日本・台湾・米国出身の地元民が語る!高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪の魅力【東京・杉並区】
東京・杉並区にある高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪には、個性豊かなカフェや個人経営店、ショッピングスポットなどが多くあります。今回は、有形文化財に登録された銭湯「小杉湯」で、杉並区在住の日本・台湾・米国人に地域の魅力を語ってもらいました。
東京・高円寺の商店街の片隅にある銭湯「小杉湯」。レトロな風情あふれ、2021年に有形文化財にも登録されたこの建物は、この地域の過去・現在のシンボル、そして人々の交流の場となっています。
今回はこの「小杉湯」を舞台に、杉並区に住む日本、台湾、米国出身の3人の方の座談会を開催しました。
彼女たちはなぜ、杉並区に住むことを選んだのか。また彼女たちにとって、杉並区・中央線の魅力はどんな点にあるのか?聞いてみましょう。
座談会参加者プロフィール
もりやさん(日本出身)
・杉並区在住歴:約4年
・自己紹介:編集者。旅が好きで、これまで35か国、40県を訪れる。オススメの日本の観光地は、壮大な山と海の両方を楽しめる夏の屋久島。
陳さん(台湾出身)
・杉並区在住歴:1年
・来日年数:7年
・自己紹介:専門学校のイラストレーション科を卒業し、現在広告会社でWebデザイナーとして勤めています。日本のドラマが大好きで、いまだに毎年《のだめカンタービレ》を復習しています。
アレクサンドラさん(アメリカ出身)
・杉並区在住歴:約2年半
・来日年数:6年
・自己紹介:ベトナム系アメリカ人です。仕事は外資系のIT会社でマーケティングをやってます。趣味は読書、建築巡り、コスプレです。
杉並区に住むことを選んだ理由は?
もりやさん:高円寺に越してきたきっかけは、夫が「阿波おどり」(※)が好きだったことです。杉並区以外に住むことは考えていませんでした! 前に住んでいた地域と高円寺は雰囲気が全く異なっており、「本当に同じ東京なのかな?」と錯覚することもあります。でも、住み始めてからある程度時間がたった今も、ここに住んで本当によかったと思っています。
※徳島県が発祥の伝統芸能で、高円寺では例年8月最終週の土日に開催され、約1万人が踊り、約100万人の観客が集まる日本を代表するイベントになっている。
陳さん:高円寺に引っ越したのは、ボーイフレンドとの関係です(笑)。彼は高円寺に10年ほど住んでおり、よく一緒に散歩していたため、知らず知らずのうちに高円寺が好きになっていました。彼と一緒に生活することを決めた時、条件の良い物件がなかなか見つかりませんでしたが、いろいろな地域と比べ、やはり高円寺が一番好きなので、ここに決めました!
アレクサンドラさん:サブカルチャーが好きで、高円寺に引っ越す前もよく遊びに来ていました。2年前、ちょうど良い物件が見つかり、引っ越しました。ここは住民の仲が良く、休日も街頭で多彩なパフォーマンスやアーティストのイベントが楽しめます。生活は充実しており、毎日が楽しいです。
高円寺の周りの駅(阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪)の特徴は?
もりやさん:阿佐ヶ谷には区役所、警察署などの行政機関があり、とても便利です。その一方で、荻窪駅の周りには百貨店、大型チェーンのお店があり、生活必需品を買いそろえることができます。西荻窪には個人商店が多く、他3駅と比べると比較的静かです。
陳さん:高円寺駅の周辺には、荻窪の百貨店のような生活に役立つお店、阿佐ヶ谷の「七夕まつり」のような楽しみやレジャーもあります。「出掛けたいけど、遠くには行きたくない」気分の時でも、杉並区に住んでいれば何でもあります!
アレクサンドラさん:高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪は、それぞれ特色と歴史があり、チェーン店よりも個人商店が多くあります。創作活動をする人も多く、どの街も個性的でにぎやかです。私はリモートで仕事しているので、さまざまなカフェで仕事をして気持ちを切り替えています。
高円寺でのオススメスポットは?
回答者 もりやさん (日本)
もりやさん:高円寺の周辺には多くのカフェがあります。特に「CITY」は、シンプルなスタイルの静かな店で、読書するのにピッタリ。また、よく行くしゃぶしゃぶ店「とんこど」は、店主が親切で食べ物がおいしい上、つけだれ以外にそばつゆも提供してくれます。そばつゆで食べると、つけだれよりもさっぱりしていて食べやすく、食材のおいしさが引き出されている気がします!もちろん高円寺といえば、忘れてはいけないのが「小杉湯」!疲れている時にお湯につかると、心と体、どちらも癒されます。
陳さん:駅の近くにある「イタリア酒場 デルソル高円寺」は、ランチセットは1000円程度ですが、サラダ・ドリンク付きで、食べ物もおいしく、金額以上の価値があります。また私は古着好きなので、「高円寺パル商店街」が好きです。ここにはさまざまなスタイルの古着屋があり、私にとってまるで天国です! 気軽に買える価格の商品ばかりではありませんが、見ていると満ち足りた気持ちになります。
アレクサンドラさん:オススメの場所はたくさんありますが、ひとつ例を挙げると、価格がリーズナブルでおいしいタイ料理屋「New Sabai Thailand」には、毎週行っています!それから丸の内線・新高円寺駅の近くにあるカキ氷店「フウリン堂」は、経営者のカップルでとても良い人たちなんです。古民家特有の雰囲気もあいまって、行く度に親戚の家に遊びに行っているような気分になります。最後に、LPレコード店「Uptown Records Koenji」を紹介します。こちらは、さまざまな音楽のレコードを置いており、週末には音楽イベントも頻繁に行っています。在日外国人の間でも人気のお店です。
阿佐ヶ谷でのオススメスポットは?
回答者 陳さん (台湾)
もりやさん:今年私は「年女」(※1)です。「阿佐ヶ谷神明宮(あさがやしんめいぐう)」の厄除は有名なので、一度、幸せを祈って厄祓いに行きました。正式な儀式を受けたのですが、とても新鮮な体験でした。また、高円寺と阿佐ヶ谷の間にある「JULES VERNE COFFEE」は、選りすぐりコーヒー豆を販売しており、通ったら必ず買います。コーヒー豆と一緒にコーヒーをオーダーすると、コーヒーが半額になるのがポイントです(笑)。
陳さん:私はあまり阿佐ヶ谷のお店巡りはしていないのですが、皆さんにオススメしたいのは、駅近くの中杉通りという大通りです!大きなイチョウの街路樹が秋には黄金色に染まり、本当にきれいで、散歩するだけで楽しいです。
アレクサンドラさん:私はレトロな雰囲気の純喫茶(※2)が好きですが、阿佐ヶ谷の「gion」は、これまで行った喫茶店の中で一番好きな場所です!異世界感あふれるインテリアが素晴らしく、毎週行っています。また、焼肉店「SATOブリアン」は、価格帯は高めですが行ってみる価値があります。グルメサイトの評価も高く、事前に予約していないと入店が困難です。
※1 年女……中国の暦「干支」に基づく年の数え方。12年に一度、「年男」「年女」になる。
※2 純喫茶……お酒を提供しない喫茶店。昭和初期の日本では、お酒を提供する喫茶店が多くあったため、それと区別するために「純喫茶」と呼ばれるようになった。現在では、レトロな雰囲気の喫茶店を指して「純喫茶」ということが多い。
荻窪でのオススメスポットは?
回答者 アレクサンドラさん
もりやさん:私は荻窪によく買い物に行きます。何でもあって、本当に便利です! また、駅から少し離れますが、本屋「Title」には『生活』にまつわる本が集まっていて、私たちの日常と深い関係を感じられます。ここにある本を、一冊また一冊と見ていくのが好きです。2Fの小さなギャラリーでは不定期で企画展も開催しており、興味あるテーマがあると見に行っています。
陳さん:荻窪には多くのラーメン店がありますが、「 味噌っ子 ふっく」は特に有名で、 店外にいつも行列ができています。「味噌っ子 ふっく」の出汁は濃厚で、おろしニンニクが添えられています。おろしニンニクの味はかなり強めで、店外までニンニクの香りがして食欲をそそります。
アレクサンドラさん:カキ氷が大好きなので、荻窪でもまた、カキ氷店を紹介します!「ねいろ屋」は、ラーメン店なのですが、カキ氷の種類も多く、私はカキ氷目当てに行っています(笑) 。また、西荻窪に行く途中にある「東京工芸大学 杉並アニメーションミュージアム」では、日本のアニメの歴史・制作過程が分かる展示や、アフレコやパラパラアニメ制作などの体験型展示も楽しめ、アニメマニアの聖地(※)のひとつになっています。
※杉並区には、2023年現在で日本一アニメ制作の関連会社が集まる。
西荻窪で知っておきたい穴場スポットは?
もりやさん:「fuzkue」は本を読めるカフェで、読書したり、軽食・飲み物を楽しんだりできます。お客さんが読書しやすいよう、店では静かな雰囲気を保つようにしており、ここに来たら小声で話さなければいけません。うっかり大きな声を出してしまわないように気を付けて。
陳さん:西荻窪は、多くのカレー店が集うカレー激戦区です。私は「フレンチカレー SPOON」にしか行ったことがありませんが、ここはフレンチカレー店で、店内にはカウンター席のみあります。日本では欧風カレー(※3)が一般的ですが、「SPOON」ではペーストを煮込んでおり、食感はスープカレーに近く、多彩な香辛料が入っていています。とてもスパイシーでおいしいです。
アレクサンドラさん:住宅街の中にある古民家カフェ「松庵文庫」は日当たりが良く、緑あふれる庭園もあります。使っている食材はさまざまな地域から取り寄せたもの。店内には雑貨・読書コーナーが設けられており、カフェというより、心を落ち着かせる多元的な空間と言えます。そのほか、駅から少し離れた場所にある花屋「cotito ハナトオカシト」は、花好きな女子たちの必見スポット! ここでは、食用の花が添えられたスイーツがあり、自分で食べても嬉しく、贈り物にもぴったりです。
※3 欧風カレー……ブラウンソースをベースに野菜や乳製品を加えたカレー。「欧風」と名前がついているが、発祥は日本。
友達・家族が杉並区に来るなら、この4駅周辺でどこをオススメする?
もりやさん:商店街が好きな人は、高円寺・阿佐ヶ谷を中心に巡るのが良いと思います。特に高円寺は、新旧のさまざまな文化が入り混じっていて、色々な発見があるでしょう。純粋にショッピングを楽しみたい人は、大型チェーン店が多く、一般的なブランドのお店もそろっている荻窪がピッタリです。西荻窪は、特色のある個人経営の店が多く、知り合いにガイドしてもらいながら歩くと効率よく回れます。ただ、時間の余裕があれば、自分で冒険をしてみてもおもしろいでしょう。
陳さん:休日であれば、ランチ前に近くの公園を散歩して自然を感じたり、お昼過ぎに商店街でアフタヌーンティーを飲んだりするのがオススメです。レストランや服のお店は多すぎて選ぶのが難しいですが、いつも多くの収穫があります。
アレクサンドラさん:1日でこの地域を楽しむ場合、理想的なのは、まず西荻窪のカフェでランチをして、それから阿佐ヶ谷の商店街でブラブラすることです。お祭りやイベントがあったら、それに合わせて時間を調整してもよいでしょう。夕方には高円寺の居酒屋で一杯やった後、「小杉湯」に行きます。ここで1日の疲れを取り、家に帰ってよく休みましょう!
最後に:改めてこの4駅周辺の魅力を教えてください
もりやさん:自分が住んでいる高円寺は、「阿波おどり」好きの人が多く、夫と散歩していると知り合いによく会います。そういった「小さな街の親近感」のようなものがあり、東京では貴重です。また、個人経営の飲食店の店主は話し上手で、人情味が溢れています。駅から離れても楽しめるので、散歩をしていてもとても楽しいです。観光というより、街を味わうといった目的で短期滞在してみるほうが、ここの日常をよく体験できると思います。
陳さん:この4駅の特徴は、都会感がありすぎないところ。ただ散歩するだけでも、新しい発見がたくさんあります。台湾には似た雰囲気のエリアがないので、台湾の友達が来たら、通常の東京とは異なるこの地域を体験してもらいたいと思います。
アレクサンドラさん:杉並区は、高いビルがないなど、東京らしくない一面があります。個人経営の店が多く、駅ごとに異なる歴史・個性があり、住民は優しく、人と人の距離も比較的近いです。これが、私が杉並区を好きな1番の理由です!外国人の私にとっても、ここで1人暮らしをするのは、少しも寂しくありません。
小杉湯の店長・平松さんに聞く
座談会の最後に、今回の会場となった「小杉湯」の店長・平松さんにもお話を伺いました。
日本では今、銭湯はどんどん減っています。そんな中、「小杉湯」は老若男女に愛され、一定数のお客さんを維持しています。「小杉湯」では、どんなことに力を入れているのでしょうか?
「現社長が『株式会社小杉湯』を設立したのは6年前のことです。そこから、私たちはさまざまな企画に取り組んできました。『小杉湯』は、人々の生活の中に溶け込んだ場所で、さらに、お風呂に関するイベントも多く行っています。それらをSNSで発信しており、他の業界の方からも、『一緒にイベントをやりたい』というお誘いをよくいただいています」
「小杉湯は毎日朝7~11時に清掃をしています。スタッフは各々自分のやり方をしていますが、皆『清潔な環境の中で、お客様が小杉湯で快適に過ごしてほしい』という強い思いの下、清掃を大切にしています」
オススメスポットに実際に行ってみよう!
杉並区には、多くのオススメスポットがあるので、ぜひ実際に足を運んでみてほしいところです。
Written by Kenko
In cooperation with 小杉湯
Sponsored by Chuosen Aruaru Project/Experience SUGINAMI TOKYO