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まるで小さな博物館。野方のリサイクルショップ・古美術店「ペイブメント」
東京、西武新宿線野方駅から徒歩7分のリサイクルショップ・古美術店「ペイブメント」を紹介します。 1000年以上前のレリーフや、江戸時代の焼き物など貴重な商品がたくさん。
こんにちは。ナカノ観光レポーターの「ちいたん」です。ちびナカノさんも一緒です。東京、中野のまちを歩いていると、迷路に入り込んだような気持ちになり、思いもよらないお店を発見することがあります。
通りかかったお店の花瓶が素敵なので外から眺めていると、「中は広いんですよ、見て行ってください」とお店の方の声が。入ると、萩焼の白いお皿を発見。お値段を聞いてびっくり!迷わず買ってしまいました。こちらは掘り出し物が見つかるお店「ペイブメント」。リサイクルショップ・古美術店です。
東京、西武新宿線「野方駅」から新宿方面へ線路沿いを7分ほど歩いた場所にあります。
店内を見回すと本当にたくさんの商品が並んでいます。
商品が所狭しと並んでいるのに、清潔感があります。
「あれ?ちびナカノさんはどこへ?」
「あ、ちびナカノさん、和さんにお掃除してもらってる!」
店主の「和さん」こと梅澤和也さんにお話を伺いました。―店名の由来を教えてください。「中学の英語の先生が、『pavement(ペイブメント、和訳:石を敷き詰めた歩道)の響きが好きだ』と言っていたのが印象に残っていて。私の中では、ヨーロッパの石畳の小道で、『どうぞお気軽にお入りください』と店主が歓迎しているようなイメージです。有名なミュージシャンでも『ペイブメント』というグループがあるそうで、ヨーロッパやアメリカのお客さんに『音楽が好きなの?』と聞かれることがあります」和さんは英語で接客することもあるそう。
「英語は、ほぼ毎日来ていたアメリカ人のお客さんと会話しているうちに習得しました。これも人とのつながりですね」と話す和さん。「創業は1996年3月12日。なかなか1階のスペースが見つからなくて、運よく空いていたここにしました」
―どんなお客さんが多いですか?「老若男女問わずですね。100円玉を握りしめたお子さんから、90歳の方までおいでですよ。海外からのお客さんにも喜んでいただいています」
―苦労した買取はありますか?「古物商の認可のもとで、生物以外あらゆるものの買取をしています。はじめは知識が少なくて自信が持てず、20年ずっとしまっておいたお茶碗を専門家に相談したら偽物だったことがありました。迷うものは判断がつくまで店に出さないこともあります」そんな勉強の積み重ねで、今では経験と知識で自信を持って商品チェックができるようになったとのこと。ほかにも本を読み漁り、手元の商品をよく観察しながら学んだそうです。
―お店のこだわりを教えてください。「人のぬくもりを感じるものを置いています。壊れたものも好きなんです。店の商品はできるだけ修復して出しています」
日本の伝統技法「金継ぎ」で、和さんが修復したお皿です。
ものから感じられる背景や物語を、「いい空気を漂わせている」と表現する和さん。「完璧なもの、名のあるものを求めるマニアの方もいらっしゃるんですけれども、商売的なことはあまり意識していないです。見どころのあるものをお店に置きたいと思っています」また、文化を感じるあらゆるものが好きとのこと。「私はものずきなんですよ。古いものは歴史の生き証人です。1000年以上前の人が作ったものが残っていますよね。それを頼りに歴史を学べるのは喜びです」
―お店で一番古いものは何ですか?「ガンダーラ石仏台座のレリーフの一部で西暦300年から500年頃の物です。今のパキスタンですよね。ヨーロッパとアジアの文化が合流したローマ帝国の時代です」
「次に古いのは、唐(現在の中国)の加彩壺で、西暦700年として約1300年前です」
「これは、初期の伊万里焼です。来日した韓国人との共同作業により、有田で作られたものです。多分、1610年代ですね。ものにはそれぞれ思いや文化が込められています。その当時の人たちに話が聞けたらどんなに面白いだろうと思いますよ」
ほかにも江戸時代後期の「こしらえ(日本刀の外装)」や、「切羽詰まる」の語源になった刀装具「切羽」も見せてもらいました。金工が本当にきれい。
品揃えが幅広く、小さな博物館みたいです。
―最後に、中野の好きなところはどこですか?「野方が下町の雰囲気に溢れていて大好きです。古くから続いているお店も多く、街並みと合わせて変わらないですね」
「商品の良さは、デジタルでは伝えきれないところもありますよね。お店に来て、見て触って。それが楽しいと私は思っています」和さんの穏やかな接客が心地いいお店です。どこかノスタルジックで、ピンとくるものを探すのはわくわくしますよ。出会いを待っている品々に囲まれ、ちびナカノさんもなんだか楽しそうです。
ペイブメント
所在地:東京都中野区野方3丁目27-3
アクセス:西武新宿線「野方駅」から徒歩7分
電話:03‐3319‐9888営業時間:10時から16時
定休日:日曜日(ほかに臨時休業日あり)
各種クレジットカード、電子マネー、QRコード決済利用可能。SMBC stera対応。
中野区は、東京都23区の西部に位置しています。サブカルチャーの「聖地」と呼ばれる「中野ブロードウェイ」が特に有名ですが、それ以外にも歴史ある神社・仏閣やグルメなど、多くの観光資源を有しています。 中野駅周辺で「100年に1度」とも言われる再開発が進み、まちの移り変わりが進む一方、昔ながらの人情味あふれる商店街が賑わっているなど、中野のまちは多様な面を持っています。そんなまちの多様性が、約1.7万人、約120カ国の人が住むというまちの特徴にもつながっています。