【京都・伏見】今後益々注目される日本酒、 常に先を行く日本酒を造り続ける増田德兵衞商店
こんにちは!今回CECメンバーが訪れたのは京都の南に位置する伏見エリアです。 伏見は日本三大酒処として、兵庫県の灘、広島県の西条と並ぶ、酒造りで有名な地域なのです。
創業は江戸時代
現在伏見に20以上の酒蔵がある中でご紹介するのは、江戸時代の創業から約350年続く「増田德兵衞商店」。
訪問時にお話を伺ったのは、先代から譲り受けたという蝶ネクタイがトレードマークの14代目増田德兵衞さん。2022年にご長男が社長に就任され、今は会長として、酒造りだけでなく日本酒の文化を盛り上げるために様々な活動をされています。
常に時代の先駆者。日本で一番最初に、「スパークリングにごり酒」を作る。
増田德兵衞商店の日本酒で紹介したいのが、先代が1964年に日本で初めて作った「スパークリングにごり酒」です。発酵途中のお酒を瓶詰めするため、瓶の中でも発酵が進み、泡立ちのあるにごり酒になります。
にごり酒なので、開栓前は瓶の底に沈んでいるものがあると瓶を振って開栓してしまう人が多く、瓶からお酒が吹き出してしまうので、発売した時はクレームの嵐。全国を謝罪して回ったという苦いエピソードもある時代を先取りしたお酒です。
また同時に古酒作りも開始。江戸中期の1697年に刊行された、日本で一番最初の料理本と言われている「本朝食感」に古酒の作り方があり、それを参考にしたそうです。
本酒は早く飲まないといけないイメージがありますが、3〜5年で色が付き 8〜10年経つともっと美味しくなるそうです。保存するためのセラミック容器にもこだわり、現在は59年ものまでのストックがあります。
「月の桂 柳」はドイツのルフトハンザ航空で長く採用されている。
さらに、増田さんが社長の頃には、低アルコール(8%)の日本酒「稼ぎ頭」を作ります。35年ほど前に、宮城県の一ノ倉、兵庫県の富久錦、香川の勇心酒造と増田徳兵衛本店の4社で共同開発しました。今では人気の低アルコール日本酒ですが、その頃は吟醸酒がブームだったので、全く興味を持たれなかったそうです。常に時代の先駆者なのは、先代の頃から変わりません。
酒米作りや、日本酒を広めるための様々な事業に携わる
現在はお米作りにも取り組んでいます。酒米といえば兵庫県の山田錦が有名ですが、京都にはもともと「祝」という酒米があり、作るのが難しく栽培されなくなっていました。それを35年くらい前に酒造組合が働きかけ再び栽培を始めました。
増田德兵衞商店も30ヘクタール田んぼを持ち、祝米などの酒米を全量無農薬で米を作っているそうです。
その他、増田さんは日本酒を世界に広めるアンバサダーを決める一般社団法人 MissSAKEの顧問や、古酒の協会である会刻(とき)SAKE協会の理事を務めるなど、日本酒を広めるための様々な活動に取り組まれています。
酒を仕込み始めると絶対に食べられないものがあります
今回の訪問は10月中旬で、もうすぐ酒造りが始まるという時期でした。
酒造りはまずお米を精米して洗い、蒸すところから始まります。そして麹蓋(こうじぶた)という容器に蒸したお米に胞子(もやし)を振りかけ、38℃くらいの部屋で麹を作った後、米麹、蒸したお米、水、酵母を合わせタンクで2週間かけ酒母を作ります。
それから仕込みタンクで酒母と米麹、蒸したお米、水を合わせ、4日目に分けて菌を増やし、1カ月ほど経ってから絞ると日本酒が出来上がります。
この期間中、酒造りに携わる人は納豆をはじめ、お酒の発酵を邪魔するものを一切食べることができないそうです。
今後益々注目される日本酒。増田德兵衞商店にも注目です!
先日のニュースで日本酒や焼酎、泡盛といった日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなったという報道がありました。「10歩先は分からなすぎる、1歩先は追いつかれる、3歩先を行く商品を作りたい」と話されていた増田さん。今後国内外から益々注目されそうな日本酒。伝統を大切にしながらも、どのような新しいお酒が生まれるのか楽しみです。
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