黒湯が名物の新潟県岩室温泉の8つの楽しみ方。湯けむり漂う温泉街で五感を使った観光体験を!
新潟県のほぼ中央、新潟市西蒲区にある岩室温泉。ここでしか食べられないグルメや、温泉街ならではの名産品、体験スポットがぎゅっと凝縮されています。温泉を楽しみつつ、五感を使って体験できる岩室温泉街の8つの楽しみ方をご紹介します。
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目次
- 短時間でぽっかぽかになれる岩室温泉ってどんなところ?
- 1.新潟食材の良さを最大限に引き出してくれる「秀石菴」
- 2.北国街道を行く旅人の休息地だった菓子店「角屋悦堂」
- 3.創意工夫が凝らされた和菓子「小富士屋」で胸踊るショッピングを
- 4.店の外まで漂う異国の香りに好奇心が刺激される「ネファラ」
- 5.越後平野や温泉街が一望できる日帰り温泉「よりなれ」
- 6.3種類の源泉掛け流しが贅沢に堪能できる「だいろの湯」
- 7.持ち物不要!手ぶらで藍染め体験ができる「藍と白」
- 8.黒湯たっぷりの足湯が併設されている「いわむろや」
- アクセス情報
短時間でぽっかぽかになれる岩室温泉ってどんなところ?
岩室温泉が開湯されたのは、今から300年余り前の江戸時代の頃。北国街道(ほっこくかいどう)を通る旅人たちの休息の地として発展し、温泉街一帯には水分補給ができる和菓子店や、温泉どころが今も軒を連ねています。
岩室温泉が他の温泉と異なるのは、特徴的なお湯の色。多くの硫黄成分が炭素等と結びつき、温泉の色が黒く染まります。この細かな黒い粒子が足裏などの肌につくと、肌が黒くなることもありますが、これも岩室温泉の個性の一つ。温泉からの“お墨付き”をもらったと思って、楽しんでみてくださいね。
泉質は高張性弱アルカリ性で、神経痛や肩こり、冷え性、ストレスによる諸症状など、さまざまな優れた効能で有名です。優れた泉質から、国民保養温泉地にも指定されていますよ。
ただ、高張性弱アルカリ性という泉質上、長風呂は厳禁。体内の水分が体外へと出ていきやすい(脱水症状を起こしやすい)ため、のぼせるまでの時間が早いのだとか。入浴前後には、必ずお水をたっぷり飲んでおくと良いそうです。
1.新潟食材の良さを最大限に引き出してくれる「秀石菴」
岩室温泉街のちょうど真ん中付近にあるのが、平成9年創業の「懐石 秀石菴」。
兄の小林信太郎さんと、弟の阿部竜太さんで営む秀石菴では、新潟の食材を使った日本料理を、落ち着きある店内でいただけます。
今回いただいたのは懐石おまかせコース。
8品の日本料理と、お菓子と抹茶がついてくる人気のコースです。
1品ずつ、良い頃合いで提供される料理たちは、どれも見た目が美しいものばかり。季節や料理によって器や箸置きにも変化をつけているそうで、料理との一期一会が楽しめます。
この日は、新潟の野菜を使用した煮物や、山椒がアクセントになった胡麻和え、プリップリの白子などが堪能できました。
「日本の春夏秋冬が感じられる料理と、それに合う器やお酒のマッチングを楽しんでもらいたいです。季節によって使用する食材、料理が異なるので、日本ならではの旬の味覚を提供できればと思っています」と語る店主の小林さんと阿部さん。
「次に訪れたときにはどんな料理食べられるだろう?」と、思わず再訪に思いを馳せてしまう名店でした。
2.北国街道を行く旅人の休息地だった菓子店「角屋悦堂」
秀石菴を出て、左に数十歩進むと見えてくるのが角屋悦堂(かどやえつどう)。
江戸後期創業の角屋悦堂は、もとは蓑や傘などを売る雑貨店だったそう。
北国街道の発展により少しずつ菓子を販売するようになり、今では老舗菓子店として岩室温泉街を支えています。
店内には1個から購入できる温泉まんじゅうや、金鍔、最中などがずらり。
どのお菓子も早朝からお店で手作りしており、手作りの温かさと素材を生かしたやさしい味わいが伝わってきます。
今回いただいた金鍔は、口に入れた瞬間に金鍔とは思えないほどのフレッシュさが感じられてびっくり!みずみずしく炊かれた小豆と、噛み締めるほどに感じられるやさしい甘みに、心が安らぎました。
お店は朝8時から19時まで、冬季は18時半の営業です。営業時間も長いため、早朝や夜遅くのお土産購入にもぴったりです。
3.創意工夫が凝らされた和菓子「小富士屋」で胸踊るショッピングを
角屋悦堂から2〜3分歩いた先にあるのが、明治2年創業のお菓子処・小富士屋。
今や岩室温泉の名物となっている「岩室せんべい」を製造・販売しています。
店内のショーケースには、旅館で小腹が空いたり、その場で食べたりするのにぴったりな和洋菓子がずらりと並びます。
旅の土産におすすめだと太鼓判を押してくれたのは、西蒲区で採れるブランドいちじく・越の雫を使用した「いちじく羊かん」。
常温でも保存でき、賞味期限が3ヶ月ほどと長いため、外国人人気もあると言います。
あんこを使わず、いちじく100%で仕上げた羊かんは、とてもみずみずしく、ジャムのような舌触り。
いちじく特有のつぶつぶ感も楽しめ、お茶やコーヒーとの相性も良さそうです。
「うちは不思議と、1代に1商品、すごく流行るお菓子を作るんです。3代目が岩室せんべい、4代目が雁の子、5代目がたまご饅頭、私たちの代では豆腐プリンですね。どのお菓子も1、2個から販売しているので、ぜひお土産にしてみてください」と、店主の武藤さんが語ってくださいました。
時代ごとに好まれたお菓子と、今も変わらぬ味に思いを馳せるのも一興でしょう。
4.店の外まで漂う異国の香りに好奇心が刺激される「ネファラ」
小富士屋から200mほど温泉街を散策すると、見えてくるのが南インド料理専門店・ネファラ。古き良き日本の温泉街で、異国の地の料理を食べる“オツ”な体験をしたい旅人にぴったりなお店です。
インド料理と聞くとカレーを思い浮かべますが、話を聞くとどうやら「カレーとは似て非なるもの」だと言います。
カレーに1番近いのは、サンバルと呼ばれる酸味のあるスープ状の料理。
メインで提供しているのは、ミールスと呼ばれる南インドで言うランチ定食にも付いてきます。
ネファラの料理は、現地の味をそのまま再現するために、パラパラとしたインド米を使用。
そのほか、インドのドーナツ・ワダ、インドのピクルス・アチャール、豆のペースト・クトゥなど、見た目も豪華で華やかな料理がワンプレートで登場しました。
「マトンカレーとご飯は混ぜずに、そのまま。そのほかの野菜のおかずは、インド米と混ぜながら食べると、味の変化が楽しめますよ」というアドバイスをいただき、早速実食!
カレーはスパイスが効いたピリ辛風味で、温泉街散策で疲れた身体に染み渡る温かさ。さらっとしたテイストはインド米に馴染みやすく、パクパクと食が進みます。
日本では見慣れない野菜の副菜も、ほんのり甘みがあったり、コロコロとした食感が楽しめたりと、箸休めにぴったりです。
さまざまなおかずとの未知のコラボレーションが楽しめ、なんだか人生の経験値が上がったようなランチが経験できました。
5.越後平野や温泉街が一望できる日帰り温泉「よりなれ」
お腹が満たされ、お土産も購入できたら、いよいよ岩室温泉を堪能する贅沢タイムの到来!
朝10時から20時まで営業している日帰り温泉施設・よりなれは、旅の疲れをほぐすのにぴったりなスポットです。
よりなれの入浴料は、タオル付きで大人1回500円。小人と市内在住の65歳以上の方は、1回300円で入浴できるというので驚きです。
早速待望のお風呂に入ろうとすると、受付の方に「お水飲んだ?」と声をかけられました。
「岩室温泉は、ほかの温泉よりも温泉の成分が身体に浸透しやすくてね。温泉に入る前と後には、たくさん水を飲むといいよ」と丁寧に説明くださいました。
受付横の給水機でたっぷりお水を飲んで、いざ入浴!
ゆっくりと露天風呂に浸かると、手や足からじんわりと温まり、旅の疲れがホッと和らぐのを感じます。
首までお湯に浸かると、短時間でも額に汗が滲み出てきて、岩室温泉の凄さを実感。
ポカポカとした心地は湯船から出た後も続き、心も体もリフレッシュできました。
6.3種類の源泉掛け流しが贅沢に堪能できる「だいろの湯」
岩室温泉街から1kmほど離れた場所にあるのが、多宝温泉が楽しめる「だいろの湯」。
岩室温泉とは異なる源泉を3本も保有しており、一度に3種類の温泉巡りが楽しめる日帰り温泉施設です。
3本の源泉は1本ごとに異なる効能を持っており、それぞれ「大庭露天風呂」「内湯」「露天打たせ湯」に使用されています。
例えば大庭露天風呂に使用されている源泉は、美肌効果が高く、浸かるとお肌がスベスベに!男女合わせて毎分160Lの掛け流しなので、常に新しい温泉に浸かれるのも魅力の1つです。
内湯に使用されているお湯は、アルカリイオンが豊富なため、リラックス効果があるのだとか。
休憩を挟みながら、体調や気分に合わせて湯巡りができます。
また、だいろの湯では、日によってお湯の色が変わる面白さも体験できます。
乳白色になったり緑色っぽくなったり、同じ時間に男湯と女湯で色が変わったりと、予想がつかない変化も旅の思い出になるでしょう。
今回筆者が、たっぷり時間をかけて浸かったのは、美肌や血流促進効果が期待できる「大庭露天風呂」。
50畳の広さを誇る露天風呂は、開放的でぼーっとするのにうってつけ。
露天風呂とはいえ小屋のように覆われているため、寒さを感じることなくゆっくりと湯船に浸かれました。
7.持ち物不要!手ぶらで藍染め体験ができる「藍と白」
なにか形に残る旅の思い出がほしい…。そんな時にぜひ訪れてほしいのが、藍染め体験ができる「藍と白」です。
岩室温泉街の中心部にある藍と白では、1日2組限定でマンツーマンの藍染め体験ができます。
そもそも藍染めとは、植物の藍から採れる塗料で布を染める技法のこと。紀元前6000年ごろから西アジアで使われていたそうで、日本へは奈良時代に伝えられたと言われています。
藍と白では色持ちの良い人工藍を使用し、ビー玉やホース、輪ゴムなどを用いて、思い思いの模様が出せるように思考錯誤。
マンツーマンで体験できるため、店主の清野さんと相談しながら理想の模様が追求できます。
筆者は、ホースを使用して波のようなグラデーションの巾着を作ろうとしましたが、清野さんからは「布が2枚重なっている分、両面とも波のような模様にはならないかも」とのアドバイスが。
それでも諦めきれずに失敗覚悟で挑戦したところ、両面ともグラデーションの巾着が浮かび上がり、清野さんと筆者は大興奮!
「予想以上の染まり方を見せてくれる。これが藍染めの魅力ですね」と、藍染め体験の醍醐味を肌で感じられました。
藍と白では、藍染めした布をレジンで閉じ込めたピアスやイヤリング、ネクタイピンなども販売。洒落た手土産として、友人や家族に購入しても喜ばれそうです。
8.黒湯たっぷりの足湯が併設されている「いわむろや」
旅も終盤。地元野菜や新潟土産を探すときにうってつけなのが、新潟市岩室の観光施設・いわむろやです。
岩室温泉を中心に、西蒲区全体の歴史や文化、観光情報を発信・案内してくれるスポットです。いわむろやに行けば、地元で採れたばかりの野菜や漬物、岩室土産まで、なんでも入手できます。
「最近は自転車のレンタルも始めたので、弥彦神社や岩室周辺をサイクリングで楽しむ方も増えています。電動自転車は1日500円、スポーツタイプの自転車は1日1,000円でレンタルできます」と、いわむろやの方が案内してくださいました。
岩室温泉に着いたら、まずはいわむろやで旅のウォーミングアップをしても良さそうです。
また、いわむろやには地元民から愛される無料の足湯スポットも!
向かい合って座れば自然と会話が始まるようなひょうたん型の足湯は、地元民から観光客までさまざまな方が訪れるのだとか。
ここでは岩室温泉名物の黒湯も、はっきりと確認できますね!
足湯でふくらはぎの疲れをほぐし、岩室温泉の旅は締めくくり。硫黄の香りに包まれながら、最後まで岩室温泉街の魅力を楽しみ尽くせました。
アクセス情報
岩室温泉へのアクセスは、電車とバスを利用する方法、新潟空港から「新潟ウエストコートライナー」を利用する方法など、いくつかの方法があります。
新潟駅と新潟空港のどちらを利用するかによって、アクセスの良し悪しが変わるため、詳しくご紹介します。
【首都圏からのアクセス】上越新幹線+バス
まず、上越新幹線で新潟駅まで移動します。東京からは、最速列車の場合1時間半、各駅停車の場合は2時間15分ほど。
大阪や広島方面から来る場合でも、一度東京や大宮までアクセスする必要があります。
新潟駅に着いてからは、JR越後線に乗り換えて岩室駅で下車。岩室駅からはウエスト観光バスに乗車し、岩室温泉で下車します。
新潟駅を発車してからバス停の岩室温泉までは、およそ1時間半ほどでアクセスできます。
また、積雪のない4月下旬から10月下旬までの土日祝日限定で、岩室温泉がある新潟県新潟市西蒲区を周遊できる「にしかん観光周遊ぐる〜んバス」も運行。
温泉街を中心に、だいろの湯や彌彦神社、カーブドッチワイナリーなど、西蒲区の観光名所を周遊できます。
1日500円のフリーパスで、リーズナブルに岩室温泉街を楽しみ尽くせます。
【新潟空港からのアクセス】飛行機+新潟ウエストコーストライナー
新潟空港から岩室温泉へアクセスする場合は、新潟ウエストコーストライナーの利用がおすすめです。
新潟ウエストコーストライナーは、事前予約制の乗り合いタクシーのこと。片道1人あたり3,000円で利用でき、「新潟ワインコースト」や「彌彦神社」などの観光スポットも巡れます。
【台湾からのアクセス】台湾桃園国際空港から新潟空港
月曜日と金曜日限定で、台湾桃園国際空港から新潟空港への直行便が出ています。所要時間は4時間ほどで、台湾から簡単に新潟へアクセスが可能。新潟空港からは、上記でご説明した新潟ウエストコーストライナーにて岩室温泉まで向かいましょう。
金曜日に出発し、翌週月曜日の直行便で帰国すれば、3泊4日の贅沢な新潟旅が楽しめるでしょう。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。