石川県立図書館レポート|使いやすくて楽しい!7つのポイント
2022年7月16日(土)にオープンした石川県立図書館(愛称:百万石ビブリオバウム)。初日から多くの人が訪れ、円形劇場のような迫力ある大閲覧空間に圧倒されたり、本を読んだり、展示物を見たりなど思い思いに過ごしていました。「図書館のイメージが変わる」とも言われる石川県立図書館の多彩な魅力や活用のポイントを紹介します。
■開放感のある閲覧空間
新しい図書館は地上4階・地下1階建てで、最上部まで吹き抜けの円形閲覧空間となっています。3階には館内を大きく横切るブリッジが架けられていて、そこから見渡す図書館内部はダイナミック。各階をつなぐ階段とエレベーターに加えて、1階から3階の円形閲覧空間は緩やかなスロープでつながれていて、すべての本棚まで車椅子やベビーカーを押して移動できます。円形閲覧空間の本棚には、「暮らしを広げる」「仕事を考える」「文学にふれる」など、12のテーマごとにセレクトした身近でなじみ深い本が約7万冊並べられています。本棚に沿ってぐるりと散策しながら、感覚的に引かれる本と出会うことができます。円形閲覧空間の外側の本棚には、一般的な図書館の分類順に本が並んでいるので、「この分野の、こんな本が読みたい」とお目当ての本がある場合はダイレクトに探すことも可能。
■東西南北のゾーンを加賀五彩で色分け
本棚の他にも館内には、さまざまなスペースがあります。迷ってしまうのではないか、目的地につかないのではないか、と心配になる人もいるかもしれません。各階は東西南北でブロック分けされ、加賀五彩(北:古代紫、南:臙脂、東:草、西:黄土、4階全域:藍)で方角が色分けされています。天井からはフラッグで、通路や家具も色分けされ、自分が今、どのブロックにいるのかわかりやすく示されています。本を探している時や、閲覧席以外のさまざまなスペースに行きたい時も便利です。
■約30万冊を開架 様々な本に出会える場所
たくさんの本に囲まれる石川県立図書館。開架冊数は旧図書館の3倍の約30万冊(7月16日の開館時点)、図書館全体では100万冊以上の蔵書数があります。書庫にある本を借りるには、図書検索機で検索し書庫とりよせボタンを押します。レシートに書かれたカウンターに行き、モニターに番号が表示されると本を受け取れます。書庫の収蔵能力は約200万冊とのことで、これは全国トップレベルの規模。今後、50年間にわたる本の収集を見据えてのことだそうで、図書館としての高いポテンシャルを感じさせますね。石川県立図書館では、一般書に加え、古い時代の貴重な資料や歴史公文書も所蔵。たとえば、加賀藩が作成した絵図『寛文七年金沢図』(寛文7年・1667年)、『延宝金沢図』(延宝年間・1673~81年)という、石川県指定文化財に登録された史料もあります。金沢の城下町を600分の1の縮尺、500センチメートル四方を超える巨大なサイズで図示したもので、約7年間の町の変化を読み取ることができます。日常生活のちょっとした調べ物や学校の宿題に役立ちそうな本から、趣味の読書、本格的な研究に使える古文書まで。量だけでなく幅広い内容の本に出会える場所なのです。
■自分好みの過ごし方を可能にする多彩な椅子
館内には約500もの閲覧席が設置されていて、図書館を利用するスタイルや好み、その日の気分に合わせて使い分けられます。勉強や調べ物にピッタリなデスクや、窓の外を眺めつつ本を読める窓辺の半個室の席、リラックスできるソファ、歩き疲れた時に腰をかけるスツールなど、100種類以上の閲覧席があります。デスク席にはコンセントが差し込めるものもあり、パソコンでの作業も可能です。館内には北欧やイタリア、アメリカなど、世界で長く愛されている椅子や、加賀五彩を使った特別仕様の椅子もあります。また、色分けされたブロックごとに、椅子やソファの色が調和されているなど、家具も図書館の見どころの1つとなっています。また、「おしゃべり可能」が特徴の石川県立図書館ですが、仕事や勉強に集中したい、静かな空間で本が読みたいという人には「サイレントルーム」という座席も。ブースで区切られた26席で、キーボードの使用は不可なのでタイピング音も気になりません。30分単位で最大120分まで予約可能、利用者カードの登録後、館内の座席予約機や、ウェブ(スマートフォンも可能)から予約できます。
■親子で過ごせる「こどもエリア」
乳幼児から小学校6年生くらいまで親子で過ごせる「こどもエリア」は、旧県立図書館の約10倍という広いスペースを確保。本を読むスペースだけでなく、アスレチックのように体を動かせる場所もあります。じっとしているのが難しい子どもも、気分転換しながら読書ができます。乳幼児から低学年、高学年まで緩やかにゾーン分けされているので、子どもの年齢や興味・関心にあった場所で過ごすことができます。また、屋外には里山をイメージした「おはなしの森」も。耕作や観察など、読書以外のさまざまな体験もできるエリアです。
■県外の人も作れる!? 利用者カード
図書館の利用者カードは、パソコンやスマートフォンまたは図書館内にある図書検索機で仮利用者登録してから、2階の総合カウンターで手続きして作成します。図書検索機は1階から3階の館内各所に設置され、総合カウンターのすぐそばにもあります。本登録手続きには、保険証などの住所と氏名を確認できるものが必要です。利用者カードは石川県内に在住・在勤・在学の人だけでなく、東海北陸地区(富山県・福井県・岐阜県・愛知県・三重県)に住んでいる人も作成できます。貸し出しは1人10冊、3週間までとなっています。
■バスでも車でもアクセス良好
バスは金沢駅から北鉄の路線バスが出ていて、最寄りのバス停は「崎浦・県立図書館口」と「石川県立図書館」、運賃はともに250円です。駐車場は広く400台まで駐車可能、車椅子を使用する人や、高齢者、妊娠中の人も利用できる「いしかわ支え合い駐車場」も備えています。図書館を利用した場合は3時間未満は無料です。駐車券を館内の「駐車料割引機」(北入り口・東入り口のとなりや案内カウンターに設置)に通すと3時間分が割引されます(3時間を超えると30分100円)。ほか、屋根付きの駐輪スペースや金沢市の公共シェアサイクルサービス「まちのり」のポートもあります。気軽に読書を楽しみたい人から、勉強や調べ物をしたい人、さらに読書以外のさまざまな体験をしたい人まで、それぞれが満足できる新しい石川県立図書館。この記事だけでは伝えきれなかった魅力もたくさんあるので、ぜひ、足を運んで、好みのスペースや活用方法を発見してくださいね。
写真提供:©️Hideki Ookura/Kurome Photo Studio
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