京都のもののけが眼を醒ます。邪鬼か良鬼か。「村上隆もののけ京都」2024年2月3日から@京都市京セラ美術館
2024年2月3日より9月1日まで、日本国内で8年ぶり、東京以外では初となる「村上隆 もののけ 京都」展が、京都市美術館開館90周年記念展として京都市京セラ美術館で開幕します。11月14日に行われた記者発表会の模様をレポートします。と書きつつも展覧会の見どころといった詳細は公式サイトでお読みいただくとして、ここでは京都出身の私が勝手ながら京都を起点に村上隆が思い描く日本美術文化の発展に関することに焦点を当ててお伝えしてまいりたいと思います。
魑魅魍魎が住まう魔都・京都。
もののけ京都の展覧会は京都のもののけにのみこまれてしまうのか、はたまた村上隆自身がもののけとして畏怖の念をもって語り継がれていくのでしょうか。村上隆のももののけが千年の古都のもののけに受け入れられるのかが、本展覧会の大きな見どころです。
手打ちで幕開け
記者発表会は京都祇園甲部歌舞練場の八坂倶楽部で行われ、芸妓さんたちによるお祝いの席で披露される「手打ち」の舞が記者発表会のオープニングを飾りました。祇園の芸妓さんの「手打ち」はまさに京都の伝統と文化、歴史が凝縮された京・花街の誇りです。
私は、胸が熱くなりました。この誇り高き京都の伝統を記者発表会のはじめに持ってきた演出は村上からの京都と京都の人々への敬意と同時に、ホンモノの日本の美しさと同時に美しさの「奥深くにあるもの」を世界に発信されたのではないでしょうか。
ゾンビ、怪物、そして、もののけ
村上は今年に入ってから、韓国・プサンではゾンビ。アメリカ・サンフランシスコではモンスターをテーマにした展覧会を開催してきました。そして今回、日本・京都を舞台に選び、テーマがもののけであります。ゾンビ、怪物、もののけ・・・人間の創造を超えたところに存在するという共通点がありますね。
今や世界の村上。海外を中心に活動されてきた村上が国内では東京以外で初めて行う展覧会を京都に選んだ理由は何だったのでしょうか。その答えは、展覧会開催までに至るストーリーと、作品の中にあるかもしれません。
日本や京都に対するイメージは千差万別です。まして今回の展覧会で村上は「もののけ」をテーマに描きます。古代、もののけは畏怖の存在でした。京都という土地に生きる人々にとっての畏怖をどう村上は描いて見せてくれるのでしょうか。
村上隆と日本画
村上は大学で日本画初の博士号(美術)を取得。自身の作品の多くに江戸時代の絵師たちから大きな影響を受けているといいますが、根底には日本画を愛していることが分かります。そんな村上がたどり着いたのが、江戸時代に京都を中心に活躍した曾我蕭白や俵屋宗達といった絵師たちの作品です。その中で見つけたものを独自に解釈し、再構築した新作が国内初公開作品として多数展示されるというわけです。
京都でしか見られない
本展の主役となるのが洛中洛外図。洛中洛外図は室町末期から江戸時代初期のなかで最も活力にあふれる京都の様子が活写されているとされる滋賀の舟木家に伝来した「船木本」(作者は岩佐又兵衛説)です。熱気にあふれる京都の人々がエネルギッシュに描かれていますね。
対して村上が創り出す京都・京都の人々の暮らしにはどうやら表の顔だけではない(それをもののけと呼んでよいのかは分かりませんが)、もののけ的なものが潜んでいそうな予感がしましたが、いかに。
さて。京都ではもののけと共に暮らしているということなのか、誰しもが持ち合わせているであろうダークサイドをもののけというのか。京都だからもののけなのか、もののけをやるための京都だったのか。これらの問いの答えは、展覧会へ来て確かめるしかなさそうです。
※記者発表会には、京都市京セラ美術館事業企画推進室の高橋信也氏も登壇。
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京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」展
開催日程:2024年2月3日-2024年9月1日
会場:京都市京セラ美術館新館 東山キューブ
公式ウェブサイト:https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20240203-20240630
Please contact CEC for Kyoto's tour guide information.
https://www.cec-kyoto.jp/
editor:Miho Onodera,Hiroko Chino
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