人気アニメ『鬼滅の刃』の聖地?岡山「和氣神社」の魅力を徹底解説

『鬼滅の刃』のモチーフになったのでは?と話題の岡山県和気町「和氣神社」を訪問。公式に明言はされていないものの、アニメの世界観を連想させる風景や雰囲気が随所に感じられます。ファンはもちろん、そうでない方も楽しめる魅力が詰まった神社です。
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目次
- 和氣神社とは?
- まずは参拝!手水舎で清めます
- 圧巻の社殿建築!関西一の棟梁が手がけた美
- 鬼滅の刃の聖地とささやかれる由縁
- 鬼滅の刃ポイント① イノシシ
- 鬼滅の刃ポイント② 藤
- 鬼滅の刃ポイント③ 「"霞"橋」や「雷」の逸話
- かわいらしい桜レースお守り
- 繊細な切り絵御朱印
- 宮司様からの温かいメッセージ
- 四季折々の彩り
- 所在地・対応時間・アクセス
- おわりに
和氣神社とは?

「和氣神社」の歴史は古く、創建された正確な年は不明ですが、奈良時代(710-794年)にまで遡るとされています。戦国時代の天正18年(1590年)には、それまで川の合流地点にあった社殿が洪水で流されてしまい、現在の場所に移転されました。長い歴史の中で地元の人々に大切に守られてきた、由緒ある神社です。
祀られている神様

「和氣神社」では、和気氏一族の八柱(やはしら)の神様が祀られています。「柱」とは神様を数える単位です。特に有名なのは、「宇佐八幡宮神託事件」(奈良時代に起きた政治的な事件)で活躍した和気清麻呂公と、日本で初めての孤児院を開設したとされる和気広虫(わけのひろむし)姫命です。そのため、和気清麻呂公は足腰の健康を守る神様、和気広虫姫命は子どもの守り神として広く信仰されています。
まずは参拝!手水舎で清めます

早速お参りをしましょう。日本の神社では、まず手水舎(てみずや:参拝前に手と口を清める場所)で身を清めるのが正式な作法です。
①最初に、柄杓(ひしゃく:水をすくう道具)を右手に持ち、左手を清めます。
②次に、柄杓を持ち替え右手を清めます。
③再び柄杓を右手に持ち、左手に水をためて口をすすぎます。すすぎ終わったら、音を立てずに静かに水を元の場所に戻すか、手で覆いながら下に流します。
④もう一度、左手を清めます。
⑤最後に、柄杓を立てて残った水を柄に流し、元の場所に戻します。
初めての方でも安心してください。神社には作法を説明したわかりやすい案内が掲示されています。
拝殿でお参り

手水舎で清めた後、拝殿(はいでん:神様に参拝する建物)へ進みお参りをします。
①軽く会釈(えしゃく:軽くおじぎをする)をしてから、お賽銭箱にお賽銭(さいせん:お金のお供え)をお納めします。
②二礼(二回お辞儀をする)します。
③二拍手(二回手をたたく)します。
④手を合わせたまま、心の中で感謝の気持ちや願い事を静かに唱えます。
⑤最後に、一礼します。
日本の神社では、願い事をするよりも、日頃の感謝の気持ちを神様にお伝えすることが大切だと言われています。心を込めてお参りしましょう。
末社への参拝

拝殿でお参りした後は、末社(まっしゃ:本殿の周りにある小さな社)も巡ってみましょう。
お稲荷様(商売繁盛の神様)、天神様(学問の神様)を含め、四つの末社が祀られています。こちらの天神様には、菅原道真公(すがわらのみちざね:天神様の人間だった時の名前)にちなんだ梅と鶯(うぐいす)の美しい彫り物が施されています。また、その背後にある石垣は、「岡山後楽園」(岡山市にある日本三名園の一つ)の石垣なども手がけた石工によって作られたものだそうです。石の精緻な組み合わせ方に驚きます。
圧巻の社殿建築!関西一の棟梁が手がけた美

手前から拝殿・釣殿・幣殿と連なる社殿は、重要な見どころの一つです!この社殿は明治18年(1885年)に立て直されたもので、「関西一の棟梁(とうりょう:大工の親方)」と称された田淵勝義(たぶちかつよし)が率いる邑久(おく)の宮大工集団によって手がけられました。別々に建て直されたのではなく一連の建物として再建されたため、全体に美しい一体感があるのを感じてみてください。『鬼滅の刃』で興味を持って訪れた「和氣神社」ですが、このような素晴らしい伝統建築と歴史に触れることができ、感動しました。
間近で堪能!本殿の精緻な彫刻と建築美

本殿(幣殿)の彫り物も、間近で見ることができます。この精巧な彫刻と建築をご覧ください。屋根の部分にかけてだんだんと大きくなっているのがわかりますが、実は釘などは使用されていないのです。これは日本の伝統的な木造建築技術で、釘を使わずに木と木を組み合わせる「木組み」と呼ばれる技法です。
さすが、匠の技ですね。また、よく見るとウサギや象、麒麟(きりん:想像上の神獣)なども彫られているので探してみてください。
鬼滅の刃の聖地とささやかれる由縁

なんと「和氣神社」では、イノシシの被り物のお面での舞があるのです!イノシシの被り物と言えば…そう!『鬼滅の刃』の嘴平伊之助(はしびらいのすけ)というキャラクター。いつもイノシシの被り物をしている人気キャラクターです。
鬼滅の刃ポイント① イノシシ

そんな伊之助を彷彿とさせる"猪モチーフ"。「和気神社」の狛犬(こまいぬ:通常、神社の入口に一対で置かれる守護獣像)は、なんと狛猪(こまいのしし:イノシシの像)なのです。なぜイノシシなのでしょうか?それは、祀られている和気清麻呂公の逸話に由来します。
清麻呂公が宇佐八幡宮へお参りをする際、足が動かなくなってしまい輿(こし:人が乗る運搬具)に乗ることになりました。その際に300頭のイノシシが現れ道案内してくれたのです。そして無事参詣できたところ、歩けるようになったという故事から、イノシシは清麻呂公の守り神となりました。
こちらは拝殿前の狛猪です。鳥居(とりい:神社の入口に立つ門)前にも境内を守護する狛猪がいますよ。
撫で猪

こちらは"撫で猪"です。備前焼(びぜんやき:岡山県東部で作られる日本の伝統的な陶器)作家・木村玉舟さんが奉納したもので、木村さん特有の「白備前」で作られています。通常の備前焼と言えば、もっと赤茶がかった濃い色合いですが、白備前はやさしい風合いですね。親猪とうりぼう(子イノシシ)がスヤスヤ眠るかわいらしさにほっこりします。そして、周りには小さなウリボウが何体も!こちらは、おみくじについてくる瀬戸物(せともの:陶磁器の総称)です。ぜひ、おみくじもひいてみてくださいね。
渡殿のイノシシ

今年新しくなった、本殿と幣殿をつなぐ「渡殿(わたどの)」。こちらにも猪の彫り物が施されています。この渡殿は、クラウドファンディング(インターネットを通じた資金調達方法)に初めて挑戦されたとのことで、先月完成したばかりです。歴史ある神社の維持は、大変な苦労が伴われています。
私たちがこうして美しい建築や彫り物を見ることができるのも、また、心清らかになる場所に参拝できるのも、宮司様(ぐうじさま:神社の最高責任者)をはじめ神社の方々、氏子(うじこ:神社を支える地域住民)のみなさま、そして地域の方々のお力あってこそなのです。あらためて、そのありがたさを感じました。
鬼滅の刃ポイント② 藤

神社のすぐ隣には、種類日本一を誇る「藤公園」があります。『鬼滅の刃』では、藤は鬼を寄せ付けないというキーアイテムです。アニメでは「藤襲山(ふじかさねやま)」という場所が登場したり、藤の花の家紋、藤のにおい袋などが重要な役割を果たします。この「藤公園」の藤は本当に見事で、棚から垂れ下がる藤の花を見ていると『鬼滅の刃』の世界観を感じることができます。
鬼滅の刃ポイント③ 「"霞"橋」や「雷」の逸話

関連ポイントは伊之助の猪だけではありません。神社へと続く橋は、「俗界と聖界の境にある」とされる「"霞"橋」。霞といえば、『鬼滅の刃』でも"霞の呼吸"(作品中に登場する戦闘技)というものが出てきます。また、僧・道鏡(どうきょう:奈良時代の僧侶で権力者)が清麻呂公の暗殺を企て刺客に襲われた際に、激しい雷雨によって救われたという逸話も残っています。これも『鬼滅の刃』の「雷の呼吸」を連想させます。
かわいらしい桜レースお守り

参拝が終わったら、社務所(しゃむしょ:神社の事務所)でお守りや御朱印(ごしゅいん:参拝の証として神社名や日付が記された印)を拝受したり、おみくじをひいたりすることができます。
実は「和氣神社」の神紋(神社のシンボルマーク)は山桜なのです。境内の様々な場所に桜の紋があるので探してみてください。釘隠し(くぎかくし:釘を隠す装飾部品)にも桜の紋が使われています。
繊細な切り絵御朱印

こちらでは通常の御朱印のほかに「月替り御朱印」、季節ごとに変わる「切り絵御朱印」をいただくことができます。繊細で華やかな桜、そして「和氣神社」らしい猪が嬉しくなります。4月下旬からは、藤モチーフの特別御朱印が頒布される予定です。
宮司様からの温かいメッセージ

今回、神社の歴史や建築について丁寧にお話しくださったのが、「和氣神社」の宮司・小森 国彦さんです。「自然豊かな立地ですので、四季の移ろいを感じていただければと思います。ツバキや桜、そして秋には紅葉園もあります。神社にお参りしてご神徳をいただき、情緒や神社信奉の心を育んでいただければと存じます」と、これから参拝される方へのメッセージをいただきました。
四季折々の彩り

宮司様がおっしゃる通り、季節の花々もとても美しい神社でした。私が参拝した際は、ちょうどツバキ(椿:冬から春にかけて咲く日本の伝統的な花)の花が境内を彩っていました。ツバキは赤や白をよく見かけますが、こちらは珍しいピンク色のツバキ「太郎冠者(たろうかじゃ)」です。ツバキが咲いた後は、入口にある「芳嵐園」で桜が咲き誇り、その後にはお隣の「藤公園」で見事な藤を堪能できます。また、秋には神社を囲む「秋江園」で紅葉を愛でることができます。
所在地・対応時間・アクセス

隣の「藤公園」と共通で利用できる大きな駐車場があるので、安心して車でお参りできます。
※藤まつり期間中は周辺の道路、駐車場共に混雑が予想されます。
【和氣神社】
所在地:岡山県和気郡和気町藤野1385
TEL:0869-93-3910
※授与所開設時間 9:00~16:30
※ご祈祷対応時間 9:00~16:00
駐車場:普通車600台、大型車10台
【交通アクセス】
車:山陽自動車道和気ICから約15分
公共交通機関:JR和気駅から砂子組前行きバス約20分「藤公園」下車、徒歩約2分
おわりに

いかがでしたでしょうか。『鬼滅の刃』の聖地と言われる「和氣神社」は、実際に訪れてみるととても美しく、由緒ある、魅力あふれる神社でした。今回は書ききれませんでしたが、随所に見られる伝統的な匠の技を駆使した建築も大変見事です。この感動を実際に味わいに、ぜひ参拝に訪れてくださいね。
岡山県は、西日本の中央に位置しており、1年を通して雨が少なくて温暖な気候から「晴れの国」と呼ばれています。京都、大阪、広島の有名観光地めぐりの中間点でアクセス便利!瀬戸大橋を経由して四国に渡る際の玄関口でもあります。 また、「フルーツ王国岡山」とも呼ばれ、瀬戸内の温暖な気候の中、太陽を浴びたフルーツは、甘さ、香り、味ともに最高品質。 白桃をはじめ、マスカットやピオーネなど、旬のフルーツが味わえます! 「岡山城」や日本三名園の「岡山後楽園」、倉敷美観地区といった、歴史、文化、アートなど世界に誇る観光スポットもあります!