日本酒と陶器を通して常滑の歴史を発見!

セントレア空港から電車でわずか5分の常滑市は、12世紀以来の焼き物と澤田酒造の銘酒で知られています。この1日の旅程表では、これら2つのテーマを楽しむことができます。
常滑:セントレア空港近くの陶器と酒のワンダーランド

セントレア空港から名鉄で二駅の常滑は、ゆっくりと時間をかけて散策する人だけにその魅力がわかる街です。
常滑焼で有名なこの街は、12世紀から焼き物の生産が盛んに行われており、やきもの散歩道(Pottery Footpathi)が有名です。 ここには、多数の陶芸ギャラリーや美しい常滑焼を展示するカフェ、地元の焼き物の歴史を物語る歴史的な窯などがあります。
常滑はまた、極上の日本酒でも知られており、澤田酒造は最も有名な酒蔵の一つで、常滑焼の作家や、シアスター・ゲーツのような世界的に有名なアーティストとのコラボレーションでも知られるようになりました。
常滑の豊かな文化に浸る旅に、ぜひ、お出かけください。その文化は地元の豊かな土と水によって育まれてきました。美味しい食事や酒蔵巡りを楽しみながら、貴重な常滑焼の鑑賞を盛り込んだ旅程で、ゆったりと常滑の街を散策する一日を過ごしてみるのはいかがですか?
1.とこにゃんがお出迎えしています!

常滑は焼き物や日本酒で有名ですが、招き猫でも知られています。 幸運を招く招き猫は、前足を上げた姿が特徴的で、幸運や常連客を呼び込むと信じられています。 駅に降り立った瞬間から、街の至る所で目にすることでしょう。
中でも最も有名なのは、丘の上から顔をのぞかせ、常滑駅からも見える巨大招き猫の「とこにゃん」です。鼻と爪が陶でできたこの印象的な像は、今では市のランドマークとなっています。写真を撮るのに最適な場所は、この招き猫の真ん前にある橋の上です。
「やきもの散歩道」を目指す入り口の目印でもある「とこにゃん」は、常滑のハイライトのひとつです。
2.やきもの散歩道
やきもの散歩道は、常滑の栄町地区に位置しています。この地区は歴史ある窯元が多く、伝統的な美意識を反映した魅力的な曲がりくねった道が特徴です。

散策をしていると、通りや庭園を彩る常滑焼を目にすることができます。かつて焼酎(蒸留酒)の貯蔵に使用されていた大型の焼酎瓶や土管は、壁や小道に再利用され、この地域の独特な個性を高めています。

常滑焼の壁で囲まれた路地のある「土管坂」は、常滑の観光名所の一つの「やきもの散歩道」の象徴的な存在となっています。
昔のまま残された古い家屋は、陶芸スタジオやアートギャラリー、カフェなどに改装され、このエリアを探索するのに最適な活気のある雰囲気を作り出しています。

とこにゃん像の近くにある「陶兵八ギャラリー カノン」は、訪れる価値のあるスポットのひとつで、外に展示された美しい陶器の数々に好奇心をそそられ、思わず中へ入ってみたくなります。店内には、装飾品から日常使いの食器まで、さまざまな陶器が並んでいます。
「やきもの散歩道」を歩くと、常滑焼が地元の生活に深く根付いていることを実感できるでしょう。 住民の生活における陶器の重要性は過小評価されがちですが、陶器がこの地域にとっていかに重要であるかを強調しています。これは、この土地を訪れる人にとって、本当に有益な経験となるでしょう。

常滑焼とその興味深い歴史について学ぶのに最適な場所が、「とこなめ陶の森資料館」です。この施設は入場無料で、陶芸家の研究施設および研修センターとしての役割も果たしています。

展示品は12世紀に始まる常滑焼の進化をたどるものです。日本語と英語の両方で解説が用意されているため、来館者は展示をわかりやすく理解でき、非常に有益に感じることでしょう。常滑の地理的特性と豊かな陶器の伝統的な繋がりを知ることができます。

館内には常滑焼の技法を体験できるエリアが設けられています。
私のお気に入りは、常滑焼のティーポットのコーナーです。日本のティーポットの定番とされる、独特の赤みを帯びた陶器のティーポットは、常滑が発祥の地です。ここでは、ティーポットが6つのパーツで構成されていることがわかり、さまざまな部品から選んで、自分だけのオリジナル作品を組み立てることができます。組み合わせは100通り以上です!

陶の森資料館では、陶芸作品の厳選されたセレクションを展示する企画展も開催されています。この活気あふれる施設とその敷地内には、大型の陶芸作品が展示されています。ぜひご覧ください。

「やきもの散歩道」の小道沿いにあるもう一つの象徴的なスポットは、2つの大きなカラフルな陶芸作品が展示されている広々としたスペース、登窯広場です。
このエリアは、赤レンガの煙突を持つ歴史的な窯に囲まれており、常滑の豊かな陶芸の伝統を象徴する美しい景色を提供しています。

1887年から1974年まで操業していた、この地区で最も保存状態の良い登り窯のひとつ、通称「陶榮窯」の内部を覗いてみましょう。

内部には、8つの焼成室の跡が残っており、焼成中の温度を均一に保つために設置された高さの異なる10本の煙突も見ることができます。

登り窯の正面には、訪れるたびに宝探しをしているような気分になる陶器ギャラリー「ほたる子」があります。
「ほたる子」では、招き猫や猫の置物の品揃えが豊富で、常滑のお土産として一つ持ち帰りたいという誘惑にかられることでしょう。

広場に面した、すぐ近くの場所に、陶芸作家が自らが制作した陶器を展示販売するギャラリー「ともの世界」があります。
自然からインスピレーションを得た緑、白、黒を基調とした独特な色使いが特徴の「ともの世界」の陶器は、優雅な雰囲気を醸し出し、常滑焼の美しさを新たな高みに引き上げています。

滝田家の前にあるこの坂は「でんでん坂」と呼ばれ、伊勢湾の船を見渡す近くの山にちなんで名付けられました。
「廻船問屋滝田家(かいせんどいや たきたけ)」は最後に訪れることをお勧めします。この豪商の旧宅は、常滑の豊かな歴史を物語っています。
伊勢湾に面した常滑は、歴史的に陶磁器や日本酒など、この地域で生産された品々が船に積み込まれ、日本全国に流通する拠点でした。
1850年に建てられた滝田家の住居は、現在では博物館となっています。展示されている家具、陶磁器、漆器は、江戸時代(1603年〜1868年)の家庭の生活様式や、この地域の海洋の歴史を垣間見ることができます。

瀧田家から徒歩1分の場所にある「CHOUWA OMUSUBI」は、魅力的なおにぎり専門店です。
ぜひお立ち寄りいただき、具材がたっぷりと入った、常滑の食文化を体現するような最高のおにぎりを味わってみてください。全ての具材に「発酵食材」を使用しています。おいしいお味噌汁など、すべての商品がテイクアウト可能です。
瀧田家住宅は常滑駅からも近く、観光の締めくくりに最適な場所にあります。ただし、滝田家住宅と長和おむすびはともに16:30に閉店しますので、その魅力を十分に楽しむには15:30までに到着するようにしてください。
3.常滑屋のランチ

陶芸の小径を散策する際のランチスポットとしておすすめなのが、Tokonameyaです。このレストラン兼カフェでは、地元の食材を使った料理を美しい常滑焼の器で提供しています。
かつて焼き物工場として使われていた伝統的建造物を改装した建物に入っている「常滑屋」は、木造の内装が魅力的です。2階は広々としたギャラリーになっており、急須をはじめとする地元の陶器が展示されています。

常滑屋では、季節ごとの地元の野菜や魚介類を使った料理を提供しています。人気のランチメニューには、地元のちらし寿司に汁物と煮物が付いた「常滑ちらし」や、たっぷりのサラダと組み合わせた「ハヤシライス」などがあります。
野菜は自然の風味を保つように完璧に調理されており、おいしくてバランスのとれた食事なので、さらなる探検に向けて活力を与えてくれるでしょう。

常滑屋では、抹茶セットや和菓子セットなど、常滑焼の器で供される和のデザートメニューも豊富に取り揃えています。また、マフィンやムースデザート、パンなどのスイーツもご用意しています。
常滑屋は、この地で有名な酒造会社「澤田酒造」と提携しているため、澤田酒造の日本酒も各種取り揃えています。酒造まで足を運べない場合は、ここで、お土産のお酒を買って、ご自宅で常滑の味をお楽しみください。

常滑屋で食事をすれば、素晴らしい常滑焼に囲まれた落ち着いた雰囲気の中で、地元の味を楽しむことができます。皿やカップ、ティーポットを手に取れば、常滑焼の豊かな歴史と、この工芸を何世紀にもわたって支えてきた土とのつながりを感じることができるでしょう。
4. 澤田酒造で「酒蔵見学」と「きき酒体験」

常滑を訪れたなら、1848年から酒造りを続ける地元で有名な酒造会社、澤田酒造で日本酒の試飲をしないわけにはいきません。

日本の国酒である日本酒は発酵によって造られます。澤田酒造では、その土地の気候風土を活かし、伝統的な蒸しと発酵の技法を丁寧に用いて、醸造しています。

日本酒の製造に使用される水は、2キロメートルも離れた 丘に沸く清水を、私設の水道管で、酒蔵にある井戸までひいてきています。
澤田酒造は、自慢の主力商品である日本酒「白老」に大きな誇りを持っています。このお酒は、カジュアルな場面でも特別な日にもお楽しみいただけます。白老のバリエーションは、梅酒や、果物のような素晴らしい香りで知られる高品質な純米大吟醸酒「知多の花露」など幅広いです。

澤田酒造では、ガイド付きの酒蔵見学ツアーに参加して、伝統的で丁寧な酒造りの製造工程について学ぶことができます。また、4種類の日本酒を常滑焼の特別な酒器で提供する「ささらけ」と呼ばれるきき酒体験もおすすめです。
これらの酒器は、地元常滑の陶芸作家とのコラボレーションにより製作されたもので、常滑が誇る特産品である、素晴らしい日本酒と美しい常滑焼を強調しています。

それぞれの白老のお酒を味わっているうちに、日本酒と特別にデザインされた杯のつながりに気づくでしょう。例えば、純米大吟醸「知多の花露」の杯は、内側と外側の一部に釉薬が施されたのみ口が鼻を覆うように設計された上品なデザインです。米を35%まで磨き上げたこの純米大吟醸の洗練された味わいを、より堪能できます。
緑がかったカップで供された「からから」というお酒は、フレッシュで清涼感のある口当たりです。
一方、常滑焼を象徴する風味の粘土の色味で作られた赤みがかった朱泥のお猪口に注がれるのは、土地の酒米「若水」を使用した「特別純米酒」です。それは、常滑焼の急須が家庭で親しまれているような存在であるように、毎日でも楽しめるまろやかなお酒です。

最後に、4つ目に供される「豊醸」は、7年熟成させた日本酒の一種です。その深い味わいは、祖父母の知恵と温かさを思い起こさせるかもしれません。このシンプルな杯は、釉薬をかけず、海藻で包んで焼くことで模様をつけたものです。
澤田酒造での「ささらけ」のきき酒体験は、常滑について理解を深め、この地域の地理的特性が地元の工芸品や料理にどのような影響を与えているかを理解する素晴らしい機会です。

お土産に、ユニークな酒器のひとつと一緒にお酒を買って帰りたいと思うことでしょう。 酒器は単品でも購入できますし、デザインの元となったお酒とセットで購入することもでき、そうすれば、訪問後もこの体験を長く楽しむことができます。
酒蔵見学やささらけの酒テイスティングには予約が必要です。申し込みページより、確認してみてください。

常滑へのアクセスは便利で簡単です。
中部国際空港からは名鉄空港線で常滑駅まで直通です。 所要時間は5分で、運賃は大人330円、小児170円です。
名古屋方面からは、名鉄名古屋駅から常滑線に乗車し、常滑駅で下車します。特急に乗車した場合、所要時間は約30分、運賃は大人750円です。
常滑の焼き物と日本酒のワンダーランドを存分にお楽しみください!
和食の美味しさの決め手に欠かせないのが発酵食品。恵まれた自然環境によって独自の文化を育んできた名古屋の発酵食品の魅力をたっぷり、ご紹介いたします。