兵庫県・浜坂温泉郷で感じる故郷の安らぎ。レトロな街を歩き、温泉・海・美食を満喫!

兵庫県の最西北端にあり、周囲を海と山に囲まれた浜坂温泉郷は3つの温泉を有する国民保養温泉地です。昔ながらののどかな街並みを散策して楽しむ温泉旅は、まるで故郷に帰ってきたような安らぎに満ちています。温泉施設や見どころをたっぷり紹介します!
3つの温泉が湧く浜坂温泉郷

兵庫県の最西北端、山陰海岸国立公園のちょうど真ん中に位置する新温泉町には浜坂温泉、七釜温泉、二日市温泉という3つの温泉があります。これらを総称して浜坂温泉郷と呼びます。
1962年に七釜温泉が開湯。翌々年に二日市温泉が掘られ、1978年に浜坂温泉が偶然掘り当てられました。
1991年に浜坂温泉郷は国民保養温泉地に登録されました。

浜坂温泉郷の玄関口は、浜坂温泉のある浜坂駅になります。浜坂駅からバスで20分ほどのところには、開湯1200年の湯村温泉もあります。
泉質・特徴

浜坂温泉郷の3つの温泉はそれぞれ泉質が異なります。
浜坂温泉は保温効果の高い塩化物泉。七釜温泉と二日市温泉は硫酸塩泉で、軽い切り傷ややけどなどに効能があるといわれています。
浜坂温泉の湯量は豊富で、町中にパイプが張り巡らされており、旅館・民宿や公衆浴場、一般家庭など約700戸に温泉が配湯されています。
七釜温泉には旅館・民宿のほか、温泉入浴施設「ゆ~らく館」があります。
二日市温泉は一般には公開されておらず、病院や介護老人保健施設などの医療・福祉施設で利用されています。
浜坂温泉郷は散策とセットで楽しんで!温泉に浸かって、飲んで、足湯も満喫

浜坂温泉郷の魅力は、人々の生活が息づく昔ながらの街並みです。細く入り組んだ路地や木造の家屋、美しい小川の流れを眺めながら散策するのが一番の観光です!
街角には湯の町らしく足湯や飲泉場があり、気軽に温泉が楽しめます。

温泉以外にも、漁業や農業、さらにレコード針を作る製針工場など、古くからの地場産業が根付いています。観光地化された温泉街とは違い、地元の人の暮らしぶりが身近に感じられる、昔ながらののどかな雰囲気が素敵です。

浜坂温泉郷のもうひとつの魅力は海です。
浜坂駅からビーチまでは徒歩15分。海辺には松林と白い砂浜の海岸線が続き、透き通る青い海は海水浴にぴったり。海水浴のあと、温泉入浴施設に立ち寄り、汗を流すのは最高に気持ちいいですよ!

1年を通じて旬の味覚が楽しめるのも浜坂温泉郷の魅力の一つ。七釜温泉の近くの「道の駅 山陰海岸ジオパーク浜坂の郷」は、名産のちくわや世界に誇る但馬牛など地域の名産品の宝庫です。
日帰り温泉施設の紹介
浜坂温泉と七釜温泉には、日帰り利用できる4つの温泉入浴施設があります。各施設の特徴、入浴料を紹介します。
【浜坂温泉】ユートピア浜坂

「ユートピア浜坂」は、地元の人に親しまれている温泉施設。入浴料は大人500円、子ども250円とリーズナブル。(町内の住人は大人300円、子ども150円)

大浴場では、細かい泡が出るバイブラ風呂やジェット風呂が楽しめます。配湯される源泉温度は約70度の塩化物泉で、体の表面につく塩分が保温性を高めてくれるので、湯冷めしにくい温泉です。

駐車場の一角に温泉卵をつくる「ゆで場所」があります。夏は約30分、冬は60分程度で美味しい温泉卵を作って食べることができます。施設で卵は販売していないので、近くのスーパーなどで購入しましょう。卵を入れて温泉に浸けるための「かご」は借りることができます。
【浜坂温泉】浜坂海岸レクリエーションセンター 松の湯

「松の湯」は2時間から利用できる温泉浴室つき簡易宿泊所。ビーチから最も近い温泉入浴施設で、海水浴やキャンプの立ち寄り入浴にも便利です。

利用料は滞在時間によって異なりますが、最も安い2時間で大人300円、子ども150円(町内の住民は大人200円、子ども100円)。
宿泊は大人2,250円、子ども1,120円(町内の住民は大人1,500円、子ども750円)。素泊まりのみですが、自炊設備は完備されており合宿などの団体利用も可能です。
【浜坂温泉】浜坂温泉保養荘

「浜坂温泉保養荘」は宿泊も日帰り入浴もできる温泉施設。
全館にスロープや手すりが施されており、リフター付きの介助浴室などもあるため、車いすの方や、入浴に介助が必要な方も安心して利用できます。

お風呂は、周囲の山々を望む開放的な露天風呂も見どころ。
本格的な会席料理つきの宿泊プランが人気で、冬は松葉ガニのコース料理も味わえます。
日帰り入浴の料金は、大人500円、子ども250円。1泊2食付きの料金は、食事内容によっても変わりますが一般料金9,180円~。
【七釜温泉】ゆ〜らく館

「ゆ〜らく館」は、100パーセント源泉かけ流しの湯を堪能できる日帰り温泉入浴施設。温度は約50度と入浴に最適で、加水や加温の必要がありません。

大浴場のほか、石造りの露天風呂や、貸切できる多目的風呂があります。

料金は大人700円、子供400円。多目的風呂は、大人3名までの場合で2,400円(45分間利用)(町内の住民は大人500円、子供300円)。
営業時間は朝9時から夜10時まで。遅い時間でも利用できるのが嬉しいポイントです。

歩いて10分ほどのところには、街の人たちが運営する足湯「白さぎの湯」もあるので立ち寄ってみてはいかがでしょう? 飲泉もできます。
宿泊はカニ料理を楽しむ「カニソムリエの宿 澄風荘」へ

澄風荘は、浜坂の冬の味覚・松葉ガニをコース料理でいただくことができる宿です。囲炉裏や畳のお部屋など、昔ながらの日本家屋の趣を残した澄風荘は、はじめて来たのにまるで故郷に帰ってきたような安心感があり、心からリラックスできます。
浜坂で水揚げされたホタルイカ、モサエビ、サザエなど、この地域ならではの魚介類を堪能できるお料理が人気です。とくに冬は浜坂産の松葉ガニを目的にやってくる常連客が多いのだそうです。

カニのお刺身からはじまり、カニの天ぷら、焼ガニ、カニ鍋と続き、最後は風味豊かなカニ雑炊で締める、まさにカニ三昧のフルコース!
鮮度抜群のカニは身が甲羅に密着しているのが特徴。きれいに身を取るにはちょっとしたコツが必要ですが、そこは「かにソムリエ」が助けてくれるので安心です!

かにソムリエとは、浜坂名産の松葉がにの魅力をもっと広めていきたいという思いから、旅館・民宿の女将さんなどを対象に誕生した資格制度で、カニの目利きや調理法はもちろんのこと、浜坂の歴史や文化にも精通したスペシャリスト達のことです。
澄風荘の女将もそのひとり。カニ愛と浜坂愛に満ちた女将の軽快な語りは、美味しいカニをさらに美味しくいただく最上級の調味料でした。
食事の後は温泉へ。
澄風荘では、徒歩4分の日帰り温泉施設「ユートピア浜坂」での入浴をおすすめしています。(無料入浴券あり)
せっかくなら、お部屋に準備された色とりどりの浴衣に身を包み、浜坂散策を楽しんで!
アクセス情報

浜坂温泉郷の玄関口は鉄道の浜坂駅。電車、バス、飛行機など様々な行き方があります。
大阪と東京からの主なアクセス方法、所要時間を紹介します。
大阪から電車で行く方法
大阪駅からは特急列車に乗るとスムーズですが、本数が少ないので要注意。乗車には特急券と指定席券が必要です。
・ 大阪駅から「特急はまかぜ」に乗り、浜坂駅で下車。(乗車時間3時間45分)
・ 大阪駅から「特急スーパーはくと」に乗車し鳥取駅で乗り換え浜坂駅で下車。(乗車時間3時間37分)
・ 大阪駅から「特急こうのとり」に乗車し城崎温泉駅で乗り換え浜坂駅で下車。(乗車時間3時間46分)
大阪から飛行機で行く方法
大阪(伊丹)空港から兵庫のコウノトリ但馬空港まで行き、空港からリムジンバスで豊岡駅へ。豊岡駅で列車に乗り換え浜坂駅で下車。(所要時間 約2時間30分)
大阪から高速バスで行く方法
大阪から高速バスに乗車し湯村温泉で下車。薬師湯停留所から路線バスに乗車し浜坂停留所で下車。(所要時間 約3時間30分)
大阪からレンタカーで行く方法
大阪から浜坂までは高速道路を使用し、新温泉浜坂ICを下車。(所要時間 約3時間10分)
東京から電車で行く方法
東京駅から東海道新幹線に乗車し姫路駅で下車。特急スーパーはくに乗り換え鳥取経由で浜坂駅へ。(所要時間 6時間19分)
東京から飛行機で行く方法
羽田空港から鳥取空港まで行き、空港からリムジンバスで鳥取駅へ。鳥取駅で列車に乗り換え浜坂駅で下車。(所要時間 約5時間)
浜坂温泉郷は決してアクセスのよい場所ではありませんが、時間をかけてわざわざ訪れる価値のある場所です。
大阪からの特急列車の車窓からは、姫路城や城崎温泉、日本海など、有名な観光地や美しい景色を見ることができるので、ぜひ移動時間も楽しんでくださいね!
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。