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日本のツリーランへ出かけよう!魅力や安全に楽しむためのスキー場完全ガイド
手つかずの大自然をダイナミックに滑る「ツリーラン」は、ゴンドラやリフトを利用して雪山へ出掛けられるようになった現代、スリル満点の手軽なアクティビティとして国内外から注目を集めています。 ここでは、雪山の非日常的な体験を求めるスキー・スノーボードファンに向けて、日本でのツリーランの魅力や安全に楽しむためのヒントをご紹介します。
ツリーランとは?
ツリーランとは、自然のままの地形を活かした非圧雪エリアで、スキーやスノーボードを楽しむ滑走スタイルです。
圧雪・整備されたコースと異なり、木々や岩などの自然が織りなす障害物を避けながら滑走します。
自然地形を活用したツリーランでは雪山の真髄を感じられるため、スリルと迫力を求めるスキーヤーやスノーボーダーに人気です。
ツリーランとバックカントリーの違い
「ツリーラン」と「バックカントリー」は基本的に同じような意味がありますが、細かな違いもあります。
「ツリーラン」はスキー場内や管理されたエリア内にあり、主に木々の間や自然の地形を利用した非圧雪エリアで滑走するスタイルです。
一方で、バックカントリーは一般的にはスキー場などの管理されたエリア外を使用し、自然に近い環境でのワイルドなスキー・スノーボードを指します。
また、バックカントリーではリフトを使わずに自力で山を登り、自然の地形を滑走する点も特徴です。
ツリーラン人気の背景
ツリーラン人気の背景には、多くの要因があります。
まず、道具の進化により新雪でのライドが以前よりも楽しみやすくなったため、滑走スタイルも多様化してきました。
そして、スリルと冒険を求めるスキー・スノーボードファンが抱く、日本の大自然が持つ美しい森の中を滑走する魅力は、計り知れないものがあるようです。
さらに、スキー場もツリーコースの解放やエリアの拡張など、ツリーランへの対応を積極的に進めており、結果として日本国内でも多くのスキー場でツリーランを楽しめるようになりました。
日本のツリーランの魅力
日本の大自然の中での滑走は、ただのスポーツではなく、まるで自然と対話しているかのような感覚を味わえるでしょう。
ここでは日本のツリーランの魅力を深く掘り下げていきます。
1. パウダースノーが集まっている
日本のツリーランの最大の魅力は、降雪後に溜まる豊富なパウダースノーです。
非圧雪エリアは文字どおり圧雪されていないため、パウダースノーが森の中にふんだんに留まります。
深く集まり、積もった雪は、生い茂る木々によって風や日光から守られ、パウダー状態が長持ちします。
そのため日本のツリーランでは、どこもかしこもパウダーだらけの滑走を楽しむことが可能です。
ちなみに日本のパウダースノーは「japow」とも呼ばれ、世界中のスキー・スノーボードファンを魅了しています。
2. スキー場にツリーランの環境が整っている
近年のツリーランブームに応えるかのように、日本のスキー場ではゲレンデ内の森をツリーランコースとして解放する動きがあります。
また、上級者向けだったツリーランコース内に、木が少なく距離も短い優しい地形のコースを設けるスキー場が登場し、環境が整備されて敷居も低くなったため、初心者でも安心してツリーランにチャレンジできます。
3.日本ならではの地形で遊べる
日本でのツリーランは、独特の山岳地帯の景観を楽しめる点もポイントです。
数千年にわたる火山活動によって形成された独特の景観を楽しめるため、世界でもトップクラスのウインタースポーツが楽しめる旅行先のひとつとして知られています。
静かな林の間を滑走したり、ポプラやシラカバの木々の周りを旋回したりなど、日本の地形が織りなす多様な自然のアイテムは、ツリーランファンの遊び心をくすぐるでしょう。
さらに、日本の山々は各地で地形や環境が大きく異なるため、場所ごとに異なるツリーランを体験できます。
4.息をのむ雪の自然美と野生動物と出合える
雪に覆われた日本の景観は信じられないほど美しく、ツリーラン中に出合う野生動物がさらに幻想的な雰囲気を引き立てます。
雪が積もった穏やかな渓流の近くや谷底では、サルが歩き回る姿を目撃できるでしょう。
さらに本州中部の森の中では、1955年に日本政府により国の特別天然記念物に指定された「カモシカ」に出合うチャンスもあります。
ツリーランに潜む危険性
ツリーランでは、同時に以下のようなリスクも伴います。
- 雪崩発生の恐れ
- 崖や急斜面、雪庇からの滑落や転落の恐れ
- 深い沢の上部を雪が覆っている箇所から落下する恐れ
- 天候の急激な悪化によるルート喪失の恐れ
- ルート選択のミスによる進路喪失の恐れ
- 滑走斜面を登る以外、帰還できないルートを滑ってしまう恐れ
あらゆる危険を想定したうえで、初心者も上級者も、日本でのツリーランを安全に楽しみましょう。
日本でツリーランを安全に楽しむために
日本でツリーランを安全に楽しむためには、多くのルールを遵守する必要があります。
ここでは、事前にできる準備や対策、当日に行ってほしい安全対策について詳しく解説します。
基本ルールとローカルルールがあることを知る
各スキー場で設定されている基本ルールとローカルルールを理解し、守らなければなりません。
ルールに違反してしまうと、リフト券を剥奪するというスキー場もあります。
主な基本ルールとして、ツリーラン前には正確な行動ルートなどを記載した「登山届」「入山届」の提出を義務付けるスキー場が多くあります。
「登山届」や「入山届」を記載する理由は、迅速な捜索や救助に役立てられるようにするためです。「登山届」や「入山届」は各スキー場の窓口やオンラインで入手できます。
また地域やスキー場によってはツリーランエリアの利用にあたって、以下のようなローカルルールを敷いています。
【ツリーラン時に敷かれているスキー場独自ルールの一例】
- 事前講習の受講参加
- 誓約書へのサイン
- 腕章やビブスの着用
- ヘルメットやプロテクターの着用
- 携帯電話の携帯
スキー場独自のルールを旅行前に可能な限り調べ、適切な準備と対応をしましょう。
「自己責任エリア」について知る
「自己責任エリア」とは、スキー場の管理区域を超えた雪山の中での滑走エリアを指します。
基本的に「自己責任エリア 」では、スキー場による安全管理は行われていません。したがって「自己責任エリア」で生じた遭難や事故などのリスクは、すべて滑走者の責任です。
万が一、遭難や事故が発生した場合の捜索や救助費用も、すべて自己負担となることを理解しておかなければなりません。
遭難や事故を発生させないよう、責任感を持ってツリーランを楽しみましょう。
天候を確認する
現地の雪質は季節や天候によって大きく変わるだけでなく、1日のうちでも常に変化が起こり得ます。
そのため、現地の季節や天候を考慮したうえで、コンディションを正確に把握する必要があります。
特に曇りの日や雪の降り方が激しいときは、森の中では視界が悪くなりやすいため最大限に注意が必要です。
滑走前には、当日の山の天候と最新予報を漏れなく調べたうえで、ルート状況や雪の不安定性や傾向を予測してからツリーランに挑みましょう。
ツリーランを予定する場所の地形や地理を把握する
ツリーラン当日は、具体的に自分が山の中のどの地点にいるかを常に意識し、整備されたツリーランコースから過度に離れないよう注意しましょう。
特定のスキーエリアについては、以下の方法で事前に地形や地理を把握できます。
【事前に日本の地形や地理を把握する手段の例】
- ガイドを雇う
- 地域に詳しい人に同伴してもらう
- インターネットで調べる
また、グループメンバー全員が計画されたツリーランルートを理解し、頭に入れることも大切です。
仲間のレベル感の確認をする
事前に計画されたツリーランルートが、参加者全員の体力と技量に合ったものでないと、安全性を損ねてしまう可能性があります。異国の地で行うツリーランですので、一緒に行く仲間とのコミュニケーションを密にとりましょう。
装備を整える
ツリーランに挑戦する際は、常にヘルメットの着用を心がけましょう。多くのスキー場では、万が一の事態に備えて以下の装備を推奨しています。
【持参を推奨する装備】
- 雪崩ビーコン
- プローブ
- シャベル
- 水
- 食料
- 追加の衣類
- 救急キット
- ライター
- ヘッドランプ
自分の技量を過信しない
危険を回避するためには、慎重な行動と冷静な判断力も欠かせません。ツリーランには思わぬ危険が潜んでいます。注意深く滑走するほか、必要時に柔軟に危険を回避しながら滑走する能力が求められます。
雪崩安全入門コースの受講やツリーラン事前講習などツリーランにまつわる講習は、自分のスキルを客観的に評価する機会にもなるでしょう。少しでも技術が不足していると感じた場合は、ツリーランを行うかどうか慎重に判断してください。
家族に情報共有する
特にスキー場の管理区域外でのツリーランや登山計画は、参加者同士だけでなく帰りを待つ家族とも情報を共有し、同じ認識を持ってもらうことが大切です。滑走する仲間全員はもちろん、大切な家族にも日本でのツリーラン計画を確認・共有し、理解してもらうよう準備しましょう。
不明点は現地で遠慮せず確認する
現地でツリーランを行うにあたっての不明点があれば、遠慮せずに現地スタッフやパトロール隊に確認しましょう。たとえば野沢温泉など一部の地域では、サイドカントリーやバックカントリーエリアについての追加情報を英語でも提供しています。
日本でツリーランを楽しめる地域
日本でツリーランを楽しめる地域は主に以下のとおりです。
- 北海道
- 岩手県
- 長野県
- 新潟県
- 群馬県
- 岐阜県
地域ごとのツリーランの特徴や、訪れるべきスキー場について詳しくご紹介します。
北海道
北海道は、ツリーランファンにとっての楽園といってもよいでしょう。
特に以下の地域は世界的にも有名です。
- ニセコ
- ルスツ
- 富良野
ニセコは札幌からのアクセスもよく、「北海道の富士山」とも呼ばれる羊蹄山の近くに位置しています。
ただし出発地によっては、成田や羽田などの国際空港で国内便への乗り換えが必須です。アジア・太平洋圏から札幌までの直行便はありますが、欧州からはヘルシンキ便のみですので、出発地次第では費用が大幅にかかるでしょう。(2023年11月現在)
岩手県
岩手県は地理的条件からツリーランの穴場として知られており、安比(あっぴ)高原と夏油(げとう)高原が有名です。それぞれの特徴は下記のとおりです。
- 安比高原:本場ヨーロッパに負けないスケールのスキー場で、ツリーランを楽しめるエリアが東北屈指の6ヵ所
- 夏油高原:豪雪地帯に降るパウダースノーで有名。ゲレンデ内のツリーランが特に注目
上記のスキー場へは新幹線とバス、または車の利用が一般的ですが、日本の交通事情に慣れていないとスキー場へのアクセスが困難かもしれません。
長野県
1998年のオリンピック開催地である長野県は、日本で最も多くのスキー場がある地域です。内陸部に位置し、山間部で高い標高を誇る長野県では、多くのスキー場でjapow(日本のパウダースノー)とツリーランが楽しめます。
ここに[長野県のおすすめスキー場23選!パウダースノーやツリーランなど目的別のスキー場を紹介]へのリンクを挿入
内陸部に位置するため行きづらい印象がありますが、長野県へのアクセスは意外と便利です。特に成田空港や羽田空港、東京都内から白馬エリアなどに直行できる高速バス「スノーライナー」のほか、新幹線と路線バスの乗り継ぎで向かえます。
新潟県
新潟県にも、以下のようにツリーランを楽しめるスキー場が多くあります。
- 難易度の高いツリーランコースを備えている「かぐらスキー場」
- 積雪量が豊富である「神立スノーリゾート」
- 日本有数の積雪量を誇る「ロッテアライリゾート」
- 深雪のある難所コースを持つ穴場「湯沢中里スノーリゾート」
新潟県へは日本人向けのスキー場直行バスの利用が便利ですが、新幹線や車を使って向かう方法もあります。
また、新潟県は長野県と隣接しているため、両県のスキー場を行き来して楽しむのもよいでしょう。
群馬県
東京からほど近い群馬県でも、ツリーランができるスキー場がいくつかあります。
- 山頂まで行くと林間コースが楽しめる「万座温泉スキー場」
- スキー場全体がパウダースノーに覆われる「丸沼高原スキー場」
上記で挙げたスキー場への主なアクセスは、電車とバスの乗り継ぎ、または車です。
そのため、日本に慣れている人に適しているでしょう。
岐阜県
岐阜県のスキー場は、ツリーランの穴場スポットです。
- 初心者から上級者向け5ヵ所のツリーランコースがある「高鷲スノーパーク・ダイナランド」
- 雪質抜群の林間コースでパウダーライドができる「びわ湖バレイスキー場」
現地へは名古屋や大阪からの直行バス(日本人向け)のほか、車、JRの乗り継ぎと路線バスが主なアクセス方法です。
上記からも、日本慣れしている人向けだといえます。
ツリーランを求めるなら直行バスで行ける長野県エリアがおすすめ
ツリーランを楽しむなら、直行バス「スノーライナー」で向かえる、長野県エリアがおすすめです。
「スノーライナー」は、当メディア『MATCHA』を運営する日本ユース旅行が提供するスキー場直行型の高速バスです。
成田や羽田といった主要国際空港や東京都内などから、ツリーランを所有する長野県内の豊富なスキー場へ、乗り換えなしで向かえます。
予約は英語対応のWebサイトから簡単に行えるため、海外のスキー・スノーボードファンも安心してご利用いただけます。
長野県のスキー場へ負担なくアクセスしたい方は、ぜひ以下のリンクよりスノーライナーをチェックしてみてください。
今年の冬は日本でツリーランを楽しもう!
この記事では、日本各地でのツリーランの魅力と安全な楽しみ方について詳しくご紹介しました。
かつては雪山登山にスキーを持参して、自然の山中で滑走を楽しむのが一般的でした。
しかし、現在では雪山へアクセスしやすくなり、気軽にツリーランが楽しめるスキー場が人気を集めています。
安全なスキー・スノーボード旅行にするためにも、今回ご紹介したポイントを参考に、日本の美しい自然の中でツリーランを思う存分満喫してくださいね。
羽田・成田空港から各スキー場への直行バスを運行してます。 https://spur.jamjamliner.jp/