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日本のことば事典「土間」
「土間」は、日本の伝統的な家屋に設置されている、"屋外と屋内の中間"的な意味を持つスペースです。キッチンや作業場として使われてきた土間の詳しい説明と、現代でも土間を見学できる観光スポットを紹介します。
世界的にも知られている通り、室内では靴を脱ぐのが日本の習慣であり常識です。
日本は雨降りの日が多く、濡れた靴のまま室内に入ると、部屋が汚れてしまうため靴を脱ぐ文化ができたと言われています。靴を脱いだり、履いたりする場所が玄関、そして玄関と部屋の間にあるのが土間(どま)です。
玄関はよく知られていますが、土間という言葉を聞いたことがある人は少ないかもしれません。では、土間とはどんな場所なのか、詳しくご紹介します。
「土間(どま)」とは?
土間とは漢字で「土の場所」という意味で、主に伝統的な日本の建物に設置されています。その名の通り、土を叩いて固められた場所で、玄関を広くしたようなスペースです。屋内と屋外の中間的な意味を持っており、「屋内に作られた屋外同様の空間」ということになります。
「土間」の役割は?
昔はかまど(※1)と呼ばれるコンロが土間にあり、水は井戸から汲むなど、炊事のためには屋外に出る必要がありました。そのため土間がキッチンとして使われていたのです。利便性のみならず、床が腐らず、燃え移らないことから、防災の面から見ても優れていると言えます。
また、土間は農家・漁師・大工の作業スペースとしても使用されてきました。「室内だと汚れが気になる」「屋外だと明かりや天候の影響を受ける」といった悩みと無縁なため、作業場として最適だったのです。さらにゴミやほこりが出ても掃除が簡単なところも土間の魅力のひとつです。
※1……かまど: 鍋などを掛け、下で火をたいて調理するための設備。
現代における「土間」とは?
「土間を見てみたい」と思っていただけたでしょうか?
photo by Pixta
そんな方には、神奈川県川崎市にある「日本民家園」がオススメです。200~300年くらい前に建築された古民家が立ち並び、実際に使われていた土間を見学することができる地区です。日本語や英語だけでなく多数の言語に対応しているので、訪日観光客も安心。日本民家園は小田急線で東京の新宿から21分、到着駅から徒歩13分で気軽に行けます。ぜひ足を運んでみてください。
知恵が活かされた日本の伝統的建築である「土間」。昔の日本人の生活がかいま見える空間です。