【石川県・志賀町】伝統と挑戦が響き合う「志賀の太鼓」を体験!
日本の祭りや太鼓を見たこと、聞いたこと、体験したことはありますか? 石川県・能登半島の志賀町は、伝統的な祭りや太鼓の演奏を観覧できるほか、旅人も太鼓を叩いたり大会に出場することもできます。あなたも志賀町で太鼓の熱いビートを体感しませんか!?
日本海に突き出た能登半島にある石川県志賀町は、海・山・里の恵みと、はるか昔から守り継がれてきた祭りと太鼓の音色が包み込む町です。荒波が作り出した奇岩とさくら貝の打ち寄せる美しい砂浜、息を呑むほど美しい夕日の絶景、能登富士とも呼ばれる美しい高爪山のふもとに広がる人々の営みなど、観光で訪れたいスポットも多数あります。
この町でぜひ体験したいのは、日本の祭りと太鼓文化。伝統的な祭り、太鼓の技とパフォーマンスを競い合う大会などを観覧できるほか、旅人も実際に太鼓を叩く体験ができたり、現地の人と一緒に出場できる大会もあります。太鼓の聖地・志賀町を訪れ、日本の熱いビートを体感してみませんか!?

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目次
- 大地が響く「志賀の太鼓」が奏でる情熱と絆
- なぜ志賀町では太鼓が盛んなのか
- 太鼓文化の新たな発信と挑戦
- 志賀町の太鼓の新たな挑戦──太鼓がつなぐ人の輪
- お問い合わせ 志賀町の太鼓体験・観光
- 志賀町へのアクセス
大地が響く「志賀の太鼓」が奏でる情熱と絆
石川県の能登半島には、独自の文化や風習が多く残されています。なかでも能登は祭りの宝庫といわれ、各地域でいろいろな祭事や行事が行われ、それぞれの地域に根付いた祭りが息づいています。キリコと呼ばれる奉燈(何十人もの人が協力してかつぐ巨大なランタン)や祭りで打ち鳴らされる太鼓は、まさに能登の祭りを代表する特徴です。

志賀町は太鼓が盛んな地として知られ、古くからの祭礼や迫力ある競技大会、そして近年の新しい文化イベントに受け継がれています。何百年にもわたり受け継がれてきた伝統に触れたい人も、斬新なパフォーマンスを体感したい人も、志賀町はそのリズムの輪に招き入れてくれます。
「志賀の太鼓」は「大バイ(おおばい)」「小バイ(こばい)」という2人でひとつの太鼓を打つ力強い演奏スタイルが特徴で、県内外で高く評価され、石川県内の太鼓大会や全国規模のイベントでも存在感を放っています。
「大バイ」は太鼓を雷のように大きく打ち鳴らし、「小バイ」は雨音のように細かく打ち鳴らします。大地を揺らすような重厚な響きと、観客の心を震わせる力強いリズムは、単なる郷土芸能にとどまらず、地域の精神性とアイデンティティを体現する文化遺産として位置づけられています。

なぜ志賀町では太鼓が盛んなのか
志賀町では、古くから太鼓が祭礼や地域行事の中心にありました。その代表格が「冨来 八朔祭礼」や「県下太鼓打競技大会」「これでもか!太鼓」です。祭りをルーツに太鼓文化が大切に受け継がれ、町内にはいくつもの太鼓の保存会や団体が存在し、年長者から子どもたちへ継承されています。独特のリズムと伝統に培われた「志賀の太鼓」は、単なる楽器・音楽を超えて、地域の「鼓動」そのものになっています。
県下太鼓打競技会
毎年9月の第3月曜に「小浜神社」で行われる「県下太鼓打競技大会」は、太鼓打競技大会として石川県内最古の歴史を誇り、2025年で90回目の開催を迎えます。志賀町や七尾市、輪島市など県内各地の大会を勝ち抜いた、年齢や性別もさまざまな太鼓打チームが競い合い、神社の境内に張り詰める緊張感の中、昼から夜まで熱戦が繰り広げられます。

審査は6人の審査員によって「打ち込み」「芸」「調子」が採点され、合計点数で順位がつけられます。大バイのバチは主催者が用意したものを使用し、バチを落とした場合は30点が減点されるなどルールも厳しく、以下の基準で厳正に審査されます。
打ち込み:鳴らした太鼓の音の大きさを審査。大きい音が好まれる。
芸:打ち姿の美しさや、打ち込みの合間に見せる芸の良し悪しを審査。
調子:リズムが揃っているか、乱れていないかを審査。
※太鼓の隅を叩いたり、バチ同士をぶつけると評価は低い。
入賞者には相撲の番付になぞらえた「大関」「関脇」「小結」の称号が与えられます。また、10年に1度だけ歴代大関(優勝者)が競い合い、真のナンバーワンを決める横綱決定戦も行われます。2025年はその10年に1度の横綱大会が行われる年に当たります。

冨来 八朔祭礼──——1000年前から続く祭り
志賀町は「冨来 八朔祭礼」でも知られます。旧暦の8月1日に祭りが行われていたのが名称の由来で、現在は毎年8月第4土曜と翌日の日曜に開催されています。毎年同じ時期に開催されるので、祭りの日程に合わせて旅行プランを練るのもいいかもしれません。

この「冨来 八朔祭礼」は1000年前から続くといわれ、その由来には富来地区の増穂浦(ますほがうら)に漂着した八幡神社の男神と、それを助けた住吉神社の女神が関係しています。
男神と女神は結婚しましたが、毎晩響く荒波の音に我慢できなくなった男神が海から離れた場所に移り住んだため、年に1度、男神と女神を引き合わせるために祭りが始まったといわれています。
▲2018年開催の「冨来 八朔祭礼」の様子。(志賀町 公式YouTubeより)
1日目の「お旅祭り(おたびまつり)」では、大小20数基のキリコ(奉燈/ほうとう)が各地区から八幡神社に集まって男神を迎え、約2Km離れた住吉神社まで、太鼓や鉦(かね)を打ち鳴らしながら渡御します。
2日目は昼過ぎから「本祭り」が始まり、11基の神輿(みこし)が増穂浦で列を組み、浜辺を歩いて男神を八幡神社まで送り届けます。キリコや神輿が、鉦や太鼓を打ち鳴らしながら渡御する光景は、まさに町全体が太鼓の響きに包まれる瞬間です。
「これでもか!太鼓」──復興への想いを込めた音色
志賀町では、伝統を守りながらも新しい挑戦を積極的に取り入れ、太鼓文化を観光や地域活性化につなげています。2024年11月10日には、志賀町の太鼓団体が一堂に集結する演奏イベント「これでもか!太鼓」の第25回大会が志賀町文化ホールで開催されました。富来のまつり太鼓の音色と伝統のリズム、さまざまな太鼓パフォーマンスを楽しむことができました。

ゲスト出演した福岡県を拠点に活動する「和楽団ジャパンマーベラス」が提供したオリジナル楽曲も初披露されました。2024年の元日に能登半島では巨大地震が発生し、志賀町を含む能登半島全域が大きなダメージを受けました。代表の西口氏は、かつて志賀町での太鼓大会で準優勝した縁を持ち、能登半島地震で被災した町の復興を願って楽曲を贈ったといいます。
この楽曲を「和楽団ジャパンマーベラス」と能登の出演チームが合奏したステージは、鳥肌が立つほど壮観で、力強い太鼓の響きと、一糸乱れぬパフォーマンスの美しさに圧倒されました。

太鼓文化の新たな発信と挑戦
志賀町では、太鼓を核にした観光コンテンツの開発も進めています。2024年10月に実施された志賀町名物「世界一長いベンチ」でのギネス記録への再挑戦や、これまで開催されてきた歴史ある太鼓イベントとは趣向を変えた新たな大会「鼓動の頂 トーナメントバトル」の開催、観光客が実際に太鼓を打てる太鼓ワークショップなど、見て終わりではなく「参加できる」楽しみが広がっています。
「世界一長いベンチ」でのギネス記録への挑戦
このチャレンジでは、参加者全員が「世界一長いベンチ」に座り、リレー形式で和太鼓を叩いた人の人数で世界最多を目指しました。ただ太鼓を叩くだけでなく、あらかじめ規定した「志賀の太鼓」の伝統的なリズムで正確に演奏することが条件。当日はギネスから審査員が派遣され、志賀町の町長や町内の太鼓団体をはじめ、町内外から300名以上が集まり記録に挑戦しました。
「世界一長いベンチ」は増穂浦海岸に設けられた全長460.9mのベンチで、1989年に世界最長のベンチとしてギネスブックに登録されました。2024年に再びギネスに挑戦した背景には、太鼓で絆を深め、震災からの復興を願う意味もありました。

午前11時のスタートと共に、ベンチに並んだ年齢・性別・国籍も超えて集まった参加者が、バトンの代わりに太鼓のバチをリレーして、「ドドンドン・ドドンドン・ドドンドドン・ドンドンドドン・ドンドンドドン・ドンドンドンドンドドンドン」という志賀の伝統的な太鼓のリズムを刻みました。大人も子どもも、この日のために練習を重ねたかいがあり、269人で見事にギネス記録を達成しました!

鼓動の頂 トーナメントバトル──新世代の舞台
2025年7月13日には、「鼓動の頂 トーナメントバトル」が初開催されました。2人1組(場合によっては鳴り物を加えた3人1組)で競うトーナメント形式の大会で、技術力・表現力・響きの美しさ・創造性・観客反応で競う新たに誕生した太鼓の大会です。
「鼓動の頂 トーナメントバトル 2025」大人の部の優勝チーム
「鼓動の頂 トーナメントバトル」は、コスプレも自由という柔軟なルールで、演奏の組み合わせや衣装・パフォーマンスを工夫して行われる勝ち抜き戦は、目と耳で大いに楽しむことができ、飽きることがありません。従来の競技会とは一味違った発表の場となり、演者からも観客からも継続的な開催が期待されています。
「鼓動の頂 トーナメントバトル 2025」の子供の部の優勝チーム
志賀町の太鼓の新たな挑戦──太鼓がつなぐ人の輪
志賀町の太鼓文化は、地域の歴史・祭り・人々の誇りが重なり合い、現代まで力強く受け継がれてきました。そして今、その響きは町の枠を越え、新たな世代や外部の人々へと広がりつつあります。
太鼓の響きは初めて聞くリズムなのに、どこか懐かしく、心が熱くなってきます。自然に身体が揺れて、いつしかリズムに乗っている自分に気づきます。「あんな風に叩けたらいいな」「自分にもできるかな」そう思ったらぜひ挑戦してみましょう! 志賀町では観光客が太鼓を体験するワークショップのプログラムも開発されています。

観客として迫力ある演奏を楽しむもよし、実際にバチを握って体験するもよし。足元から胸の奥まで響くあの振動と一体感は、訪れた人だけが味わえる贅沢です。大地と人の心を揺らし、伝統と革新が響き合う「志賀の太鼓」の思い出を、ぜひ旅のお土産として持ち帰ってください。

お問い合わせ 志賀町の太鼓体験・観光
一般社団法人 志賀町観光協会
〒925-0454 石川県羽咋郡志賀町相神イの3番地1
TEL 0767-42-0355 FAX 0767-42-2664
志賀町へのアクセス
《東京から》
1)東京駅-金沢駅 北陸新幹線(かがやき)2時間28分
金沢駅-志賀町 車で約50分
2)東京駅-新高岡駅 北陸新幹線(はくたか)約2時間20分
新高岡駅-志賀町 車で約1時間
3)羽田空港-のと里山空港 約1時間
のと里山空港-志賀町 車で約40分
《大阪から》
大阪駅-金沢駅 JR特急+北陸新幹線 約2時間30分
金沢駅-志賀町 車で約50分
《名古屋から》
名古屋駅-金沢駅 新幹線+特急 約2時間30分
金沢駅-志賀町 車で約50分
北陸エリア全体を盛り上げる取り組みを行なっています