旅の準備はじめよう

愛媛県と高知県を結ぶ「JR予土線」。全線開通50周年を迎え、長らく地域の暮らしを支えてきた予土線が運んできたのは、人やモノだけではありません。予土線が運んできた物語をオーディオガイドで伝える新しい列車の旅をお届けします。
今や存続の危機にあるともいわれる予土線。今乗らなければ、見られなくなるかもしれない車窓のひとつとも言われている。
本数は少ないが、宇和島駅から列車に乗って松丸駅で降りると、温泉や水族館、城跡など歩いてまわれる実は知られざる見どころがたくさんある。そして、長らく人々の暮らしの中心を支えていた予土線には、たくさんの物語が詰まっているのだ。
ON THE TRIPの音声ガイドでは、そんな予土線が持つ魅力と、ただ滞在するだけでは気付けない、列車が運んできた物語たちを紹介している。
まずは、往路で予土線の物語や見どころを聴いてほしい。そして、松丸駅でまち歩きを楽しんでもらい、その帰りの列車の中で旅の余韻に浸りながら聴いてみてもらいたい。
ナレーターは、旅する𝙎𝙞𝙣𝙜𝙚𝙧 𝙎𝙤𝙣𝙜 𝙬𝙧𝙞𝙩𝙚𝙧「𝗠𝗶𝘆𝘂𝘂」さん。ぜひ列車のスタートと同時に「よーい、どん!」で、この音声を再生してみよう。移り変わる景色とともに物語が進んでいく。
さらに、今回は予土線のテーマソングもMiyuuさんには制作してもらった。このテーマソングはガイドの最後に収録されている。予土線の旅を終えた帰りの車内で聴きながら、出会った景色たちや今日の思い出とともに、あなたの旅のテーマソングにしてほしい。
Miyuu
・愛媛県生まれ、大阪府育ち
・所属 avex management
レフティのアコースティックギター(ときにウクレレ)を抱え、 京都の寺社仏閣で洋楽を歌う姿がYouTubeで人気を集め、2016年、 「avex×UUUMオーディション」にて、グランプリを獲得。以降、テレビ東京系列「週末旅の極意」エンディングテーマ楽曲提供、CMタイア ップ楽曲の書き下ろしや、全国弾き語りライブを行う。旅からインスピレーションを受け、音楽活動のほか、朝日放送「朝だ!生です旅サラダ」での海外リポーターとしても活動中。
予土線のオーディオガイドでは、たとえば、こんな物語が語られる。
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夜の18時過ぎに予土線を走っていた列車が、突然、線路に侵入していた何者かと接触、緊急停止したのです。現場は竹やぶが多く、夜になると鹿がよく出る区間でした。運転士さんが列車から降りて確認してみると、そこにいたのは動物ではなく、列車とぶつかったにもかかわらず、折れることなく立ち続けているタケノコでした。
「それなら良かった」と、そのまま出発するわけにはいきません。後続の列車のために撤去しなくてはならないからです。しかし、タケノコは頑丈なため、撤去に悪戦苦闘する運転士さんの姿がネットでも話題になりました。
では、それほどのタケノコが生えていたなら前の列車はどうしたのか? と不思議に思う人もいるかもしれません。衝突した列車の前の列車が同じ地点を通り過ぎたのは、およそ1時間20分前のこと。しかし、タケノコは地表に出てくるまではゆっくり成長するのですが、いったん地表に顔を出すとそこからはぐんぐんと成長していく特徴があります。1日で1m30cmも伸びたという記録もあるそうなので、空白時間の1時間20分のあいだに列車と接触するほどに成長していたとしても不思議ではないのです。
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今、あなたが乗っている線路内で起こった出来事だと知れば、これまで何気なく見過ごしていた竹林にも興味が湧いてくるだろう。
もしかしたら、今乗っている列車の運転士が必死にタケノコと格闘していたのかもしれない。もしかしたら、今通り過ぎた竹やぶが例の事件の場所かもしれない。あれ、ここはやけにスッキリしている場所だから、もしかして…。なんて色々な推測が始まっていく。ただ通りすぎていた景色が、物語が少し加わることでまったく違う景色へと塗り変わっていく。
昔、そんなキャッチコピーもあったが、列車が運んでいるのは人や物だけじゃない。予土線に乗れば、きっとそのことを実感する出来事に出会うはず。たとえば、乗客を乗せた列車を見かけると、子どもたちが手を降ってくれるという習慣もその一つだ。
そのことを地元の人に話してみると、乗客に手を振るというのは子どもたちの発案だったそう。
お父さんやお母さん、お兄ちゃんやお姉ちゃんが予土線に乗って通学していたことを聞いて育った子どもたちは、「予土線がなくなったら自分たちはどうしたらいいのだろう」「なくなったら嫌だな、自分たちにできることはないかな」と考えていたのだ。それで、数年前から列車に手を振ることを自分たちではじめて受け継がれているという。
こんなにも地域の人たちに愛されている予土線だが、冒頭でお伝えした通り、今まさに存続の危機をむかえている。それは地域の人口自体が少なくなったこと、マイカーに乗る人が増えたことで列車の利用客が大幅に減ったことが原因だ。
けれども、今でも予土線を生活の要としている人たちも暮らしている。毎日、予土線を利用して通学している学生さんたちや、マイカーがなくて予土線を利用した移動に頼っている住民たちだっているだろう。
この景色はこれから二度と見えないかもしれない。今語ったような物語とともに鉄道に乗れる機会はそう多くもないかもしれない。だから、ぜひ、愛媛に訪れる際は予土線に、ON THE TRIPの物語とともに足を運んでほしい。
音声ガイドアプリ「ONTHE TRIP」は、「あらゆる旅先を博物館化する」をテーマに、様々な旅先で気になったことをその場で深めるトラベルガイドアプリ。
ガイドは多岐に渡り、神社やお寺などの文化財、絶景や温泉地、芸術祭。さらには禅や寿司などのカルチャーまで。
オーディオガイドの使い方は簡単。ダウンロードしたON THE TRIPアプリを立ち上げて、スポットガイドを選択。
その場で自分が気になったスポットを選んで再生すると、音声とテキスト、写真付きで目の前の景色についての歴史や背景などを教えてくれます。
※ガイドの再生は、GPS対応の自動再生タイプと手動再生する2つのタイプがあります。
ON THE TRIPは、お寺や神社、美術館などの文化財や街に息づく物語を、地図上にマッピングされたスポットを巡りながら楽しむオーディオガイドアプリです。 一つ一つのガイドはまるで映画や小説のような心動かす作品となり、ガイドを聴くことで旅先への理解が深まり、旅の体験がふくらむ。 オーディオガイドアプリを活用することで見えてくる、ガイドブックには載っていない日本の魅力と、オーディオガイドだからこそ味わえる新しい旅の仕方をご紹介していきます。