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東京、中野、大和町の緑に囲まれた「蓮華寺」は、中野の未来を育むヒントに溢れていた!
東京、中野区大和町の住宅街にある「蓮華寺」を紹介します。 山門をくぐると、はにわがお出迎え。「子どもたちの笑顔のために」代々続く思いにも迫ります。
ハロー!ナカノ観光レポーターの「Kimder Garden(キムダーガーデン)」です。初レポートは、中野区大和町の住宅街にある古刹「蓮華寺」。副住職の井野上 正範(いのうえ しょうはん)さんに、お話を伺うことができました。
蓮華寺の歴史
正式名称は、「日蓮宗 泉光山 蓮華寺」。建立は江戸時代の1658年まで遡ります。徳川三代将軍家光の側室「お楽の方」が四代将軍家綱を懐妊した時に、北山本門寺(静岡県富士宮市)の14代住職「日優上人」に安産祈願を依頼。無事に出産し、それ以来、同寺を厚く信仰するようになりました。その信仰のもとで文京区(今の椿山荘近く)に建てたのが、「蓮華寺」のはじまり。その後、1911年から大正初期にかけて、今の場所に移築されました。
現住職の先見の明に驚愕!蓮華寺は「SDGsなお寺」だった
井野上さんから、「本堂の外側は、現住職が自らの手で伐採した境内の樹木を使って最近修繕した」と教えてもらいました。「境内の樹木を多く使って外側を形成しているお寺はあまりないと思います」との井野上さんの言葉にもびっくり。本堂の中は、江戸時代に移築された当時のままとのこと。現住職は自然への感謝を込めて、木を伐採するたびに花の咲く木を植えています。まさにSDGs!
蓮華寺最大のイベント「花まつり」とは
お釈迦様の誕生日を祝う「花まつり」。蓮華寺では、4月の第1日曜日に毎年開催しています。先代住職が「戦後の疲弊した世の中で、子どもたちが笑顔を取り戻すにはどうしたらよいか」模索していた時、近所に住んでいた出版社の会長から、「子どもたちにうちの学習雑誌の付録を配ってはどうか」と提案をもらったのが原点。75年経った今でも(2024年現在)、この日お参りした子どもたちにお菓子と付録が配られています。
1日のみの開催ですが、1,500人が集う大型イベント。当日は境内のステージで、子どもたちによる太鼓のパフォーマンスがあります。「見ている子どもたちが、同世代から刺激を受けることが嬉しい」と話す井野上さん。2024年は子どもたちが自由に絵を描けるスペースで、アーティストとのコラボレーションもありました。
「はにわ」がいるお寺ってカワイイ!?
山門をくぐってすぐのところに、「はにわ」が鎮座。お寺にはにわが珍しくて、井野上さんに理由を聞いてみました。はにわの窯元がある茨城県真壁町に通っていた、檀家さんからの寄進とのこと。「いつも目が合うはにわがいて、もう真壁町に通わなくなるので思い切って購入することにした。はにわのあるお寺として世間に知られるのも良さそうなので、置いてもらえないか」という強引な(笑)申し出に、「武士のはにわなので、お寺を守ってくれるだろう。武器を持っていないことだし、本堂の外なら」と快諾し、今に至ります。蓮華寺の懐の深さにほっこりしました。
蓮華寺が目指すもの
井野上さんに、これからの蓮華寺について伺ったところ、「地域のみなさんをはじめ、多くの方が気軽に蓮華寺を訪れ、それをきっかけに少しでも教えに興味を持ってもらえたら嬉しい」と話してくれました。入口に建つ石造の文字にも、その思いが表れています。最近は、海外からの来訪も増えているのだとか。「日本語表記の看板しかないので、『関係者以外立ち入り禁止』の場所を伝えることも課題」とのことでした。
蓮華寺の池は未来につながっている!
インタビュー後に案内していただいた場所。木々に隠れて気づかなかったのですが、覗き込んだところに巨大な池があってびっくり。この池は湧水で、かつて流れていた蓮華寺川の源流とのこと。当時の蓮華寺川は、洗濯したり、スイカを冷やしたりと、生活に欠かせない川だったそうです。「現在は暗渠になっている」と井野上さんに教えてもらったので、取材後に辿ってみました。
暗渠の出口を見つけた時、感動のあまり震えが止まりませんでした。なんと、中野区立美鳩小学校の真下だったのです。中野の歴史を紡いできた蓮華寺の池が、未来を創る子どもたちが集う場所に続いているとは!こんなハッピーエンドってあるんですね。See you!
日蓮宗 泉光山 蓮華寺
所在地:中野区大和町4-37-15
アクセス:JR中央線「高円寺駅」より徒歩15分
西武新宿線「鷺ノ宮駅」より徒歩20分
関東バス(中野駅北口より阿佐ヶ谷行きバス)「お伊勢の森」下車1分
中野区は、東京都23区の西部に位置しています。サブカルチャーの「聖地」と呼ばれる「中野ブロードウェイ」が特に有名ですが、それ以外にも歴史ある神社・仏閣やグルメなど、多くの観光資源を有しています。 中野駅周辺で「100年に1度」とも言われる再開発が進み、まちの移り変わりが進む一方、昔ながらの人情味あふれる商店街が賑わっているなど、中野のまちは多様な面を持っています。そんなまちの多様性が、約1.7万人、約120カ国の人が住むというまちの特徴にもつながっています。