下北沢にある発酵食品の宝庫!発酵デパートメントの魅力
下北沢にある「発酵デパートメント」では日本各地の発酵食材に出会えます。ヘルシーで旨味あふれるユニークな逸品の数々が、日々の食卓をワンランク上の味わいへと格上げします。
発酵――日本料理の心

日本料理に関心のある人なら誰もが、その豊かな風味と多様性が発酵食品によって支えられていることにすぐに気づくでしょう。醤油、味噌、そして日本酒などはほんの一例に過ぎません。
この食文化の伝統の礎となっているのが、日本の気候に最適化した「麹菌」。麹菌は米を養分として生育するため、その発展の歴史は日本の農業史や環境と深く結びついています。
麹は日本における発酵の主要な触媒として機能します。酒造りにおいて、麹は米を糖化させてから、酵母がその糖分をアルコールに変化させます。また、大豆の発酵においても重要な役割を担っており、醤油や味噌に特有の深みを与えています。
発酵について学べば学ほど、料理でどんどん活用したくなります。日本各地にある醸造所を見学するのも面白いですが、東京で発酵食品を求める場合、厳選された商品が揃う「発酵デパートメント」がおすすめです。
「発酵デパートメント」の誕生ストーリー

発酵デザイナーの小倉ヒラク氏による書籍
発酵食品を専門に扱う店舗を開くというアイデアは、2019年に渋谷ヒカリエの「d47 MUSEUM」で開催された展覧会「発酵ツーリズム にっぽん」の成功から生まれました。
発酵デザイナーの小倉ヒラク氏がキュレーションしたこの展覧会は、日本各地の発酵文化を紹介するのが目的でした。その反響を受け、下北沢で個性的なお店が集まる複合施設「BONUS TRACK」に「発酵デパートメント」がオープンするに至ったのです。
2020年初頭、パンデミックによる不安が広がる中でオープンした当初、お客さんは主に下北沢の住民でした。お家で料理をする頻度が増えた中、多くの方々は発酵食品が毎日の食卓に彩りを添えてくれることに気づきました。これが現在まで続くトレンドの火付け役となりました。
現在、お客様の半数近くを海外からのお客さんが占めるまでになりました。興味を持って初めて来店される方から、かつては遠い地域でしか手に入らなかったような希少な特産品を探し求める食通の方々まで、幅広く足を運んでいます。
「発酵デパートメント」で手に入る基本的な発酵食材

発酵デパートメントの棚には、限られた食材を発酵させることで生まれる、驚くほど多彩な風味の食品が並んでいます。いくつかの例を挙げますと、
甘酒:日本で広く親しまれている、甘くて栄養価の高いノンアルコールの米飲料です。発酵デパートメントでは、珍しい「透明な甘酒」も見つけることができます!

味噌:愛知県の濃厚な豆味噌「八丁味噌」から、九州の甘みのある「麦味噌」、そして京都の繊細で上品な「西京味噌」まで、バラエティ豊かなラインナップを取り揃えています。
醤油:刺身に最適な3年熟成の濃厚な「たまり醤油」から、塩分控えめで煮物の味付けにぴったりの品種まで、様々な種類から選べます。

みりん:うるち米、もち米、焼酎を醸造して作られる、和食に欠かせない調味料です。料理に自然な甘みと美しい照りを与えてくれます。
酢:寿司用のキレのあるブレンド酢から、サラダに合うまろやかなお酢、漬物に適した風味豊かで刺激的なものまで、多彩な味わいの酢もあります。
納豆:日本の伝統的な朝食には欠かせない、栄養満点の大豆発酵食品です。

漬物:白菜やきゅうりといった伝統的な日本の漬物に加え、風味豊かなキムチや全国各地のバラエティ豊かな品々も。

アルコール類:日本酒、ワイン、クラフトビール、そしてどぶろくもあり、お好みに合った飲み物が選べます。
発酵デパートメントの棚を眺めていると、発酵がもたらす魔法に心が躍ります。この棚に並ぶ食品は、職人たちと、麹菌やその他の有用菌が何世紀にもわたって築き上げてきた、目に見えない共同作業の結晶です。
シンプルな材料が、いかにして奥深い風味へと変貌を遂げるのか。その神秘をこのショップでぜひ体感してください。

食器や陶器、キッチン用品に加えて、オーガニックかつ発酵の技術を活かして作られたユニークなコスメもここで購入できます。
味を体験!「発酵デパートメント」」での食事

Picture courtesy of 発酵デパートメント
併設の食堂では、ランチや午後のひとときに、これらの発酵の味わいが楽しめます。メニューは、発酵食材の持つ多様な魅力を引き出した、ヘルシーで体に優しい料理が中心です。
写真の「発酵とせいろ蒸し 七福菌」は、7種類の異なる発酵菌が織りなす風味を、一度のお食事で存分に楽しむことができるこだわりの定食です。
定食メニューは数ヶ月ごとに入れ替わるため、訪れるたびに新しい発見があります。こうした食事は、ご家庭での料理に発酵食材を取り入れるためのヒントにもなるはずです。
2026年は期間限定で、台湾の料理専門家ペギー氏とコラボレーションしたメニューが登場します。さらにこの期間中は、台湾の発酵食品を紹介するフェアも同時開催されます。

食堂には、人類学の専門書から実践的な料理本、図解ガイドまで、多彩な資料を取り揃えたライブラリーコーナーもあります。
キッチンから漂う香りに包まれて、下北沢での静かな午後を過ごすのにぴったりの場所です。
新しい味覚体験のためのユニークな発酵食品
発酵デパートメントが取り扱う商品は、3つの基本理念に基づいています。伝統的な手法への敬意、現代のニーズに対応した発酵技術の活用、そして何よりも、わくわくするような新しい味覚体験を提供してくれること。
創業者である小倉ヒラク氏が全国各地を巡り、醸造所を訪ね歩く中で得た着想から生まれた食品のラインナップには、食に対する探究心が息づいています。
下記にてこのビジョンを体現する商品をいくつか紹介します。発酵デパートメントが各地の職人たちと協力して開発したオリジナル商品にもご注目ください。
1. 黒麹甘酒

発酵デパートメントでは多種多様な甘酒を取り扱っていますが、中でも際立っているのが「黒麹甘酒」です。
沖縄の酒造りで伝統的に使われてきた黒い麹菌は、発酵過程で自然とクエン酸を生成し、雑菌の繁殖を抑える働きがあります。
この過程により、パイナップルを思わせる甘酸っぱい風味が生まれます。そのままさっぱりとした飲み物として楽しむのはもちろん、万能な料理用調味料としても使えます。
レシピのアイデアは、発酵デパートメントの公式HPをご覧ください。
2. アウトドア納豆

納豆は、日本の伝統的な発酵食品であり、栄養価の高さで知られる食材です。
一般的な納豆は要冷蔵ですが、発酵デパートメントと山梨の味噌屋、群馬県のアウトドアブランドが共同開発した「アウトドア納豆」は、常温保存が可能です。キャンプやハイキング、大自然の中での冒険の際にも、手軽にその健康効果が楽しめます。
3. 土と種の味がするぶどう酒:マルサン葡萄酒

2019年以来、発酵デパートメントはワイン造りの名産地として知られる勝沼にて、「土と種の味がするぶどう酒」を生産しています。
果肉のみを使用する一般的な甲州ワインとは異なり、このヴィンテージは果皮や種まで含めた果実全体をしっかりと圧搾して造られています。
この工程により、しっかりとしたタンニンと深みのある旨味が特徴の、オレンジ色を帯びた葡萄酒が生まれます。親しみやすくカジュアルなこのぶどう酒は、和食との相性も抜群です。
4. 戸塚醸造「純米にごり酢」

「純米にごり酢」は、酒粕を発酵させて作られており、深みのある旨味を堪能できます。
8ヶ月以上の熟成期間を経て、伝統的な酒袋で搾り出すことで、鮮やかな酸味と複雑な風味が調和した、濁りのあるお酢に仕上がります。
日々の料理を格上げする万能な常備調味料として活躍するだけでなく、レモンと炭酸水で割れば、夏にぴったりの爽やかなドリンクとしても楽しめます。
5. 新潟生まれの発酵唐辛子「かんずり」

かんずりは、新潟県妙高市の雪深い山々で造られる発酵唐辛子ペーストです。かつては地元の隠れた名品でしたが、この旨味のあるマイルドな辛さの調味料は、今や全国で愛される存在となり、発酵デパートメントでもベストセラーとなっています。
鮮やかな赤色に驚くかもしれませんが、かんずりの特徴は強烈な辛さではなく、深い旨味にあります。使い勝手が良く、鍋物やラーメン、焼き鳥、あるいはシンプルな豆腐料理のアクセントとしても最適です。
発酵デパートメントで、発酵食材の世界を楽しもう
発酵デパートメントは、日本各地から集められた発酵食材の宝庫です。その一つひとつを眺めるだけで、好奇心が刺激され、毎日の料理に新しい楽しみを添えてくれます。
発酵が持つ可能性は無限大です。ぜひ発酵デパートメントを入り口にして、この鮮やかな発酵の世界を堪能してみてください。
発酵デパートメント
所在地: 東京都世田谷区代田2-36-5 BONUS TRACK (地図)
営業時間: ショップ 11:00 - 18:30、レストラン&カフェ 11:00 - 17:00
公式HP:https://hakko-department.com/
公式Instagram: https://www.instagram.com/hakko.department/
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In cooperation with 発酵デパートメント
2016年よりMATCHA編集者。 能楽をはじめとする日本の舞台芸術に魅せられて2012年に来日。同年から生け花(池坊)と茶道(表千家)を習っています。 勤務時間外は短編小説や劇評を書いていて、作品を総合文学ウェブメディア「文学金魚」でお読みいただけます。