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飯米と酒米を食べ比べてみた
普段主食として食べられている「飯米」、日本酒造りに合うように開発された米「酒造好適米(酒米)」を食べ比べてお米の魅力
お米の魅力を食べ比べて再発見
米は、日本の食卓に、そして酒づくりに欠かせない存在です。朝日酒造では「酒造りは、米づくりから」という考えのもと、蔵人も米づくりに携わり、日本酒にとって理想的な米を追求しています。
米は、気候や風土、食文化、嗜好、用途に合わせて世界中で自在に調理され、多様な料理に活用できる万能な食材です。米の奥深い魅力をあらためてよく知るため、普段主食として食べられている「飯米」、日本酒造りに合うように開発された米「酒造好適米(酒米)」を主役に、味覚体験をするため、数人のグループに集まってもらいました。
新潟の誇り、2つの名品種
新潟県は、栽培面積、収穫量ともに全国1位(2023年)。酒蔵の数でも全国1位であり、米どころであると同時に、酒どころでもあるのが分かります。
今回は、新潟を代表する品種を選びました。飯米は、新潟県における品種別作付面積において約70%もの割合を占めている「コシヒカリ」。日本で大変人気のある品種で、いわゆる“ブランド米”として愛されています。酒米は、全国生産量2位を誇り、新潟県でもっとも多く生産されている酒造好適米「五百万石」。久保田の酒造りにも使われているお米です。
五百万石は、寒冷地の気候風土に合わせて開発され、1938年に新潟で誕生しました。山田錦と並ぶ知名度を誇り、新潟の他、北陸地方を中心に現在も栽培されています。 やや硬めで溶けにくい米質のため、繊細な味わいをもたらす傾向があります。新潟米を100%使用した久保田のすっきりとした淡麗辛口は、五百万石が生まれたからこそできたとも言えるかもしれません。
コシヒカリと五百万石を一粒ずつを、よく比べて見てみましょう。今回は、飯米と同じように精米したので、炊飯前と炊飯後を比べてみても、共に五百万石の方が大きいのがよくわかります。
久保田 萬寿 自社酵母仕込は、この五百万石を40%まで、久保田 百寿は、60%まで磨いてできたお酒です。
米本来の旨味を楽しむ
これら2種類の米を同じ炊飯器で全く同じ条件で炊き、米そのものの味をじっくり味わってみました。
多くの人が、五百万石を「飯米と同じ感覚で美味しく食べられる」とその米としての質の高さを賞賛する声と共に、粒の水分量に大きな違いがあるという感覚を持ちました。コシヒカリは「水分量が多く、あまり噛まずにも飲み込めてしまうほど」、といった意見があったのに対し、五百万石は「ひと粒ずつの存在感があり、噛みごたえ、弾力がある」という印象でした。感覚的には、「コシヒカリの方が舌触りはなめらか。五百万石の方が味が薄く大味である」、「五百万石はビールに例えると、糖質オフみたいな感じ」という発見がありました。
興味をそそられることに、米を咀嚼すればするほど味覚は変化していきました。「口に含んだ瞬間にはコシヒカリの方が甘みを感じる。五百万石ははじめはさっぱりした味の印象だったが、噛みごたえがある分咀嚼回数が多くなり、アミラーゼが分泌してだんだん甘みを感じられるようになった」と、コメントが得られました。
茄子と野沢菜のお漬物、白米と合わせて
シンプルな和食材と共にコシヒカリと五百万石を食べ比べてみます。
塩分のある漬物をおかずに米を食べてみると、コシヒカリは「米が漬物の塩分も水分も吸収して、咀嚼しているうちに甘みと旨みに変わる」のに対し、五百万石は「米が塩分も水分も吸収せず、咀嚼しても合体しないまま漬物のしょっぱさが口にずっと残る」という意見が聞かれました。漬物をもってすると、やはり飯米コシヒカリに軍配が上がりました。
「おかずのお供として食べる米は、コシヒカリが一番」というのが多くの人が抱いた感想である中、「リゾットのような米が主役の料理には、粒としての主張が強い五百万石のようなしっかり系のお米が合うんじゃないだろうか」という意見も聞かれました。
そこで、酒米を使ったリゾット作りを試してみることとしました。
飲みきれずに残ってしまった日本酒活用術
日本酒は開けたての風味もとても美味しいですが、飲みきれなかった日本酒が冷蔵庫に入れたまま時間が思わず経過していた、なんてこともあるでしょう。そんな時に、料理にアレンジできるお役立ちレシピをイタリア料理教室effe-coの板倉左布子さんに特別に考案していただきました。
日本酒×酒リゾットで味わう、米の至福
リゾットでも食べ比べを行い、コシヒカリと五百万石にイタリア米を加えて、3種の味覚体験してもらいました。
コシヒカリを使ったリゾットは、「米粒が溶けて潰れ、ベチャっとした仕上がりになってしまう」と不評。やはりリゾットの本場、イタリア米には高評価が集まり、「芯が程よく残り食感がいいうえ、味がハッキリ際立っていて美味」という声を聞くことができました。興味深いことに、五百万石は「イタリア米に近く、リゾットにしても合う」という新しい気づきがありました。やはり、五百万石の特徴である硬めで溶けにくい性質のお米だからでしょうか。
リゾットに合うお酒として、米を使った日本酒が自然としっくりきます。久保田のラインナップを飲み比べた結果、ペアリングには久保田萬寿自社酵母仕込が最適との声が最も多く聞かれました。
酒リゾットには、お好みでスモークサーモンや生ハムを乗せれば、より個性やバラエティを楽しめます。あなたなりの工夫で、心ゆくまで楽しんでください。
酒のリゾット
材料(4人分)
イタリア米. 140g
ベルギーエシャロット 15g
バター 20g
パルミジャーノレッジャーノ 20g
酒 100ml
ブロード(野菜スープ) 約400~500ml
作り方
1) ベルギーエシャロットを小口切りにする。
2) 鍋に半量のバターとオリーブオイル大さじ1を入れベルギーエシャロットを焦げないように注意しながら炒める。ベルギーエシャロットの辛味が飛んだら米を加え、2~3分程度炒める。
3) 2に酒を入れアルコールが飛んだら、ブロード300mlを足す。弱火で15分加熱する。その間、お米の表面が見えるようであればブロードを足す。
4) 15分経ったら、残りのバターと、パルミジャーノレッジャーノを加え、約3分乳化をさせることを意識しながらかき混ぜ続ける。塩小さじ1を入れ、味を整える。足りないようであれば調節。
5) 1分布巾をかけて蒸らす。
6) 器に盛り付け、お好みでパルミジャーノレッジャーノを散らす。お好みでスモークサーモンや生ハムをのせても美味しい。
久保田は、新潟県長岡市で造られた“淡麗辛口”のお酒です。外国のお客様も日本酒の多様性や楽しさを体験していただきたいと願っています。