入ってすぐ肌がツルスベになる!?美人の湯・小谷温泉など長野県小谷村の湯巡りガイド

長野県小谷村は古くから湯治場として栄え、中でも小谷温泉は切り傷や糖尿病などの病気、症状を和らげ、肌をスベスベにする美人の湯として地元の人々に愛されています。小谷温泉をはじめとした各温泉を楽しめる小谷の温泉施設をたっぷりとご紹介します。
開湯470年の小谷温泉とは

新潟県との県境にある長野県の小谷(おたり)村。長野県の最西北部にある小谷村は、夏は豊かな緑、秋は色とりどりの紅葉、冬はさんさんと降る雪が村の表情を豊かにします。
そんな小谷村が誇るのが、1555年に発見された小谷温泉。川中島の合戦の際に武田信玄の家臣によって発見されたと伝えられており、それ以降、湯治場(とうじば)として栄えてきました。
小谷温泉の泉質は、ナトリウム炭酸水素塩泉(中性低張性高温泉)。温泉に浸かると石鹸で洗い流さなくても皮膚の脂肪分、分泌物を流してくれる効能から“美人の湯”と呼ばれています。
他にも切り傷や糖尿病、肝臓病などの病気、症状が良くなる優れた飲泉の効能を持っていることから、国民保養温泉地にも指定されています。
小谷村で満喫できる温泉施設3選
小谷村は人口2,600人ほどの小さな村ですが、村内には小谷温泉をはじめとした各温泉が楽しめるスポットがたっぷり。
今回は、そのうち日帰りでも温泉を堪能できる3つの施設をご紹介します。
道の駅おたり

小谷村に来たら必ず寄ってほしいのが「道の駅おたり」。大糸線・北小谷駅から歩いて10分弱で到着します。
道の駅おたりには、食事処「鬼の厨」と売店のほか、開放的な気分で温泉が楽しめる「深山の湯」が併設されています。

12:00から18:00〜19:00ごろまで入浴できる深山の湯は、北小谷温泉と風吹荘源泉の混合泉。
いつまでもぽかぽか温かく、入浴後に肌がすべっとする嬉しい泉質を持っています。

早速入浴しようとお風呂の扉を開けると、温泉の蒸気がお出迎え!
浴室内に日の光が届き、太陽の光が水面にキラキラ反射する幻想的な風景も見られました。

浴室内にある湯処は、源泉掛け流しの「熱湯」、温度を抑えている「ぬる湯」、そしてメインの「露天風呂」の3種類。

まずは洗い場で汚れを落とし、室内の熱湯でじっくりと体温を上げていきます。
とめどなく流れる源泉の湯音と、立ち込める湯煙に心の芯の部分が解きほぐされる開放感も感じられます。

足先まで温まったところで露天風呂へ移動し、ゆったりと肩まで温泉に浸かります。

筆者が訪れた際は積もった雪が眺められる「雪見風呂」仕様でしたが、季節によって錦の紅葉や梅雨の雨、生い茂る緑など、四季折々の風景が楽しめるのだとか。
露天風呂から春夏秋冬が感じられるため、色々な季節に何度も訪れたくなりますね。

温泉でたっぷりリラックスしたあとは、「道の駅おたり」自慢のお食事処「鬼の厨」へ。
温泉と食事をどちらも堪能すると、入浴料が半額になるサービスがあるそうで、早速ご飯を注文します。

今回いただいたのは、人気ナンバー1の「日替りかまど定食」。小谷産のコシヒカリを釜戸で炊いており、1粒1粒にハリがあるふっくらご飯と、メインのおかずがセットになった定食です。
この日の日替りは、小谷野豚の生姜焼き、小谷野豚の豚汁、雪中キャベツのサラダ、ワラビのお漬物といったメニュー。
地産地消を心がけて日替りメニューを考案しているそうで、旬の食材や小谷の名産などを余すことなくいただけます。

お腹と心が満たされたら、売店で旅の土産を見繕うお楽しみ時間の到来です。

寒さが厳しい小谷村では、雪の中に食材を入れて熟成させる雪中酒(せっちゅうしゅ)や、雪中キャベツなどもおすすめです。

湯上がりにスカッとできる「雪どけサイダー」や、持ち運びやすい「野ぶたカレー」などもチェックしてみてくださいね。
小谷の名物がそろい、温泉を心ゆくまで堪能できる「道の駅おたり」。小谷観光の出発地点にぴったりなスポットでした。
山田旅館

1555年に開湯してから、470年間湧き出ている小谷温泉。
昭和時代までは、山田旅館を含めて数軒の旅館がありましたが、現在は小谷温泉を楽しめる唯一の宿となっています。

山田旅館では、1回1時間程度の「立ち寄り風呂」と、個室で休憩しながら何度でも入浴できる「休憩日帰り湯治」の2種類の日帰り利用、もしくは宿泊ができます。

山田旅館の魅力は、登録有形文化財にも指定されている6棟の建物と、小谷温泉とのコラボレーションが楽しめるところ。
中から見ても外から見ても歴史の重なりを感じる圧巻の光景です。

日帰り温泉の受付時間は、10:00〜14:30まで。1人700円でたっぷりと小谷温泉の恩恵に預かれます。
ただし、入浴料は現金のみの支払いのため、来館する前に現金の用意をお忘れなく。

趣のある廊下と、窓から見える雪景色に浸りつつ、立ち寄り風呂に到着。

ガラリと扉を開けると、まず目に入ってきたのはジャバジャバと降り注ぐ豊富な源泉!
旅館のすぐ裏から、加水や加温をせず引いている44度の源泉を打たせ湯として堪能できるのだとか。

さらに、体を洗うかけ湯も源泉をそのまま使用。なんとも贅沢な源泉の使い方に、小谷温泉にやってきた醍醐味を感じざるを得ません。

体を洗い流してゆっくり湯船に浸かると、柔らかなお湯が全身を包み込んでくれるような感覚に。
滝のように流れる源泉と、湯煙が漂う浴室内が心地よく、リラックスしながら温泉を楽しむことができました。

浴室内には寝湯エリアや、頭を預けられる木製枕もあるため、ぼーっとするにはうってつけ。
日頃の疲れや悩みを浄化したいときに、ゆっくり浸かってみても良さそうです。

また、4月中旬〜11月上旬までの季節限定で、展望風呂もオープン。
標高850mの山腹にある山田旅館からは、周囲の山々と見渡す限りの空が独り占めできます。雪の心配がなく、車で観光しやすい4〜11月の時期は、初めて小谷温泉に来る人におすすめの時期だそうですよ。
サンテインおたり

サンテインおたりがあるのは、JR大糸線「中土駅」から歩いて15分の場所。
JR大糸線増便バスの停留所にも指定されている観光スポットです。(2025年2月時点の情報となります。JR大糸線増便バスの最新の運行スケジュールについてはこちらを参照ください。)

館内には自家源泉「下里瀬(くだりせ)温泉」が楽しめる大浴場と、手打ち蕎麦が有名なお食事処、地元名産品を扱った売店がそろい、観光客の方や地元の方で賑わっています。

自家源泉の下里瀬温泉はアルカリ性が強く、肌の汚れを落としてなめらかにする効果、湯冷めしない効果から「美肌の湯」とも呼ばれています。
小谷村の保養センターとして活躍していたこともあり、現在でも地元の常連客や、登山やスキーを楽しむ方の憩いの場として親しまれています。

入浴は12:00〜19:30まで受け付けており、大人700円、小学生350円で日帰り入浴OK。
壮大な螺旋階段を降りて、温泉ののれんをくぐります。

浴室内にあるのは、泡沫(うたかた)湯、圧注(あっちゅう)湯、寝湯、檜の水風呂の4つ。
源泉温度が31.8度のため基本的に加温していますが、水風呂だけは源泉温度そのままで楽しめるそう。

まず驚いたのは、どの湯船のお湯も無色透明なこと!乳白色や赤褐色のにごり湯が多い中、まるでプールのような透き通ったお湯に浸かることができます。

足の指先までくっきり見えるお湯は、しばらく浸かっていると、肌がぬるっとしてくるような感覚が体験できます。
支配人の林さんに聞いてみると「うちの温泉は、肌に付いている古い角質や皮膚を取ってくれるんです。その時に、少しぬめっとした感覚があるんですね。リピーターの方も女性が多く、“お湯が良いから”と言ってくださる方もいます」と、教えてくださりました。

浴室内では、ぶくぶくと泡が出る泡沫湯で刺激を受けたり、じっくりと寝湯を楽しんだりと、過ごし方はさまざま。
湯上がり後も、畳が敷いてある保養室でごろ寝をしたり、テレビを見たりと思うがままに過ごせますよ。

また11:30〜13:30までは、お食事処で職人が毎日手打ちしている蕎麦をいただくこともできます。
地元民の間では美味しい蕎麦処として知られているそうで、オープンと同時に多くの方が来店。
コシがありながら、つるんとした喉越しでツルツル食べられる蕎麦は、一度食べたら再訪したくなること間違いなしです。
季節によってキノコや山菜の天ぷらなども食べられますよ。

小谷村が誇る絶品グルメと、お肌がツルツルになる温泉を一度に満喫したい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
アクセス
小谷村へのアクセスは、高速バスを利用する方法、新幹線とJR大糸線を利用する方法など、いくつかの方法があります。
観光の目的や季節によってもアクセスの良し悪しが変わるため、詳しくご紹介します。
【首都圏からのアクセス】北陸新幹線+JR大糸線
まず、北陸新幹線を利用して、糸魚川駅まで移動します。東京からは最速列車の場合、2時間ほどで到着します。
大阪からの場合は、JR特急サンダーバードに乗車し、敦賀駅まで移動します。敦賀駅から北陸新幹線に乗り継ぎ、2時間ほどで糸魚川駅に到着します。
糸魚川駅からはJR大糸線に乗り換え、小谷村のある北小谷・中土・南小谷駅などで下車。思い思いのスポットで、小谷観光を満喫できます。
【首都圏からのアクセス】高速バス+JR大糸線
東京からアクセスする場合、バスタ新宿や東京駅八重洲口から、高速バスを利用する方法もあります。
高速バスを利用する場合、小谷村の隣にある白馬村行きで調べるとスムーズにアクセスできます。「白馬町」バス停や「白馬駅」バス停で下車し、JR大糸線で北小谷・中土・南小谷駅へアクセスできます。
大阪から高速バスを利用する際も同様に、白馬村行きのバスを調べると良いでしょう。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。