旅の準備はじめよう
知る人ぞ知る!歌舞伎役者も訪れる、銀座の「豊岩稲荷神社」
高級繁華街として有名な銀座に、隠れたパワースポットがあることをご存知ですか?噂によると、歌舞伎(かぶき:日本固有の演劇で、伝統芸能の一つ)などの芸能関係者も多く訪れる、「銀座に詳しい人だけが知る神社」が存在するようです。
昼は買い物袋を手に下げた女性たち、夜はバーや高級クラブに向かう大人の男性たちでにぎわう「銀座」。時間帯に応じてさまざまな顔をもつこの街は、東京でも指折りの高級繁華街です。そんな銀座の思いもよらない場所に、老舗の神社があることをご存知ですか?
この神社は、歌舞伎(かぶき:日本固有の演劇で、伝統芸能の一つ)などの芸能関係者も多く訪れる、「銀座に詳しい人だけが知る神社」なのです。
銀座の裏通りに隠れた神社の正体とは?
地元の方が「行き方は簡単だけど、ほとんどの歩行者は気づかない」と口をそろえて言うその神社は、銀座7丁目のすずらん通りに店を構える「やす幸」という飲食店に隣接しています。※2024年12月現在やす幸は閉店
通りに面した路地裏へ続く小径……。「豊岩稲荷神社(とよいわいなりじんじゃ)」と書かれた石柱が立っていました。目をこらして奥を凝視すると、ほのかな灯りが暗闇にそっと浮かんでいます。
灯りに誘われて、薄暗い隙間路地を恐る恐る進んでいくと、朱色に染まった壁が左手に登場。
キツネの形をした2体の石像、注連縄(しめなわ:神聖な場所としての境界を現す縄)、小さい賽銭箱(さいせんばこ:神仏に供える金銭を入れるための箱)など、神社を象徴する道具がそろうこちらの一角。都会の喧噪から抜け出したかのような、もの静かな空間には、ひんやりと冷たい空気が漂います。
ビルの谷間に佇む「豊岩稲荷神社」の豆知識
豊岩稲荷神社が建てられた年月は未だ不明ですが、16世紀に活躍した武将、明智光秀(あけちみつひで)の家臣が、主家の再建を願ってこの地で神様を祀ったことが始まりと言われています。
もとは一般的な神社の形態をもっていたものの、相次ぐビル建設の影響で、現在のような姿に変貌したのだとか。
宇気母智神(うけもちのみこと)と呼ばれる神様を祀る豊岩稲荷神社は「縁結び」と「火防」の御利益(ごりやく:神仏が人間に与えるお恵み、幸運)があると信じられています。
また、1800年代後半に活躍した歌舞伎役者・市村羽左衛門(いちかわうえもん)も生前、この神社を度々訪れて興行の無事を祈願したことで脚光を浴び、現在も多くの歌舞伎役者や芸能関係者が頻繁に足を運んでいるそうです。
神棚の隣には、誰かがお供えした水や酒と油揚げ(あぶらあげ:豆腐を薄く切って油で揚げたもの)を発見。日本では、通称「お稲荷さん(おいなり)」と呼ばれる油揚げ。実は、稲荷神社の神の使いである「キツネ」の好物が油揚げだったことが由来しています。
さて、神様を拝んだあとは、来た方向から帰らずに、神棚の左奥に伸びる細道をすり抜けて日常の世界へ戻りましょう。ごくわずかな明かりを頼りに先へ進むため、冒険心と探究心がくすぐられます。
今ではコンクリート製のビルが立ち並ぶ銀座の街を、400年以上前から見守ってきた豊岩稲荷神社。立派な神殿をもつ明治神宮や浅草神社に比べると、規模は明らかに小さいものの、その立地や情緒あふれる佇まいには独特の「個性」が感じられます。皆さんも、日常からかけ離れた静寂な空間で、人とは違う銀座観光を体験してみませんか。
※本記事は2015年9月27日に公開した記事をリライトしました。
All pictures from PIXTA
94年生まれ。神戸出身、東京在住。アメリカからの帰国子女。旅、アート、食が大好きな大学生。