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【神戸市】これぞ都会のオアシス!見どころ満載「神戸市立相楽園」
園内には「旧ハッサム住宅」や「船屋形」などの重要文化財、蘇鉄園や樹齢500年の大クスノキ、春にはツツジ、秋は紅葉と見どころ満載。なにより、散策しやすいように手入れされた園内の木々たちの元気な姿に癒やされます。
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神戸の街の真ん中に日本庭園「相楽園」
「相楽園(そうらくえん)」があるのは、兵庫県庁舎や兵庫県公館、兵庫県警本部ビルがあるJR元町駅の北側エリア。「こんなところに日本庭園が!」と驚く人もいる場所です。
でも、ビルが立ち並ぶ前から「相楽園」はありました。明治末期に完成した小寺泰次郎氏(元神戸市長小寺謙吉氏の父)の邸宅を1941(昭和16)年に神戸市が譲り受けたものです。
ここができた頃に思いをはせれば、海外からもたらされる多くの文化と日本らしさが融合していくさまを感じずにはいられません。洋装で仕事に出かけ、休日は和服でくつろぎ園内を散策。そんな風景が思い浮かびます。
当初は園内に多くの蘇鉄(ソテツ)があったことから蘇鉄園と呼ばれていましたが、中国の古書『易経』の一節「和悦相楽(わしてよろこびあいたのしむ)」から「相楽園」と名付けられ、一般公開されるようになりました。
近年は、外国人観光客の姿も多く見られ、取材日(平日)は感覚的に2〜3割が外国人の個人観光客。他には、結婚式の前撮りに来られたグループ(神戸での和装の前撮り定番スポットです)や近くの幼稚園児の遠足など、実に多彩。まさに「都会のオアシス」と呼ぶにピッタリの場所です。
園内には国の重要文化財が3件も
建設当時の建物として残っているのは、総ケヤキ造りの正門と「旧小寺家厩舎」(重要文化財)です。
「旧小寺家厩舎」は、明治・大正期に活躍した建築家・河合浩蔵(かわい こうぞう)氏が設計しました。
河合浩蔵氏が設計した建物は、神戸地方裁判所庁舎や旧日濠会館(現 海岸ビルヂング、登録有形文化財)、旧三井物産神戸支店(現 海岸ビル、登録有形文化財)などが残っています。円型の塔屋に急勾配の屋根に屋根窓など、ドイツ民家風に作られた厩舎で、左側が馬車庫で右側が馬房、2階が厩務員宿になっています。
「旧ハッサム住宅」(重要文化財)は、インド系イギリス人貿易商J.K.ハッサムの邸宅です。中央区北野町にあったものが移設されました。洋風な外観に瓦屋根。明治時代の異人館の特徴がよく残っています。主屋の裏にある使用人の部屋や倉庫、東門も含めて、国の重要文化財に指定されています。
他にも前庭にある2本の街灯(ガス灯)は、旧居留地にあった国内最古級のもの。見どころが多い建物です。内部の見学は、GWの頃と紅葉シーズンに特別公開されています。
船屋形(ふなやかた、重要文化財)と呼ばれる建物は、江戸時代、姫路藩(姫路市)所有の川御座船の屋形部分です。
御座船とは、大名の参勤交代や遊覧用に使われた船のこと。船屋形は、唯一現存している川御座船として、国の重要文化財に指定されています。こちらも旧ハッサム住宅と同時期の年2回、公開されます。
他にも見どころいっぱい「相楽園」
重要文化財に目がいきがちですが、他にも見どころがたくさんある相楽園。人気のシーズンは、4月中旬から6月上旬にかけて咲くツツジの季節です。園内一円でドウダンツツジから始まり、キリシマツツジ、ヒラドツツジ、サツキツツジと楽しませてくれます。
秋の紅葉シーズンも人気です。特に日本庭園の風景は見事なもの。農業用だった池を巧みに利用した池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)があり、美しい景色が広がります。ドウダンツツジやモミジがあり、紅葉の美しさは相当なものに違いありません。
日本庭園は季節を問わず楽しめるのも魅力です。鳥のさえずりや鹿威し、水琴窟など、耳でも楽しませてくれます。池の周りをめぐれば、滝があり、洞窟のようなところもあり多彩。深山幽谷の世界をあらわし、洞窟は別世界との境界。くぐれば音も風も光も変わるので、自然との対話を楽しみましょう。
正門を入ってすぐ右手にあるのが蘇鉄園。ソテツは寿命が長いことから縁起がいい植物とされています。小寺泰次郎氏の思い入れが深い植物で、鹿児島から取り寄せ植樹したといわれ、樹齢300年を超えるものもあります。蘇鉄園というだけあって、これだけの数があるのは珍しいそうです。
樹齢500年といわれる大クスノキ。神戸市の市民の木に指定されています。
この木を植えたのは、織田信長に反旗を翻したことで知られる荒木村重。花隈城築城の際に、鬼門の方角にあたるこの場所に植えたと伝わっています。相楽園の中心でドンと構える姿。風格があります。根元の大灯籠(雪見灯籠)の大きさにも驚きます。傘の広さは畳6畳強、重さは11トンとか。(基礎(足)部分は傷みがあったため取り換えられています)
もう1本、神戸市の市民の木に指定されているのが白松(ハクショウ)です。マツの仲間で日本では珍しく、中国では「神聖な木」といわれています。見事な樹形に惚れ惚れします。
両方の市民の木を眺めることができるスポットが芝生広場。小寺氏の時代には、毎年この場所で園遊会が開かれていました。元気のいい木々に囲まれたパワースポットです。
日本庭園内の通路は細くアップダウンのある場所も多いですが、歩きやすいように手入れされているので気持ちのいい散策ができます。 何気なく見つけた木の生命力に驚かされたり、はっと息をのむ美しさに出会ったり、訪れる度に発見があります。木の名前の札も多く、二次元コードもあるので、植物観賞や学習の場としてもいい場所です。
ところどころに配置された石灯籠もおもしろい。なかには、サイコロの目をしたものもあり、遊び心が感じられます。楽しみ方は人それぞれの相楽園。
確実に言えることは、夏は涼しく、春と秋は彩り豊かに、冬も常磐木(常緑樹)の生命力にあふれた気持ちのいい空間ということ。まさに都会のオアシスです。
休憩なら相楽園パーラー
複数の重要文化財がある相楽園内には、「相楽園会館」という神戸の迎賓館として使われた建物がありました。この歴史を引き継ぎ、2018年から「THE SORAKUEN」として、レセプション会場や結婚式の披露宴会場など、特別なおもてなしを提供する場として運営されています。
館内に足を踏み入れれば納得の雰囲気。奥へと進むと「相楽園パーラー」があります。ランチ時は、満席になる人気店。数量限定の日替わりランチ(平日限定)や但馬牛の焼肉丼、ハヤシライスなどがあります。
今回はカフェタイムをご紹介。日本庭園を眺めながらのテラス席が人気で、パフェやケーキセットなど、季節を感じるメニューがそろっています。
いただいたのは、定番の人気商品「自家製プリン」(550円)。小野市にある「鶏園みやもと」の平飼い卵をたっぷり使い、硬めに仕上げられたプリンは、どこか懐かしさを感じ安らぐ味わい。オレンジリキュールを使ったクリームが、店の雰囲気同様に大人な印象を与えてくれます。
クリームの下にオレンジの果実もあり、周囲に散らされたオレンジの皮を添えれば、爽やかな酸味のアクセントが加わり、味の変化を楽しめます。コロナ禍に地元の食材を使った名物を作ろうと研究を重ねられただけあって、たくさんの想いが詰まった一皿。これを求めて訪れるファンがいるのもうなずけます。
相楽園パーラーでは、期間限定のイベントも開催されています。例えば、2023年6月1日〜8月31日までは、神戸のソウルドリンクとして知られる「アップル」を提供するイベントを開催。長田区・兵庫区以外ではほとんど見かけない老舗のジュースを相楽園の夏の涼しげな景色を眺めながらオシャレに頂ける貴重な企画です。公式サイトでチェックしてください。
相楽園パーラーの営業は17時まで。ライトアップされた日本庭園を眺めながらディナーを楽しみたい人は、2階の「レストラン相楽」へ。ただし、完全予約制です。
相楽園への行き方(アクセス方法)
相楽園には駐車場はありません。公共交通機関の利用をおすすめします。最寄り駅は神戸市営地下鉄「県庁前」駅下車北へ徒歩5分です。バスを利用される場合は、神姫バス山手線「地下鉄県庁前」下車徒歩5分。
お得な「シティーループバスチケット(1日乗車券、2日乗車券)」ならば、山手線ルートも利用できます。ただし、山手線ルートは本数が少ないのでご注意ください。「シティーループバス」については、こちらの記事を参照ください。
(ライター 塚本隆司)
※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
基本情報
神戸市立相楽園
住所:神戸市中央区中山手通5-3-1
電話番号:078-351-5155
営業時間:9時~17時まで(入園は16時30分まで)
休園日:毎週木曜日(祝日の場合は開園、翌日休園)、12月29日~1月3日
入園料:大人(15歳以上)300円、小中学生150円
アクセス:神戸市営地下鉄西神・山手線「県庁前」駅 徒歩5分神戸高速鉄道東西線「花隈駅」徒歩15分阪神本線「元町駅」徒歩10分 、 JR神戸線「元町駅」徒歩10分神姫バス山手線「地下鉄県庁前」徒歩5分
公式サイト:http://www.sorakuen.com/
SNS:https://www.instagram.com/sorakuen_kobe/?hl=ja
相楽園パーラー(THE SORAKUEN内)
住所:神戸市中央区中山手通5-3-1
電話番号:078-341-1191(代表)
営業時間:11時~17時
休園日:毎週水曜日(臨時休業あり)
料金:相楽園入館時のレシート提示で100円引き
アクセス:直接「相楽園パーラー」に行く際は「北門」から入れます、「正門」から入園の場合は別途入園料が必要
駐車場:あり 無料、5台(予約はできません)
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