【京都・左京区】歴史・建物から見る旧三井家下鴨別邸の楽しみ方とふたばの豆餅
こんにちは! CECメンバーの垂井美里(Misato Tarui)です。 今回は、鴨川側に佇む「旧三井家下鴨別邸」の現在までの変遷と建築の魅力をご紹介いたします。
旧三井家下鴨別邸とは
旧三井家下鴨別邸は、鴨川デルタ(京都府立鴨川公園)や下鴨神社の参道など、人の行き交いの絶えないエリアに隣接している、純和風の建物です。
木造建築であるその姿は落ち着いた趣を漂わせています。
実は1925年に現在の場所に移るまで木屋町三条に建てられていました。
移築前まで旧三井家下鴨別邸は、時代や生活環境の変化によって空き家となっていました。一体どのような変化が起こっていたのでしょうか。
豪商・三井家
この建物のキーワードとなるのは、生みの親である豪商・三井家。
三井家が商人として実績を積み始めたのは、江戸時代の1673年。
三井高利(たかとし)が、呉服店「三井越後屋」を開業したことに始まります。
時代は流れ、明治期になり財閥と言われるまでに三井家は成長を遂げます。
当時の首都はすでに東京にあり、商売の拠点も移っていったことから、人が暮らすために建てられた主屋も空き家状態となってしまいました。
三井家先祖をまつる顕名霊社(あきなれいしゃ)が、現在の京都家庭裁判所のある場所へ遷座したことを機に、第10代目三井八郎右衛門高棟(たかみね)が、催事で集まる一族の休む場として主屋を移築させました。
写真:主屋2階
大正時代には大勢の人が出入りできるように玄関棟、江戸時代のものとされる茶室も敷地内に配置されました。
主屋2階からは、ひょうたん型の池を含む庭の景色を楽しむことが出来ます。
池の水は下鴨神社・糺の森を流れる泉川からひいているもので、地域に根ざすものとの結びつきが空気に滲んでいるように感じました。
写真:主屋最上部に見える3階の望楼がこの建物のチャームポイント。通常は非公開。特別公開時に入ることができます。
写真:特別公開されたの3階の望楼。比叡山が見えます。
周辺に背のない建築物が多かった当時の景色を思うと、今以上に爽快感のある景色が見えただろうと思いをはせることが出来ました。
そんな望楼四畳半の部屋にも、建築へのこだわりは光ります。望楼の窓は一見、無防備に見えますが・・・
写真:「大」文字も見ることができます。
なんと下から雨風をしのぐ戸が引き出せるようになっているのです。360度景色を見渡せる窓から、持ち主の眺望へのこだわりと意匠を感じます。
写真:雨風をしのぐ雨戸を引きだすための戸袋
1階から3階まで全て見てまわると、想像を越える広さです。とっても見応えがあります。
写真:下から雨風をしのぐ戸
ゆったりとカフェも楽しめることができます。
写真:(「萩の上露」は『源氏物語』をイメージしたチョコレートは期間を延長して販売中。詳しくはホームページにてご確認ください。)
2011年には重要文化財に指定されました。
一般公開が始まり今年で8年目。鴨川のすぐそこに静かにオーラを放ち続ける旧三井家下鴨別邸。
実は建物近辺の街も、ローカルな雰囲気が満載で目が離せません。特に歩いて10分ほどの距離にある出町枡形商店街付近!コンパクトながら趣いっぱいの映画館とカフェと本屋がセットになった「出町座」や見るたび人が立ち並ぶ人気老舗和菓子屋「出町ふたば」は、こし餡の「名代豆餅」が有名です。
建物が見守ってきた土地の温かみを感じた後は、鴨川デルタ(京都府立下鴨公園)でおやつを買って“ひとやすみ”もおすすめです。
水の音を聞きながら本を読む人、友人と会話に花を咲かせる人。
この町ならではの“当たり前”を感じられる出町柳へもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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