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【職人のまち燕三条】一生ものの道具を育てる、自分だけのフライパンをつくる旅
「職人のまち燕三条」を五感で体感してもらう旅。今回は地元出身のツアーガイドだからこそ案内できる町工場で、オリジナルの鉄フライパンづくりに挑戦。イギリス出身のマヌウェル、ドイツ出身のナタリーの二人に体験してもらいました。
KRaft Tour
県の中央部に位置する燕三条は、古くから「ものづくりの街」として栄えてきました。江戸時代から続く伝統技術を継承し、世界でも類を見ない多様な技術が連なる金属加工の集積地として、作業工具や刃物、洋食器など生活に欠かせない道具をつくり続けてきた場所です。
このツアーでは、地元出身のツアーガイドだからこそ案内できる、普段は入れない歴史ある町工場や地元の人が通うローカルスポットを巡っていきます。KRaft Tour(クラフトツアー)のシンボルでもある旧三条物産 土蔵から旅がスタートします。
蔵から工場までは高性能バッテリーを搭載したe-Bikeで移動します。ヘルメットにはスピーカーとマイクが搭載されており、自転車に乗りながらガイドとも会話ができるので安心です。
自転車で爽快に風を切りながら、信濃川にかかる鉄橋や踏切など、ゆったり流れる日常の景色を楽しむことができます。
KRaft Tour:https://kraft-ts.jp/
近藤製作所
今回ものづくり体験を行うのは、鍬(くわ)を専門に製造する近藤製作所。野鍛冶(のかじ)として創業から150年以上続く鍛冶屋です。野鍛冶は江戸時代からあった職業で、日本刀を専門につくってきた刀鍛冶に対し、包丁や農機具など人々の生活に密着した暮らしの道具をつくる職人のことを指します。
現代の野鍛冶として、工場の六代目を務める近藤 孝彦(こんどう・たかひこ)さんに教えていただきながら、オリジナルの鉄フライパンづくりに挑戦。
鉄フライパンは一枚の丸い鉄板を叩くことから始まります。近藤さんから作業工程の説明を受けたマヌウェルは「アイアンマンみたいですね!」と目を輝かせます。
フライパンづくりはおもに鍛造作業がメイン。炉のなかで高温に熱した鉄板を、ハンマーでひたすら叩いて成型していきます。
少しずつカーブをつけながら、熱して叩くを繰り返して深さを出していきます。
叩き方やカーブの付け方で形が異なるため、造り手の個性が味として現れてきます。
「こんなに時間をかけてつくってるなんてびっくり!」と驚くナタリー。ひとつひとつ丹精込めて造り上げる職人のこだわりや努力を垣間見ることができました。
形が出来上がったら続いて整形作業。グラインダーを使って鉄板の縁を研磨しながら、形を整えていきます。
表面の凸凹がなくなるよう、ミリ単位で形を整えていきます。
整形したら柄付けを行います。ネジ穴を開けた箇所に溶接してリベットを取り付け。
柄を付けたら仕上げに内底の研磨、表面に油を塗るシーズニング作業を行い、いよいよ完成です。
鍛造から研磨、柄付けまで一連の工程をイチから体験し、完成した「自分だけのオリジナル鉄フライパン」。丹精込めて造る職人の想いやこだわりに触れられたことで、ものを永く大切に扱おうという気持ちが自然と込み上げてきます。
「道具を手造りするのにかかる労力を知ると、さらに感謝の気持ちが湧いてきます。」と語ってくれたナタリー。ふたりの努力を近藤さんも称えてくれました。
近藤製作所:https://kuwakaji.com/
村の鍛冶屋 SHOP
アウトドアの聖地としても知られる燕三条。完成したフライパンをもって向かったのは人気のアウトドアブランド「村の鍛冶屋」を扱う、村の鍛冶屋SHOPです。
燕三条地域の製品を使った包丁の試し切りやコーヒーの抽出体験、斧や鉈を使った薪割り体験など、さまざまな体験を行うことができます。
この日はSHOPの広場を借りて、完成したばかりのフライパンと三条の地元食材を使ってアウトドアBBQを行いました。
直火、IHどちらにも対応している鉄フライパン。柔らかな肉質と甘みがある脂身が特徴の下田ポークのステーキを、豪快に焚き火で調理しました。
熱伝導率の高い鉄フライパンで調理することで、肉の旨味を逃さず表面はカリッと、中はジューシーに焼き上げることができます。「柔らかくておいしい!」と満足そうなふたり。
「つくる技術」と「つかう生活」の両方を体験できるのも、このツアーならではの楽しみ方です。
村の鍛冶屋 SHOP:https://www.yamac.co.jp/shop/
ガイドブックに載っていない、一点ものの旅を
「毎朝、このフライパンを使うたびに達成感と満足感を感じられそうです」
「わたしの大切なキッチンアイテムのひとつになりました!」と語ってくれたマヌウェルとナタリー。
使えば使うほど手に馴染み、味が出てくるのも鉄フライパンを愛用する楽しみのひとつです。
一生ものの道具を育てる、自分だけのフライパンをつくる旅を、皆さんも体験してみませんか。
日本有数の職人が集まる街、燕三条。ものづくりの歴史を紡いできた文化的にも貴重な蔵を拠点に、ものづくり体験ツアー事業を展開しています。 普段は入れない工場で職人に学び、自分の手でものをつくり、実際に使ってみることで、職人へのリスペクトやものを永く大切に扱う気持ちが生まれます。ガイドブックには載っていない手づくりの旅を通じて、燕三条の日常(ものづくり、人、自然、文化、食)を五感で体験。蔵に訪れるゲストと一緒に、新しい出会いと可能性を拓いていきます。