週に一度だけ!真っ白に染まる福島・岳温泉の神秘体験

普段は透明なのに週に一度だけ真っ白に!福島県二本松市にある岳温泉では、ミルキーデイと呼ばれる、週に一度だけ温泉が白濁する瞬間があります。本記事ではミルキーデイの秘密や岳温泉の効能、人気の温泉スポットをご紹介します。
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目次
- 岳温泉とは
- 【日帰り温泉】多言語対応も!至福のリラックス時間を楽しめる「ながめの湯光雲閣」
- 【足湯】カップル、子ども連れにぴったり!何度でも入り放題の「岳温泉足湯」
- 【宿泊】全身リラックスの入浴体験ができる「陽日の郷あづま館」
- アクセス情報
岳温泉とは

福島県の二本松市にある岳温泉。今から1200年以上前、平安時代に発見されたと伝えられている歴史ある温泉です。
これまで山津波や戊辰戦争など災害も多く、壊滅や全滅を繰り返してきた過去があります。それでも、その度に温泉を引き直し、再興を重ね、明治39年に現在の土地に落ち着きました。

湯元の温度は70度を超える高温ですが、それでも私たちが入浴できるのにはある秘密があります。
それは、湯元から約8kmにわたって引き湯がされていること。山を下る最中に自然と“湯もみ”され、適温で温泉街へ届くというカラクリです。

ただ、約8kmのパイプは定期的に掃除をしなければ、温泉から出る“湯の花”で詰まってしまうという一面も…。そこで活躍するのが、お湯の番人である“湯守”の人々です。
湯守とは、源泉と引き湯にまつわるすべての管理を任されている人たちのこと。お湯がスムーズに流れるように点検し、岳温泉の歴史を今なお紡いでくれています。

湯守の人々は、定期的にパイプに着いた湯の花を掃除する“湯花流し”を行います。この作業があることで、無色透明の温泉が白濁し、岳温泉の名物“ミルキーデイ”となるのです。

ミルキーデイの岳温泉は、いつもよりも硫黄の香りが強く、なめらかな湯質となります。一度に2種類の岳温泉を楽しみたい場合は、宿泊で訪れるとどちらの温泉にも入れますよ。
湯花流しは、原則週に1回程度、主に月曜日に行われますが、自然条件に左右されるためミルキーデイの日程は、岳温泉観光協会の公式SNSにてお知らせしています。
効能たっぷりのお湯と豊かな自然に恵まれている岳温泉は国民保養温泉地としても評価されており、健全な温泉地として認められています。
【日帰り温泉】岳温泉No.1!アツアツお風呂に入浴できる「岳の湯」

岳温泉街があるヒマラヤ通りと、春に桜が咲き乱れる桜坂。そのちょうど間にあるのが、昭和49年に創業した岳の湯です。
岳の湯では、湯元から引いたお湯に手を加えずに、そのままの温度で掛け流しをしています。岳の湯の湯口の温度は、なんと49度!岳温泉の中で1番の熱さを誇る温泉施設です。

桜坂の入り口にある岳の湯は、赤い「ゆ」の文字が目印。暖簾をくぐり、番台にて日帰り入浴料金を払います。

大人400円、小学生以上の子ども150円と破格の安さにびっくり!ワクワクしながら脱衣所へと足を運びます。
まずはシャワーで体温を徐々に上げ、49度の熱さに耐えられる土台作りからスタート。お客さんの中には、体を洗う掛け湯から木桶で温泉を汲みあげ、体を慣らしている人もいました。

ゆっくりとふくらはぎから温泉に入ると、寒さで冷え切った足先がジンジンと温かくなるのを感じます。足を入れたりだしたりしながら温度にじっと耐えていると、ゆっくりと心地よい加減になってきます。
腰まで、胸までと、ゆっくり温泉に浸かり、5分経つ頃には全身の力を抜いてリラックスできるようになっていました。
熱さが不安な人は、掛け湯をしたり、お水を入れながら入浴するのももちろんOK。筆者が訪れた際も、常連さんが「お水入れても良いからね」「まずはかけ湯から慣らすと良いよ」などと、初心者さんにアドバイスする優しい光景も見られました。

岳温泉は、アトピー性皮膚炎や糖尿病、切り傷などに効果があると言われています。岳の湯では日帰りだけでなく、宿泊や個室を貸し切った日帰り休憩プランもあります。10:00から19:00までが営業時間なので、じっくり岳温泉の恩恵に預かりたい方はぜひ足を運んでみてくださいね。
【日帰り温泉】多言語対応も!至福のリラックス時間を楽しめる「ながめの湯光雲閣」

旅館からの眺望が自慢の「ながめの館光雲閣」。昭和38年に「眺望の良い場所で温泉を楽しんでいただきたい」という思いから創業した温泉旅館です。

「ながめの館光雲閣」は、宿泊と日帰りどちらでも利用でき、宿泊をすると客室ほとんどの部屋から阿武隈(あぶくま)の山脈が眺められるそう。岳温泉街から50mの高台にあるため、四季折々の岳温泉の自然を、ちょっぴりの優越感と共に眺めることができますよ。
今回利用した日帰り温泉の利用時間は、11:00から14:30まで。受付では、入浴とランチがセットになったお得なプランも販売しています。大人は900円、3歳〜小学生までは600円と、リーズナブルな価格です。

受付を済ませて館内を進んでいくと、瓦屋根を模した温泉入口が登場!男湯と女湯の間には、安達太良の名水が風情たっぷりに流れており、自由に飲んで良いのだとか。十分な水分補給をして、いざ入浴です。

広々とした内風呂は、思わず足を伸ばしたくなるような開放感。体をほぐし、首元までじっくりと浸かれば疲れがスーッと抜けるような感覚に。体の芯からじんわりと温まる心地の良い入浴ができました。

また、露天風呂には1人専用の小型のお風呂も用意されており、ぼーっとするのにぴったり。岳温泉の澄んだ空気を思いっきり吸いながら、至福のリラックスタイムが過ごせました。

予約をすれば50分3,000円の貸切風呂に入れたり、ランチで腹ごしらえができたり、広々とした売店でお土産を見繕ったりと、楽しみどころが満載の「ながめの館光雲閣」。中国語・英語・インドネシア・フィリピン語の対応もあるため、岳温泉に初めて来る外国人の方にもおすすめの温泉施設です。

アクセスする際は、温泉街から少し離れているため車の利用がおすすめ。温泉街からは、坂道を登って10分ほどで到着しますよ。
【足湯】カップル、子ども連れにぴったり!何度でも入り放題の「岳温泉足湯」

春になると桜が咲き乱れる桜坂のトンネル。その中腹にあるのが、誰でも無料で利用できる岳温泉足湯です。
年末年始の数日を除いて、毎日9:00から17:00まで新鮮なお湯が絶えず流れている足湯。ふくらはぎまで浸かれる足湯は、旅の疲れをほぐすのにぴったりのスポットです。

大人4〜6人が座れるこじんまりとした足湯ですが、湧き出してくるお湯は岳温泉そのもの。ミルキーデイもしっかりと白濁する様子が見られ、硫黄の香りもふわりと香ります。
湯口付近は、冬場でも少し熱いくらいの温度。足先からふくらはぎを包むこむように、じんわりと温めてくれました。

ミルキーデイの11:00ごろを狙って行けば、お湯の色が変わる瞬間にも立ち会えるかも。湯元からザーッと流れ出す“ミルキーデイの始まり”が見れれば、旅の良い思い出にもなるでしょう。
足湯は誰でも利用できますが、お酒を飲んで入ったり、騒いだりしながら入るのはNG。ルールを守りつつ、旅行の合間に立ち寄ってみてくださいね。
【宿泊】全身リラックスの入浴体験ができる「陽日の郷あづま館」

今回旅の拠点として利用させていただいたのは、昭和9年に創業した「陽日の郷あづま館」。2024年には温泉街側に足湯や、福島県のお土産をそろえたセレクトショップなどが入った施設「Dake Peak」が完成し、地元の方々の憩いの場としても愛されています。
宿泊をすると12:00〜25:00、5:00〜10:00まで大浴場の利用が可能に。チェックインを済ませ、ワクワクしながら大浴場へと足を運びます。

扉を開けるとブワッと硫黄の香りが鼻を刺激し、温泉を五感で感じられます。湯けむりの先に目を凝らすと、湯口からとめどなく流れる源泉と、露天風呂の美しい雪景色に心を奪われます。

この日はミルキーデイだったため、内湯は乳白色の柔らかい湯質。10cm手を入れると、指先が見えなくなるほど濃い白濁が体験できました。

露天風呂では、木々のゆらめく音と、源泉の流れる音に耳を傾け、じんわり身体がほてってくる贅沢さを体感。体の力が抜け、頬が緩み、温泉に身を預けられるほどリラックスできました。

また2024年にオープンしたばかりの足湯も、チェックイン・チェックアウト時に利用しやすいスポット。暖炉が焚かれている日もあるので、ちょっとしたキャンプ気分が味わえるかも。

宿泊中は何度でも入浴でき、朝5:00には男女の入れ替えもあります。景色の違う露天風呂を楽しみに、とっておきの入浴体験をしてみてくださいね。
アクセス情報
岳温泉へのアクセスには、新幹線とJRを利用する方法や高速バスを利用する方法があります。
観光の目的や季節によってもアクセスの良し悪しが異なるため、詳しい順路をご紹介します。
東北新幹線+JR東北本線
まずは、東北新幹線を利用して郡山駅まで移動。東京からは1時間半ほどで到着します。
郡山駅からはJR東北本線に乗り換え、岳温泉のある二本松駅まで乗車。二本松駅からは福島交通の路線バスやタクシー、宿泊旅館が手配した送迎バスなどで岳温泉までアクセスできますよ。
高速バス+JR東北本線
東京からアクセスする場合、バスタ新宿や東京駅八重洲口から、高速バスを利用する方法もあります。
多くの高速バスでアクセスできるのは、福島駅や郡山駅まで。バス会社にもよりますが、東京からは3時間半〜4時間半で到着します。
福島駅や郡山駅からは、JR東北本線に乗り換え、岳温泉のある二本松駅まで乗車してくださいね。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。