塩化物泉の“塩のベール”に包まれる美肌湯「さぎの湯温泉」の日帰り&宿泊ガイド
「国民保養温泉地」の一つである、島根県さぎの湯温泉。微量の放射能を含む、塩化物・硫酸塩泉ならではの保温・保湿の効能が享受できます。本記事では、さぎの湯温泉の魅力や日帰り入浴スポット、宿泊におすすめのお宿をご紹介します。
薬効高き山陰の秘湯。「さぎの湯温泉」とは

「さぎの湯温泉」があるのは、鳥取県との県境に位置する島根県安来市。東京からは空路で1時間半ほど、寝台特急サンライズ出雲では11時間半ほどでアクセスできる山陰の秘湯です。

開湯したのは、今からおよそ1300年前。白鷺が舞い降り、脚の傷を癒したという伝説から「さぎの湯」と名付けられたと言います。

その最大の特徴は、全国でも珍しい「含弱放射能・ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉」という泉質にあります。これは、源泉の中に「ラドン」という気体が含まれていることを意味します。
ラドンからは微量の放射線が放出されており、このおかげで新陳代謝の促進や、自律神経を整える効能が得られるのだそう。このほかにも切り傷、皮膚病などに適応すると言われています。

さらに、温泉内に含まれる塩の成分が、湯上がりの身体にうっすらと膜を張ってくれます。このおかげで、湯冷めしにくくポカポカしっとりとした美肌が継続するのです。
毎分1,100Lの源泉が湧き出す豊富な湯量も、温泉好きにはたまりません。50度前後の高めの源泉温度のおかげで、浴槽に届く頃には適温になります。そのため、加水や加温をせず「源泉掛け流し」で温泉にゆっくり浸かれるのです。

また、さぎの湯温泉がある安来市は、歴史と芸術が深く息づく街でもあります。

かつて出雲の国の中心として栄えた「月山富田城跡」や、江戸末期から明治時代にかけて発展した「どじょうすくい踊り」で有名な「安来節」、日本一の庭園として知られる「足立美術館」など、歴史や文化、芸術に触れられる観光スポットが数多く点在しています。

さぎの湯温泉は、温泉の泉質や湯量だけでなく周辺環境や歴史、風土など、さまざまな条件を満たした温泉地だけが指定される「国民保養温泉地」にも指定されており、これまで多くの人々を迎え、癒やしを提供してきました。
日帰りでサクッと!宿泊でじっくり――さぎの湯温泉の入浴スポット
ふらりと訪れて、短時間で入浴するも良し。宿泊を兼ねて、ゆったり温泉を満喫するも良し。
旅程によって様々な過ごし方ができる、さぎの湯温泉のおすすめ入浴スポットをご紹介します。
土日祝日&夏休みはプール利用もできる「夢ランドしらさぎ」

「夢ランドしらさぎ」は、宿泊施設を兼ね備えた入浴スポット。日帰り入浴は10:00〜20:30まで受け付けており、観光帰りや車中泊を楽しむ人の強い味方となっています。

館内に入ると、まずは広いお土産処とフロントが出迎えてくれます。日帰り入浴の場合は、フロント横にある券売機で入浴券を購入しましょう。

大人550円とリーズナブルな価格で利用できるのは、内湯と露天風呂、そしてサウナの3つ。館内で過ごす限りは、1日に何度でも入浴ができます。

早速大浴場へ足を運んでみると、日差しがたっぷり入るガラス窓と、透き通った温泉がお出迎え。温泉は透明で肌馴染みが良いため、じっくり肩まで浸かりたくなる心地よさです。

露天風呂はガラリと雰囲気が変わり、古き良き和風の石風呂。日差しがたっぷり入るため、冬でも気持ち良い温度で入浴できました。
また、土日祝日と夏休み期間は、温水プールの利用も可能。水着を持参すればウォータースライダーや寝湯、ミストサウナ、泡湯など、さまざまなウォーターアクティビティを楽しめます。

家族連れや、友人、カップルでの利用にもおすすめ。ふらっと気軽に立ち寄れる温泉スポットです。
身体の芯からぽかぽか温まれる「ふれあいプラザ」

「ふれあいプラザ」は、「夢ランドしらさぎ」に隣接する入浴施設。

館内は渡り廊下でつながっており、湯めぐりをしたい方にもぴったりです。

「ふれあいプラザ」には大浴場、露天風呂、そして麦飯石サウナと呼ばれる人気のサウナがあります。中国山東省五蓮県が原産国の「麦飯石」を使用していることから名付けられました。 じっくりと温められた石から伝わる熱が全身を包み込み、心地よい汗を流せるのが魅力です。温泉とあわせて、ゆったりとしたリラックスタイムをお楽しみください。

入浴料は大人550円とリーズナブル。畳の湯上がり処もあり、入浴後のひと休みも可能です。

入浴の際は、コップ1杯の水を飲んでから。弱アルカリ性の泉質によって、身体の芯から汗がしっかり出るため、水分補給は忘れずに行ってくださいね。
広々とした大浴場は、ゆったり時間をかけて入浴したい方にピッタリ。内湯と露天風呂、そしてサウナを自分好みに巡れる贅沢な温泉体験が叶います。
また、空いていれば1時間の貸切風呂も利用可能。小さいお子さま連れの家族やカップルにもおすすめです。
緑豊かな露天風呂でホッとひと息つける「竹葉」

日本一の庭園と名高い「足立美術館」の真横にある「竹葉」。宿泊はもちろん、日帰り入浴やランチ利用も可能なお宿です。

日帰り入浴では、内湯と露天風呂が中学生以上700円、貸切風呂が50分2,800円で利用できます。

タイル張りの内湯は、じっくり浸かって疲れを和らげられる落ち着いた雰囲気。内側から静かにお湯が湧いており、ムラなく熱さが均等になるよう循環されています。

内湯で身体を温めたら、いざ露天風呂へ。緑に囲まれたお風呂は、広々とした味わい深い空間。浴槽内も石で作られており、足ツボマッサージのような刺激が楽しめました。

竹葉の食事は、有機野菜やフルーツ、地元のお米などがたっぷりと使われており彩りも豊か。

さらに、動物性食材を使用しないベジタリアンやヴィーガン、ハラール料理も対応可能(要予約)。外国人観光客の方にも安心して利用いただける旅館です。

宿泊する場合、ぜひチェックしてほしいのが、戦国武将・山中鹿介のコンセプトルーム。特注の甲冑や墨絵を施した部屋は、インパクトと迫力も圧倒的です。

また、旅館の前には、源泉の蒸気を顔で受け止める「顔湯」というスポットも。こちらは誰でも無料で利用できるため、天然の美容スチーム体験をぜひ楽しんでみてください。
温かいおもてなしとこだわりの世界観が楽しめる「さぎの湯温泉 安来苑」

入り口に巨大なひょっとこが掲げられている「さぎの湯温泉 安来苑」は、人情味あふれる優しいおもてなしが嬉しい宿です。
安来苑は現在、宿泊者に限りお風呂の利用が可能。宿泊していれば、24時間好きなタイミングで自由に温泉を堪能することができます。
旅の疲れを癒すべくお風呂へ足を伸ばすと、物語の世界に入ったかのような世界観に圧倒されてしまうはず。

内湯へつながる橋は私たちを湯の里へと誘います。暖簾の中には、木々が張り巡らされた脱衣所がお目見え。

お風呂の入り口は茅葺き屋根のように作り込まれており、好奇心がくすぐられます。

足を踏み入れると、江戸時代で時が止まったかのような瓦屋根が登場!ほんのりともる灯りの中、石造りの立派な湯船へ身体を預けます。
とめどなく流れる源泉の湯音を聞きながら、じっくり身体を温められました。

露天風呂は、内湯で身体が温まった後に利用するのがおすすめとのこと。内湯で額に汗が滲むほど温まってから移動すれば、冬の冷たい外気さえも心地よく感じられるはず。

庭園と調和した野趣あふれる露天風呂は、景色も堪能できる明るい時間帯の入浴が特におすすめです。

さぎの湯温泉のベストシーズンは、花々が芽吹き始める春と、紅葉が美しい秋。安来苑では2泊までの湯治も受け付けています。観光にも最適なこの季節に合わせて、心身を癒やす旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
何度でも再訪したくなる贅沢宿「さぎの湯荘」で湯巡り体験

さぎの湯温泉での宿泊は、一晩中天然温泉に入浴できる「さぎの湯荘」にて。浴衣を選び、ラウンジでコーヒーをいただきながらの贅沢なチェックインで始まります。

宿泊したのは、自分だけの露天風呂がついている豪勢な和室。外には足湯も備わっており、旅の思い出を振り返るのにぴったりな安らぎの空間が整っていました。

テーブルに置かれていた「お着き菓子」は、「どじょう掬いまんじゅう」。安来市の伝統芸能である「どじょうすくい踊り」が表現されており、優しい甘さの白あんが特徴の銘菓です。
「お着き菓子」は入浴時の低血糖や立ちくらみを防ぐために置かれているため、入浴前に食べておくと良いですよ。

夕食前にちょっぴり客室露天風呂を先取り。源泉はとめどなく注がれていますが、冷水で温度調整も可能です。安らぐ水の音に耳を傾けていると、身体の疲れがふんわり溶けていくような感覚に。

疲労回復や冷え性への効能を持つ泉質のおかげで、短時間の入浴でも心と身体が深く癒やされていくのを感じます。露天風呂の横にある足湯に浸かるだけでも、旅の移動で溜まった疲れが、じんわりと解きほぐされていくでしょう。

さぎの湯荘での食事は、朝食・夕食ともにプライベート感のある個室でゆっくりいただけます。

「秋刀魚柚庵焼き」や「豚角煮と野菜の炊き合わせ」「里芋の豊年揚げ」など、冬の味覚をあしらった豪華な料理に思わず感嘆の声が漏れるほど。

中でも、和牛の上質な脂まで楽しめる和牛キノコ鍋は、素材の旨みがスープに溶け出し、柔らかく煮込まれた牛肉が口の中でとろけるようにほどけていきます。

具沢山の釜飯は、じっくり20分ほど炊き上げて完成。お米と舞茸の旨みが相まって、上品な甘みが感じられました。

デザートの南瓜プリンもなめらかな口当たりと、程よい甘さが絶妙で、最後まで幸福感に包まれるひとときでした。

滞在中の大きなお楽しみといえば、旅のメインである温泉巡り。さぎの湯荘で入浴できるお風呂は全部で4種。貸切で利用できる「白露」と「岩露」、内湯の大浴場と露天風呂です。

貸切風呂は、15:00〜22:00までは予約制で50分間使用できます。22:00から翌日9:00までの間は、空いていれば好きなタイミングで入浴可能です。大浴場は24時間いつでも入浴できるため、早めにチェックインをして温泉をとことん楽しむのも良いでしょう。

二面ガラス張りの大浴場は、手足を伸ばしてくつろげるほど広々した空間。扇状の内湯には、絶え間なく源泉が注がれています。

足指がほぐれてきたら、そろそろ露天風呂を楽しめる頃合い。外扉を開けてみると、田園風景が一望できる壮大な露天風呂が!

目の前に広がる島根の自然と、澄んだ空気。湯に浸かりながら、心まで洗われるような贅沢な時間を堪能しました。

人気の貸切露天風呂「岩露」は、1階の外廊下を抜けた先にあります。

名前の通り岩でできているお風呂は、楕円形の湯船が印象的。肌触りの良い岩風呂と、日本庭園を模した美しい眺めを独り占めできます。

さまざまな温泉に浸かり、五感が深くほぐれたおかげでしょうか。翌朝は、客室露天風呂から響く源泉の水音で清々しく朝を迎えました。

朝食は見た目も楽しい和定食。湯豆腐や焼き魚、炊き合わせなど、白米が進む料理の数々に食べ進める手が止まりません。

松江市名物のしじみのお味噌汁も、一口飲めば思わず感嘆の声が漏れるほどの絶品です。

チェックアウトまでの自由時間は、腹ごなしに宿内を散策。旅館がお庭を囲むような造りをしているため、歩いているだけで興味がそそられるものばかり。

季節の木々と池の鯉の風流な風景や、名産品が並ぶ売店、卓球場やラウンジなど見どころ満載です。

旅館の前には、誰でも自由に利用できる「手湯」も。温泉街の散策途中など、気軽に立ち寄れる温泉スポットとしておすすめです。
さぎの湯荘では宿泊だけでなく、日帰り入浴も利用できます。

山陰でのおこもり温泉旅にぴったりなさぎの湯荘。地元の食材と、1,300年前から続くさぎの湯温泉で身体を労わるワンランク上の贅沢旅。「国民保養温泉地」ならではの豊かな効能と静寂に包まれる時間は、心身を再生させる特別な体験となるでしょう。
アクセス情報

東京からさぎの湯温泉へ向かう場合、主に2パターンの手段があります。
飛行機で行く場合
1つは、羽田空港から米子空港まで飛行機でアクセスする手段。米子空港からは空港のレンタカーを利用すると、最も時間を有効に使った観光が可能です。
車の運転が難しい場合は、米子空港駅から境線または空港連絡バスで米子駅へ移動し、山陰本線で隣駅の安来駅までアクセスします。
安来駅からは安来市広域生活バスやタクシーを利用し、さぎの湯温泉街へアクセスすると良いでしょう。安来駅から温泉街への所要時間は20分ほどです。また、温泉街の近くにある足立美術館への移動には、安来駅から無料シャトルバスがあります。
特急列車で行く場合
東京からの2つ目のアクセス手段は、寝台特急「サンライズ出雲」を活用すること。毎日夜間に出発し、翌日昼に到着する寝台特急は、移動も旅の醍醐味として楽しみたい方にうってつけ。
東京からは11時間ほどで安来駅に到着します。安来駅からは安来市広域生活バスやタクシーを利用しましょう。また、さぎの湯温泉街の近くにある足立美術館への移動には、安来駅から無料シャトルバスがあります。
関西方面からのアクセス
関西方面から行く場合は、新幹線を利用する方法と飛行機を利用する方法の2パターンの手段があります。
新幹線を利用する場合、新大阪駅から岡山駅へ移動し、特急「やくも」に乗り換えて安来駅へアクセスします。所要時間は約3時間半ほど。安来駅からは安来市広域生活バスやタクシーを利用しましょう。安来駅からさぎの湯温泉街への所要時間は20分ほどです。また、温泉街の近くにある足立美術館への移動には、安来駅から無料シャトルバスがあります。
飛行機を利用する場合は、伊丹空港から「出雲縁結び空港」へ。フライト時間は約50分で、空港からレンタカーを利用すれば1時間弱で温泉街へ到着します。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。