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日本を代表する花のひとつである梅の花について、文化的な側面とともに解説します。併せて、日本各地で開催される梅まつりの情報もまとめてご紹介。梅まつりは梅の花を見て楽しむだけでなく、さまざまなイベントが開催されるので、大人から子どもまで楽しめます。
日本を象徴する花と聞くと、桜をイメージするかもしれません。実は、梅も日本の歴史や文化に深く根付いていて、古くから多くの人に愛されています。
梅まつりとは、日本各地で開催される、梅の花を楽しむことで春の訪れをお祝いする行事です。
この記事では、関東・関西・九州で有名な梅の名所・梅まつりをまとめて紹介します。
梅はバラ科サクラ属に分類される落葉高木(※)です。現在では、改良品種も含めて300以上の種類があると言われています。品種や地域にもよりますが、開花時期は1月下旬〜3月頃。
桜よりも花が咲く期間が長いのが特徴です。花の色は、白やピンク、赤で品種によって異なります。梅は中国から伝来したと考えられていて、それ以来、日本国内で大事にされ文化的にも定着しています。
その証拠に、現存する日本最古の歌集「万葉集(まんようしゅう)」には、梅の花をテーマにした歌が数多く収録されています。
※落葉高木(らくようこうぼく)......季節に応じて葉が枯れ落ちる樹木。高木の明確な定義はないが、一般的に3メートル以上の木を指す。
梅の花は、冬の寒さに耐えて早春に咲くことから、清廉や不屈の精神の象徴とされ、武士や歌人などに愛されました。
開花の時期がお正月と重なるため、縁起の良いものとして親しまれています。
お正月では同じく縁起物とされている、松や竹と一緒に飾られることも多いです。寿命が長く、古木でも芽吹く生命力の強さから、長寿を象徴する花ともされています。
では、可愛らしい梅の花を楽しめる、全国の梅の名所や梅まつりを紹介します。
埼玉県入間郡越生町(おごせまち)で、開催されるのが「越生梅林(おごせばいりん)梅まつり」です。園内は約2ヘクタールの広さで、約1,000本の梅が管理されています。
開花時期には、周辺に自生している梅を含めて約20,000本が咲き誇り、まさに圧巻。
期間中の週末や祝日は、ミニSLや和太鼓による演奏、お囃子(※)などの催しもあり、大人から子どもまで楽しめます。
※お囃子(おはやし)......日本の伝統音楽のひとつで、笛や和太鼓による演奏を指す。
越生梅林(おごせばいりん)
住所:埼玉県入間郡越生町堂山113
営業時間:8:30~16:00
開催時期:例年2月15日(土)~3月16日(日) (2024年12月現在、2025年の予定は未公開)
公式サイト:https://ogose-kanko.jp/tourist_attractions/ogose-bairin/
茨城県水戸市で開催される「水戸の梅まつり」は、120年以上の歴史がある梅まつりです。開催場所の「偕楽園(かいらくえん)」は、日本三名園に数えられる名所。
開花の時期には、約100品種、3,000本もの梅が咲き、春の訪れを告げてくれます。早く咲く品種から遅く咲くものまであるので、長く楽しめるのも魅力です。
2025年で129回目の開催を迎え、夜間の梅のライトアップや茨城県警察音楽隊によるコンサート、お茶会など様々なイベントが開催される予定です。
偕楽園(かいらくえん)
住所:茨城県水戸市常磐町1-3-3
営業時間:6:00~19:00
開催時期:2025年2月11日(火)~2025年3月20日(木)
公式サイト:https://www.ibarakiguide.jp/special/mito_ume.html
「筑波山梅まつり」は、茨城県中南部の「筑波山地域ジオパーク」で開催されます。4.5ヘクタールの梅林に、約1,000本の白梅や紅梅が植えられています。
園内には、「展望四阿(あずまや)」や「せせらぎ橋」、「扇橋」など趣のある建築物が点在しており、梅の花との相性が抜群。
特に、展望四阿からは天気が良ければ富士山も見られるため、日本らしい景色が楽しめます。一部エリアを除いた園内では、無料Wi-Fiも利用可能なので、訪日観光客の方にとっても便利です。
筑波山梅林
住所:茨城県つくば市沼田1688
営業時間:9:00~16:00
開催時期:2025年2月8日(土)~3月9日(日)
公式サイト:https://umematsuri.jp/
ぐんま三大梅林のひとつ「秋間梅林(あきまばいりん)」では、「秋間梅林祭(あきまばいりんさい)」が開催されます。
約50ヘクタールの梅林に35,000本もの梅の木が植えられていて、開花すると辺り一面に紅白梅(こうはくばい)の上品な香りが漂います。
例年の見頃は、3月上旬から中旬。園内は遊歩道が整備されているため、小さなお子さんやお年寄りでも、ゆっくりと散歩しながら梅の花を楽しめます。
まつりの期間中は、梅のライトアップや陶芸体験、雅楽の演奏など色々なイベントが開催される予定です。
秋間梅林
住所:群馬県安中市西上秋間672
営業時間:散策自由
開催時期:2025年2月15日(土)~3月下旬
公式サイト:https://akimabairin.com/
大阪で梅を楽しむなら、「てんま天神梅まつり」がおすすめ。開催場所の「大阪天満宮(おおさかてんまんぐう)」は大阪市内にあり、JR大阪天満宮駅や大阪メトロ南森町駅から歩いてすぐと好アクセスです。
イベントの中心は「盆梅(※)と刀剣展」で、樹齢200年以上の古木や銘木の展示が行われます。
併せて、神社が所蔵する刀剣や「天神画像(てんじんがぞう)」も展示され、日本の歴史をじっくりと感じられる内容になっています。
※盆梅(ぼんばい)......盆栽に仕立てた梅を指す言葉。
大阪天満宮
住所:大阪市北区天神橋2-1-8
営業時間:9:30~16:30(入場受付は16:00まで)
開催時期:2025年2月11日(火)~3月2日(日)
公式サイト:https://osakatemmangu.or.jp/saijireki/ume
菅原道真公(すがわらのみちざねこう)を祀る「北野天満宮(きたのてんまんぐう)」では、菅公(※1)の命日に「梅花祭(ばいかさい)」が開催されます。
境内(けいだい)には梅苑「花の庭」があり、そこには、菅公と縁がある約50種の梅が1,500本ほど植えられています。2025年は1月25日から公開予定。
開花の時期には色々な種類の梅が咲き、その間を縫うように散策路が整備されているので、ゆっくりと梅の花を楽しめます。梅花祭では、宝物殿の特別公開や舞妓による野点(※2)も実施されます。
※1:菅公(かんこう)......菅原道真公の敬称。
※2:野点(のだて)......屋外でお茶をたてて楽しむ茶会のこと。
北野天満宮
住所:京都府京都市上京区馬喰町
営業時間:9:00〜16:00(受付終了15:40)
開催時期:2025年2月25日(火)
公式サイト:https://kitanotenmangu.or.jp/
約10,000本の梅の木が渓谷沿いに広がる、「月ヶ瀬梅渓(つきがせばいけい)」は日本屈指の梅林です。
春先になると、一面に紅白の梅の花が広がる梅の名所として知られています。
梅まつり開催中は、フォトコンテストや俳句大会などのイベントが行われ、数多くの観光客でにぎわいます。
エリア内には、しっかり整備されてくつろげる「梅林公園」や、渓谷の景色が美しい「帆浦梅林」、多数の梅が出迎えてくれる「天神梅林」などがあり、見どころが満載です。
月ヶ瀬梅渓
住所:奈良県奈良市月ヶ瀬長引21-8(観光協会)
営業時間:散策自由
開催時期:2025年2月9日(日)~3月23日(日)
公式サイト:https://tsukigase-kanko.or.jp/umematsuri/
滋賀県大津市にある「石山寺」は、8世紀半ばに建造されたと考えられている歴史あるお寺です。
境内には3つの梅林があり、まつりの時期には約40種類、400本あまりの梅が咲き誇ります。
期間中は、境内のあちこちで100以上の盆梅の展示も行われ、こちらも見どころ。
また、周辺の店舗では、梅にちなんだ料理や甘味、お茶などが提供されます。視覚だけでなく味覚でも梅を楽しめます。
石山寺
住所:滋賀県大津市石山寺1-1-1
営業時間:8:00~16:00
開催時期:2025年2月18日(火)~3月18日(火)
公式サイト:https://www.ishiyamadera.or.jp/
菅原道真公を祀る太宰府天満宮では、「太宰府天満宮門前まつり」が行われます。
この太宰府で開かれた「梅花の宴(うたげ)」に関係する万葉集の一節が、元号(げんごう)「令和(れいわ)」の由来です。
おまつりの期間中は、「曲水の宴」や「門前まつりフェア」などさまざまなイベントが開催されます。
曲水の宴では、平安時代の衣服を着た参加者が、和歌を詠み盃(さかずき)を飲み干す神事が見られます。
門前まつりフェアでは、数量限定ですが「木うそ(※)」への無料絵付け体験も。
日本の伝統文化を強く感じられる内容になっているので、ぜひ足を運んでみてください。
※木うそ(きうそ)......鳥の「うそ」を模した木製の人形。太宰府天満宮では伝統的に神事に用いられている。
太宰府天満宮
住所:福岡県太宰府市宰府4-7-1
営業時間:6:30~18:30
開催時期:2025年2月1日(土)~3月20日(木)
公式サイト:http://mail.dazaifutenmangu.or.jp/moyoshi/monzen.htm
標高80メートルほどの丘のような牛尾山に位置する「牛尾梅林」は、約22ヘクタールの土地に約5,000本もの梅の木を有する広大な梅林です。
山頂からの眺めも良く、開花の時期には、眼下に白い梅の花が広がる絶景を楽しめます。
江戸時代末期から梅の名所として知られていて、県外からも多くの見物客が訪れる人気のスポットです。
梅の花は2月下旬から3月上旬に見頃を迎え、「三里牛尾梅まつり」も同時期に開催されます。まつりでは、地元の農産物や特産品の販売の他、キッチンカーの出店もあります。
例年、まつりの期間中は交通規制が行われるため、シャトルバスの利用がおすすめです。
牛尾梅林
住所:小城市小城町池上4907
営業時間:散策自由
開催時期:例年2月下旬から3月上旬 (2024年12月現在、2025年の予定は未公開)
公式サイト:https://www.ogi-kankou.com/tourist/ushinoo-plumforest.html
梅まつりは、可憐な梅の花を存分に堪能できる絶好の機会です。上品な梅の香りに包まれると、気分も穏やかになりリラックスできるはず。
この記事で紹介した梅まつりに出かけて、ひと足早い春の訪れを感じてみませんか。