隈研吾氏の建築を巡る!世界遺産のまち・富岡の半日モデルコース
東京から約1時間半の群馬県富岡市には、隈研吾氏が手がけた建築が複数あり、すべて徒歩10分圏内で巡れます。世界遺産・富岡製糸場も「建築」という視点で再発見できる、建築好き必見の半日モデルコースをご紹介します。
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目次
- 隈研吾の建築が集まる「世界遺産のまち」富岡
- スポット① 駅に降り立つと目に飛び込む「旧富岡倉庫の建物群」
- スポット② 「小さな屋根の集まり」が美しい富岡市役所
- スポット③ 世界遺産「富岡製糸場」を建築視点で再発見
- まとめ:隈研吾建築と150年の歴史が出会うまち・富岡へ
隈研吾の建築が集まる「世界遺産のまち」富岡

隈研吾氏は、木材や自然素材を活かした建築で世界的に知られる建築家です。国立競技場や高輪ゲートウェイ駅を手がけ、台湾をはじめアジア各国でも人気を誇ります。木製のルーバー(格子)を多用して光と風を穏やかに取り込む設計や、周囲の景観と調和する「日本らしさ」を感じさせる作風が魅力です。
富岡市に隈研吾建築が3つも存在する背景には、まちづくりの構想があります。2014年の富岡製糸場の世界遺産登録を見据え、市は「駅・市役所・製糸場を一体で結ぶまちづくり」を推進しました。2012年の設計コンペで隈研吾事務所が選ばれると、隣接する旧富岡倉庫の改修も依頼し、エリア全体に統一感のある建築空間が生まれました。
今回ご紹介するのは、旧富岡倉庫の建物群、富岡市役所、そして世界遺産・富岡製糸場の3スポットです。すべて上州富岡駅から徒歩10分圏内で巡れます。
スポット① 駅に降り立つと目に飛び込む「旧富岡倉庫の建物群」

上州富岡駅を降りて、最初に目に飛び込んでくるレンガ造りの建物が「旧富岡倉庫の建物群」です。明治30年代(1897〜1906年)に創業した富岡倉庫株式会社が建設した歴史的建造物で、隈研吾氏の設計監修のもと2022年に生まれ変わりました。
倉庫群は、レンガ積みの1号倉庫(群馬県立世界遺産センター「セカイト」)、大谷石積みの2号倉庫(Merci Cocon & Café)、木造土壁の3号倉庫(おかって市場)、乾燥場の合計4棟で構成されています。それぞれ異なる建築様式を持ちながら、隈研吾建築としての統一感を感じられるのが魅力です。

2号倉庫に入っている「Merci Cocon & Café(メルシー・ココン&カフェ)」は、隈研吾事務所が内装デザインを手がけた空間。大谷石の重厚な壁と、天井に張りめぐらされたカーボンファイバーの耐震補強に注目してみてください。シルクの糸をイメージした白いファイバーが「あやとり」のように空間を横切り、歴史的建造物の風情を損なうことなく建物を支えています。
店名の「メルシー」はフランス語で「ありがとう」、「ココン」は「繭」を意味し、富岡製糸場でフランス人技師を招いた歴史にちなんでいます。看板メニューのそば粉のガレットやオリジナルドリンクで、散策の合間に一息つくのがおすすめです。
「生ハムとグリュイエールチーズ」と「桑の葉オレ」を実食

今回私は、生ハムとグリーンカールが色鮮やかな「生ハムとグリュイエールチーズ」のガレット、そして桑の葉を抹茶風に使用した「桑の葉オレ」をいただきました。
そば粉の生地は噛むほどに甘味が感じられ、素材の味をダイレクトに感じられます。生ハムやセミドライトマトの塩気とも相性が抜群です。

桑の葉オレは味の想像ができませんでしたが、実際に飲んでみると抹茶オレの味に近く、控えめな甘さが食後のデザートにぴったりでした。
隈研吾建築の中で美味しい食事とともに過ごす時間は、建築好きにはたまらない、富岡観光ならではの贅沢なひとときです。
おしゃれな雑貨が並ぶ「おかって市場」でお土産探しも楽しんで
3号倉庫にある「おかって市場」は、地元密着型のスーパー兼ギャラリーです。100年以上前の木造土壁の骨組みをそのまま活かした空間で、地元農家の新鮮な野菜や若手作家の作品が並びます。

【Merci Cocon & Café】
住所:群馬県富岡市富岡1450-1
営業時間:11:00〜17:00(L.O. フード16:00、ドリンク16:30)
定休日:水曜日、年末年始
アクセス:上州富岡駅から徒歩1分
【おかって市場】
住所:群馬県富岡市富岡1450
営業時間:月〜金 9:00〜19:00、土日祝 9:00〜17:00
定休日:第1・第3日曜日
スポット② 「小さな屋根の集まり」が美しい富岡市役所

旧富岡倉庫から徒歩1分。2018年に完成した富岡市役所は、隈研吾氏が設計した「市民に開かれた庁舎」です。
建築コンセプトは「小さな屋根の集まり」。複数の小さな屋根が連なるデザインが特徴で、行政棟と議会棟の間は通り抜けができ、上州富岡駅から富岡製糸場へ向かう近道にもなっています。
外装には、表と裏で素材が異なるアルミと木のハイブリッドルーバーを使用。木材は富岡市有林から伐採されたヒノキなどで、一枚一枚異なる風合いが建物に豊かな表情を与えています。二重の勾配屋根の間に高窓を設ける形式は養蚕農家に伝わる「越屋根」がヒントになっていて、富岡の歴史を現代建築で表現しています。
議会棟エントランスホールの、蚕が最初に吐き出す糸「きびそ」をあしらった壁面もぜひ見学してみましょう。

【富岡市役所】
住所:群馬県富岡市富岡1460-1
議会棟エントランスホール見学:9:00〜21:00(イベント時を除く)
アクセス:上州富岡駅から徒歩1分
スポット③ 世界遺産「富岡製糸場」を建築視点で再発見

富岡市役所から徒歩約10分。モデルコースの締めくくりは、世界遺産・富岡製糸場です。隈研吾建築ではありませんが、実はこちらも建築ファンなら見逃せないスポットです。
1872年(明治5年)に創業した富岡製糸場は、日本と西洋の技術を融合させた「木骨煉瓦造」という革新的な建築工法で建てられました。木の骨組みにレンガを積み上げ、屋根は日本瓦を使用しました。

レンガの積み方は、レンガの長い面と短い面を同じ段の中で交互に並べる「フランス積み」を主に採用していますが、一部長い面の段と短い面の段を交互に積み重ねる「イギリス積み」になっている部分もあります。違いを見比べてみるのも面白いですよ。

長さ約140mの繰糸所は、小屋組みにトラス構造を用いることで中央に柱のない大空間を実現しています。当時としては世界最大規模の器械製糸工場だったこともあり、その広々とした空間は今見ても圧巻です。

また、フランス人指導者ポール・ブリュナが暮らした首長館は、床が高く四方にベランダが巡るコロニアル様式を採用しています。日本の気候に対応した西洋建築の工夫が見られ、明治時代の国際交流の息吹を感じられます。
【富岡製糸場】
住所:群馬県富岡市富岡1-1
開場時間:9:00〜17:00(最終入場16:30)
入場料:大人1,000円、高校・大学生250円、小・中学生150円
まとめ:隈研吾建築と150年の歴史が出会うまち・富岡へ
上信電鉄・上州富岡駅を起点に隈研吾建築を巡る半日コースは、木材の温かみや光と風を活かした設計、そして地域の歴史への敬意を存分に感じられるまさに「建築散歩」です。
明治時代の富岡製糸場から令和の隈研吾建築まで、富岡には150年の時を超える「建築で人を幸せにする」という想いが息づいています。建築好きの方はもちろん、世界遺産を「建築視点」で再発見したい方も、ぜひ足を運んでみませんか。
一般社団法人富岡市観光協会は、富岡製糸場及び妙義山を中心とした富岡市全般の観光資源を活用し、観光地域づくり法人(登録DMO)として、観光に関わる人たちと連携し「稼げる観光地域づくり」を推進して観光振興を図ることにより、交流人口の増加及び地域経済の発展に寄与することを目的とする。