【山形県】米沢・置賜エリアで味わえる日本そば5選
山形県は、そばの生産量・消費量ともに全国トップクラスの「そば王国」です。人口10万人あたりの日本そば屋の数は全国2位で、数多くの名店がひしめいています。今回は、米沢を中心とする置賜地域のおすすめ5店をご紹介します。同じ日本そばでもその食べ方は様々で、お店ごとにこだわりと個性が感じられるのも魅力です。ぜひこの記事で気になるお店を見つけてみてください。
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目次
- 1.【米沢市】サムライの時代から続く名店「米沢藩御用掛込蕎麦 粉名屋小太郎」
- 2.【米沢市】そば打ち体験も人気!自家栽培・自家製粉の「曲家 なでら」
- 3.【米沢市】ボリューム満点のおそばとお餅!「伝右エ門」
- 4.【白鷹町】こだわりの十割そばが絶品!「千利庵」
- 5.【南陽市】山間に佇む名店「小滝そば ゆかりや」
- 奥深いそばの世界を、米沢・置賜エリアで味わおう!
1.【米沢市】サムライの時代から続く名店「米沢藩御用掛込蕎麦 粉名屋小太郎」
上杉神社から徒歩20分の距離にある「米沢藩御用掛込蕎麦 粉名屋小太郎」は、300年以上の歴史を持つ全国的にも貴重な老舗のそば屋です。
300年前というと、当時の日本は江戸時代(1603年~1868年)にあたり、武士が存在していた時代です。初代・粉名屋小太郎は、米沢藩から許可を受け、温飩屋株(うどんやかぶ)を所持して営業を始めたと言います。この温飩屋株を所持する者は税金が免除され、戦場にお供して食事を用意する役目を担っていたとか。まさに、米沢藩御用のそば屋だったわけです。
少しずつ店の場所を変え、現在の場所に移ってからは100年ほど。趣を感じる調度品と綺麗に手入れされたお庭も、店の風格を一層高めています。
現在の看板メニューは「割子そば」(5段盛り1,980円 ※2024年10月時点)です。割子とは、何段にも重ねることができる朱色の漆器のこと。割子に盛り分けられた蕎麦に、1段ずつ違った具材を乗せていただきます。粉名屋小太郎の割子そばは、具材も小さな割子に入っており、何が入っているのかワクワクしながら食べ進めることができます。
取材時は秋だったため、1番上の段には菊とくるみのトッピングが。食用菊のおひたしは、山形ではポピュラーな秋の味覚ですが、そばにも合うことは新発見でした。のど越しが良いおそばと、季節によって変わる様々な具材の組み合わせが、実に楽しい一品です。
米沢有数の老舗とあって、長年通う常連客も多いとか。米沢へ帰省した際に何十年ぶりに訪れたというお客さんもいるそうで、地元住民の拠り所とも言えるお店なのだろうと思います。サムライの時代から続く名店で美味しいおそばをいただきながら、城下町・米沢の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
【店舗情報】
・営業時間:11:30~19:00(売り切れ次第終了)
・定休日:月曜日
・住所:〒992-0045 山形県米沢市中央5丁目3-19
・アクセス:米沢駅から車で約8分 / 徒歩で約30分
・電話:0238-21-0140
・支払い方法:現金
・言語対応:日本語
2.【米沢市】そば打ち体験も人気!自家栽培・自家製粉の「曲家 なでら」
米沢市にある「曲家(まがりや) なでら」は、自家栽培・自家製粉にこだわったそば屋です。通常の営業に加えて、そば打ち体験も行っています。
かやぶき屋根が特徴的な店舗は、かつて地元の豪農が家屋として使っていた古民家を移築したもの。店内の中央には囲炉裏が設けられており、古き日本人の暮らしが垣間見えるようなつくりです。
今回は、寒い時期に特に食べたい「かもなべそば」(普通盛り1,210円 ※2024年10月時点)を注文。熱々の鴨出汁のつゆに、冷たいそばをくぐらせていただきます。香り豊かな鴨出汁の入った鍋は火にかかった状態で提供されるため、熱々のつゆと冷たいそばの風味とコシを最後まで楽しむことができます。
もう1つのおすすめが「かいもち」(770円 ※2024年10月時点)です。かいもちは、水に蕎麦粉を加えて火にかけながら練り上げた、山形県内陸部の郷土食です。さらに豊かなそばの香りと、ふんわり・もっちりとした食感を楽しめる一品です。
自分で打ったそばをその場で実食!そば打ち体験もあり
お店の美味しいおそばを楽しむのも格別ですが、なでらでは自分で打ったそばを実食できる「蕎麦打ち体験」もあります。持ち物不要で、一から丁寧に教えてもらえるため、まったくの初心者でも安心。1セットで3~4人前できあがるため、家族旅行やグループ旅行におすすめです。
蕎麦粉の状態から、練る・延ばす・切るという工程を踏んで、そばの麺をつくっていきます。
体験の最後は、食べる分のそばを茹でていただき、いざ実食!見た目は不格好ながらも、自分の手で打ったそばの美味しさには、特別な嬉しさと感動を覚えました。
「食べるまでが体験」というご主人の言葉通り、自分で打ったそばを食べてみる経験は、かけがえのない思い出になります。
お店の美味しいおそばをいただくも良し。そば打ち体験にチャレンジしてみるのも良し。ぜひ、お好きな方法で「なでら」のおそばを楽しんでください。
【店舗情報】
・営業時間:11:00~15:00
・定休日:火曜日
・電話番号:0120-38-4636
・住所:〒992-1445 山形県米沢市笹野本町211
・アクセス:米沢駅から車で約15分
・支払い方法:現金
・言語対応:日本語
【蕎麦打ち体験】※事前に要電話予約
・所要時間:約90分
・体験料:1セット(3~4人前)4,200円(税込)
・人数:2人~40人くらいまで可
・持ち物:なし(エプロンは貸出品がございます)
3.【米沢市】ボリューム満点のおそばとお餅!「伝右エ門」
米沢駅から徒歩12分、上杉神社から徒歩20分の場所にある「伝右エ門(でんえもん)」は、日本そばはもちろん、地元産のお米を使用したお餅も人気のお店です。
特に評判なのが、お店の名を冠した「伝右エ門そば(1,600円 ※2024年10月時点)」。大根おろし・めかぶ・とろろ・エビの天ぷらが乗った4種類のおそばとお餅がセットになった、見るだけでもワクワクしてしまう大満足の一品です。
おそばは、米沢市南原地区産の蕎麦粉を使用。地元で挽きたての蕎麦粉だからこそ、香り高いおそばに仕上がっています。麵の量は1.5人前と少し量が多いですが、4つの味のバリエーションを楽しみながら、するすると完食できてしまいました。
セットのお餅は、もち天・じんだん餅※・あんこ餅の3種類から選べます。
※「じんだん」とは、すりつぶした枝豆を砂糖と少しの塩で味付けした郷土食です。
もち天は、店主の平山さんがお餅を天ぷらにして食べていたことがきっかけで、正式にメニュー化したのだとか。もうひとつの看板メニューである「もち天雑煮」は、米沢市で開催される食のコンテスト「Y-1グランプリ」で、何度も優勝に輝いています。
店内の座席は、テーブル席と座敷席の2種類。宴会等で使える蔵座敷もあります。
米沢の観光拠点からのアクセスも抜群な「伝右エ門」で、地産地消にこだわったおそばとお餅を味わってみてはいかがですか?
【店舗情報】
・営業時間:11:00~14:30 / 17:00~19:00
・定休日:月曜日(祝日を除く)
・住所:〒992-0032 山形県米沢市相生町2-74
・アクセス:米沢駅から徒歩で約12分
・電話:0238-22-7804
・支払い方法:現金
・言語対応:日本語
4.【白鷹町】こだわりの十割そばが絶品!「千利庵」
米沢駅から車で約50分と離れた場所にありますが、白鷹町にある「千利庵(せんりあん)」も、全国から蕎麦好きが集まる名店としてぜひ一度味わってみたいお店です。
全席座敷の店内は、平日であっても開店と同時に満席になります。早いときは、お昼過ぎに売り切れてしまうこともある人気ぶりです。
メニューは、シンプルに「もりそば」(900円)と「おかわり」(700円)のみ(※価格は2024年10月時点)。たくさん食べたい方は、ぜひ「もりそば」と「おかわり」を同時に注文してください。
つなぎを一切使用していない十割そばは、まずはつゆも薬味も付けずにじっくり味わいたくなる美味しさ。つるつるした舌触りとコシのある噛み応えが実に心地よく、噛むほどに蕎麦本来の甘みを感じます。
この唯一無二の美味しさを支えているのは、店主である遠藤さんのひたむきな職人魂です。遠藤さんは、高い技量が必要とされる十割そばを習得するため、朝昼晩と蕎麦を打ち続け、何度も試行錯誤を重ねたと言います。さらに、十割そばは蕎麦粉の良し悪しでも出来が大きく左右されるため、遠藤さんは理想の蕎麦粉を追い求め続けました。そして奇跡的に出会ったのが、福島県の山都町(やまとまち)産の蕎麦粉。つなぎ無しでも長さのある十割そばを打てることに、遠藤さんは衝撃を受けたと言います。以来、千利庵では山都町産の蕎麦粉を使い続けています。
開店から30年弱。技、素材ともに長くこだわり続けてきたからこそ辿りついたおそばが、ここにはあります。最大限に引き出されたそば本来の美味しさを、ぜひ堪能してみてください。
【店舗情報】
・営業時間:11:00~14:00(売り切れ次第終了)
・定休日:水曜日
・住所:〒992-0851 山形県西置賜郡白鷹町広野1656
・アクセス
お車の場合:米沢駅から約50分
公共交通機関の場合:米沢駅から米坂線に乗車し今泉駅で下車。今泉駅からタクシーで約25分
・電話:0238-87-2087
・支払い方法:現金
・言語対応:日本語
5.【南陽市】山間に佇む名店「小滝そば ゆかりや」
南陽市にある「小滝そば ゆかりや」も、山間にあるお店ながらも連日多くの客でにぎわう人気店です。米沢駅から車で50分ほど移動したところにあります。
築80年以上の古民家を改修した店舗は、古き良き日本の趣を感じさせます。元は製材屋だったこともあり、木材がふんだんに使われた心落ち着く空間です。
今回は、山形名物の冷たい肉そば「ふるっぱそば」(750円 ※2024年10月時点)をいただきました。「ふるっぱ」とは親鶏のことで、そばの上に薄切りの鶏肉がトッピングされています。肉質が硬めの親鶏のコリコリした独特の食感と、ギュッと凝縮された旨味がたまりません。
山形県オリジナル品種「でわかおり」の蕎麦粉を使い、細めに仕上げられたおそばは、鶏の出汁が効いたつゆとよく絡みます。温かい肉そばも注文できますが、蕎麦本来のコシを楽しむには、冷たい肉そばがおすすめだとか。
「お客さんが1週間に何度も来られる店でありたい」という店主の言葉通り、あっさりしながらも鶏の旨味がしっかり感じられる肉そばは、何度でも食べたくなる飽きの来ない味。つゆも最後まで飲み干したくなる美味しさです。
素材にこだわり、手ごろな値段でお腹も満たされる店を目指している「ゆかりや」。訪れれば、きっと店主の温かい心遣いを感じるはずです。大自然に抱かれた古民家で、お腹も心も満たされる時間を過ごしてみてはいかがですか?
【店舗情報】
・営業時間:11:00~14:00(売り切れ次第終了)
・定休日:木曜日、金曜日
・電話番号:0238-41-2033 ※お問い合わせは11時前か、14時以降にお願いします。
・住所:〒992-0581 山形県南陽市小滝1425
・アクセス:
お車の場合:米沢駅から約50分
公共交通機関の場合:米沢駅から奥羽本線に乗車し赤湯駅で下車。赤湯駅からタクシーで約23分
・支払い方法:現金
・言語対応:日本語
奥深いそばの世界を、米沢・置賜エリアで味わおう!
米沢・置賜地域のお店で食べられるそばには、長い歴史とともに地元の食文化を大切にしてきた職人たちの情熱が詰まっています。複数のお店を巡り、様々なそばの楽しみ方を体験してみることで、日本そばの奥深さをより一層感じられるでしょう。米沢・置賜を訪れた際は、この土地の風土が育んだそばの美味しさをぜひ堪能してみてくださいね。
米沢へのアクセス・市内での移動手段について詳しく知りたいときは、以下の記事も合わせてご覧ください。
東北地方の中でも、重要なサムライの遺産が数多く残る米沢のまち。 東京から新幹線で約2時間で到着する、非常にアクセスの良い東北地方の観光地です。 甲冑や着物を身に着けてみたり、合戦に参加してみたり、寺社仏閣を巡ってみたり。かつて、日本のサムライたちが過ごしたストーリーを、米沢で追体験してみませんか。