
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