那須塩原の隠れた名湯・板室温泉へ!温泉×グルメ×観光を楽しむ宿泊ガイド

板室温泉は栃木県那須塩原市の山あいにある、千年以上の歴史を持つ湯治場。「下野の薬湯」として親しまれ、1971年に国民保養温泉地に指定されました。そんな板室温泉を満喫し、地元グルメや自然も楽しむ旅へ出かけませんか?
1:日帰り温泉巡り
独特の入浴法「綱の湯」

板室温泉には、「綱の湯」と呼ばれる伝統的な入浴法があります。これは、深めの浴槽に設置された綱につかまり、立ったまま浸かる入浴方法です。この姿勢を保つことで、体全体に水圧が均等にかかり、血行促進や関節痛の緩和に効果があるとされています。
まずは「綱の湯」を体験できる2つの日帰り温泉施設をご紹介します。
板室健康のゆグリーングリーン
板室温泉の湯はアルカリ性単純温泉で、肌に優しく、リラックス効果が高いのが特徴です。館内には、板室の伝統的な入浴法である「綱の湯」も再現されています。ただし、男女で週替わりの利用となるため、訪問時に「綱の湯」に入れるかどうかは事前に確認しておくと安心です。もちろん、当日のお楽しみにするのもおすすめです!

休憩スペースも充実しており、湯上がりにゆっくりと過ごせる点も魅力です。温泉の効能だけでなく、リラックスした時間を提供してくれる施設です。
幸乃湯温泉

幸乃湯温泉では、宿泊はもちろん、日帰り入浴でも本格的な温泉を楽しめます。「綱の湯」は水深約125~140cmと深めで、首までしっかりと温泉に浸かることができます。全身に水圧が均等にかかることで血行が促進され、体の内側からじんわりと温まるのが特徴です!

また、高さ4mから流れ落ちる豪快な「大滝打たせ湯」は、勢いよく流れるお湯が全身を刺激し、日々の疲れを吹き飛ばしてくれます。アルカリ性単純温泉のやさしいお湯は、赤ちゃんのデリケートな肌にも安心で、家族連れにも人気です。

日帰り入浴は午前と午後の2部制で提供されており、午前の部では、温泉入浴とともに休憩スペースの利用が可能です。逆に午後の部は、休憩スペースは利用できませんが、入浴料が午前よりお手頃な設定になっています。(※休憩スペースのひな人形の展示は1月中旬~3月末まで限定です)
温泉の詳細について知りたい方は是非こちらをご覧ください。
2:板室温泉周辺のグルメスポット
そば処 やしお
栃木県鹿沼産のそば粉と那須の名水を使用した、香り高くコシのある手打ちそばが楽しめます。さらに、地元で仕入れる新鮮な山菜や野菜を使った料理も人気です。

今回いただいたのは、「天付き三種蕎麦」。香ばしいくるみと白ゴマを使った「くるみ胡麻だれ」「辛味おろし」「とろろ」の3種類のつけだれで楽しむそばに、海老や舞茸と旬の野菜の天ぷらが添えられています。3種類のお味を同時に楽しめるのは嬉しいですね!

「山椒みそこんにゃく」も人気の一品。山椒の実と葉をすり潰し、味噌や味醂、砂糖を合わせた特製の甘味噌がこんにゃくに絶妙に絡み、爽やかな香りと深い味わいが広がります。

店主の髙根沢さんは、板室温泉で生まれ育った地元の方。観光客にもっと板室の魅力を知ってもらいたいという想いから、温泉周辺の観光地をまとめたオリジナルマップの作成にも関わっています。店舗に立ち寄った際は、ぜひ手にとってみてくださいね。
3:自然と歴史を感じる観光地巡り
木の俣地蔵

樹齢500年の桂の木の根元に「木の俣地蔵」が安置されており、空洞となった根元が女性器や子宮を連想させることから、子宝や安産祈願で有名です。
木の俣地蔵が安置される桂の木は、「木の俣地蔵のかつら」として「とちぎ名木百選」にも選ばれています。
那須フィッシュランド

ここではイワナやニジマスなどの川魚を釣ることができ、その場で炭火焼きにして味わえます。自分で釣った魚をすぐに食べられる体験は、釣りの楽しさと自然の恵みをダブルで堪能できる贅沢なひとときです。
篭岩地蔵
篭岩地蔵は、湯治客が病気回復のお礼として寄進したのが始まりとされています。特に、乳癌が治癒したことへの感謝から、左胸を表した山の神の石像が伝わっています。現在、東日本大震災の落石の影響で篭岩神社自体は閉鎖していますが、この左胸を表す石像は山の下に移され、今もなお参拝者たちに拝まれています。
乙女の滝

幅約5m、落差約10mの美しい滝です。「乙女」の由来は諸説あり、盲目の美しい乙女(沼ツ原湿原の主である盲目の蛇の化身)を見たという村人の伝承説や、乙女の髪のように見えるという比喩説、滝壷に現れた人魚の伝説も残っています。
4: 幸乃湯温泉での宿泊体験

今回宿泊した「幸乃湯温泉」は、約3万坪の広大な敷地に湧き出る自家源泉を贅沢にかけ流しで楽しめる温泉宿です。館内には、日帰り温泉としても利用できる数種類の温泉と、宿泊者専用の温泉も完備されています。それぞれ異なる魅力があり、1日に何度でも温泉を楽しみたくなる、温泉好きにはぴったりのお宿です。
全館畳敷き

入館後靴を脱ぎ、一歩足を踏み入れるとそこは一面「畳敷き」。館内の階段、エレベーター、トイレ、浴室など、すべてのエリアが畳で覆われており、スリッパを使うことなく、素足で日本ならではの風情を楽しむことができます。

特に注目すべきは、宿泊者専用の「畳敷き内湯」です。

珍しい畳敷きのお風呂で、特別に作られた畳を床全面に敷いているため、日本の伝統的な文化を感じながら入浴することができますよ!足元の冷たさを感じることなく、子供からご年配の方まで、誰でも安心して入浴を楽しめると評判です。

完全予約制の貸切プライベート畳敷き温泉も完備!「誰でも気兼ねなく、温泉を楽しんでほしい」という思いから、バリアフリー設計の温泉を誰にも気を使うことなく独占してお楽しみいただけます。(1枠50分/有料)
部屋の様子

今回宿泊したのは、ベットのある洋室ですが、宿にあるほとんどのお部屋が畳敷きの和室です。お部屋には浴衣やタオル等もそろっており、日本らしい宿泊スタイルをお楽しみいただけます。

館内には集いの間と呼ばれる休憩室や、いつでも好きな時間に利用できる図書スペース等が設けられています。洗濯乾燥機等も完備しており、長期滞在にも対応しているのも嬉しいポイントです。
食事

湯治御膳として「一汁七菜」または「一汁八菜」を基本にした健康的な食事をいただくことができます。お膳スタイルで、地元の契約農家から仕入れた新鮮なコシヒカリや野菜、地元のお肉、川魚を使い、料理長が一品一品丁寧に作り上げた和食を堪能させていただきました。鴨肉を使ったお鍋も最高でした。
おまけ

1月中旬から3月末までの間、明治時代制作のお雛様をはじめ、28組+2組の7段飾り、京雛、漆仕上げの雛、内閣総理大臣賞を受賞した雛など、豪華な展示を見ることができます。運よくこの時期に訪問することができれば、美しいお雛様の数々をご覧になれますよ。

※お雛様は、日本の伝統行事「ひな祭り」(3月3日)に飾られる人形で、女の子の成長を祝うとともに、厄除けや健康を祈る意味も込められています。春の訪れを祝う重要な文化であり、家族や地域で大切にされています。
5: まとめ
板室温泉は、歴史ある温泉地で、豊かな自然に囲まれた癒しの場所です。シンプルながら効能豊かな温泉を堪能でき、心身ともにリフレッシュできます。温泉と美味しいグルメ、そして那須塩原の自然を楽しみたい方にぴったり。日帰りでも宿泊でも、温泉を存分に楽しむことができるので、温泉好きや自然好きには最高の旅先です。心も体も癒される「幸乃湯温泉」での宿泊をぜひ体験してみてください。
6:アクセス
▶東京からの交通手段
・東北新幹線利用:東京駅から東北新幹線に乗車し、那須塩原駅で下車します。所要時間は約70分です。
・在来線利用:東京駅から宇都宮線(東北本線)を利用し、黒磯駅で下車します。所要時間は約3時間です。
▶那須塩原駅から板室温泉へのアクセス
バス

那須塩原駅西口の3番乗り場から関東自動車のバスが運行しており、板室温泉までの所要時間は約50分です。(黒磯の駅も経由しますので、在来線を使って黒磯に来られる方もこちらのバスを利用できます)

※乗り場番号は地面に記載されているのでお間違えのないように!
レンタカー
公共交通機関の本数が限られているため、板室温泉へのアクセスはもちろん、その周辺の観光を快適に楽しむためには、レンタカーの利用が非常に便利です。那須塩原駅周辺には複数のレンタカー会社があり、以下の店舗がございます。
タクシー
那須塩原駅から板室温泉までタクシーを利用する場合、所要時間は約25分~30分です
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。