旅の準備はじめよう
日本のことば辞典「落語」
話が好きで笑うのが大好きな日本人だからこそ生まれた伝統芸能、落語。他の伝統芸能とはひと味違い、噺家(はなしか)の技量がその面白みを大きく左右します。今回は、今日でも子どもからお年寄りまでライブやテレビで楽しむ落語について解説します。
落語って、なに?
日本の伝統的な話芸で、最後に「落ち」がつく噺(はなし)のことをいいます。歌舞伎のようなほかの伝統芸能と違い、衣装や道具や音曲に頼らず、一人で何役も演じながら手振りと身振りで噺をすすめ、演者の技術と聞き手の想像力によって世界が広がっていきます。落語の始まりは16世紀ごろの戦国時代、戦国大名のそばに仕えて話の相手をしていた「御伽衆(おとぎしゅう)」と呼ばれる人たちで、中でも京都誓願寺の僧侶だった安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)は最後に落ちのある噺で説教をしていたそうで、全8冊、約1,000話もの笑話集を作りました。18世紀ごろになると噺を聞かせる人物が登場して「噺家」とよばれ、聴衆を集めて席料を取るようになると、常設の興行小屋「寄席(よせ)」が誕生しました。
落語の種類とポイント
東京を中心に演じられるものを「江戸落語」、大阪・京都を中心に演じられるものを「上方落語」といい、その大きな違いはそれぞれの方言で語られる点です。同じ演目でも、江戸と上方で題名が違ったり、話がちょっと違ったりします。面白くて最後に落ちのある「落とし噺」、親子や夫婦などの微妙な人情を描いた「人情噺」、落とし噺の中にところどころ歌舞伎風の台詞回しを混ぜて芝居のようにした「芝居噺」、幽霊が登場する「怪談噺」と、4種類の噺があります。落語のポイントは、「言葉」と「仕草」にあります。登場人物をすべて一人で演じるので、声調や言葉使い、話し方、間や速さなどによってそれぞれに特徴を与える工夫をしています。また、落語には台本がありますが、登場人物の細かい気持ちや情景など、説明的な文を省略して仕草で表現します。使う道具は、原則として扇子と手ぬぐいだけ。扇子をお箸に見立てて食べる仕草をしてみたり、てぬぐいを紙、扇子を筆に見立てて字を書いたり、まるでパントマイムのようです。
寄席に行こう!
落語を体験するには、寄席に行くのが一番です。寄席では落語だけでなく、漫才や手品など多彩なプログラムになっています。映画館のように出入りも飲食も自由ですが、出入りは演目の合間、飲食はあまり音のたたないものと、周りに迷惑がかからないよう注意しましょう。寄席は年中無休のところが多く、昼席と夜席があってプログラムが違います。また毎月1~10日の上席、11~20日の中席、21~31日の下席でもプログラムが変わります。全席自由席で、料金もおよそ2,500円~3,000円です。寄席は以下の4つがあります。
新宿末廣亭(東京、新宿)、浅草演芸ホール(東京、浅草)、鈴本演芸場(東京、上野)、池袋演芸場(東京、池袋)
またほかにも、落語が体験できる会場があります。
お江戸上野広小路亭(東京、上野)、お江戸日本橋亭(東京、日本橋)、お江戸両国亭(東京、両国)、国立演芸場(東京、千代田区)、横浜にぎわい座(横浜)、三吉演芸場(横浜)、大須演芸場(名古屋)、天満天神繁昌亭(大阪、北区)
劇場やイベントホールでも寄席が行われることがあるので、ぜひチェックしてみてくださいね!
日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!