開湯300年余り!新潟県・岩室温泉の湯巡りガイドとおすすめ温泉宿をご紹介
新潟駅から1時間半ほどでアクセスできる岩室温泉。住宅街と温泉街が一体となった雰囲気を持つ岩室温泉街には、開湯300年余りの歴史を持つ名湯・岩室温泉が楽しめる日帰り温泉施設や、宿が充実しています。本記事では、国民保養温泉地にも指定されている岩室温泉の魅力や楽しみ方をご紹介します。
岩室温泉とは
新潟県のほぼ中央、新潟市西蒲区にある岩室温泉。江戸時代よりおよそ300年余りの歴史がある温泉地として、多くの人々に親しまれてきました。
岩室温泉の最大の特徴は、全国でも珍しい「黒湯」であるということ。
多くの硫黄成分が炭素などと結びつき、温泉が黒いお湯となるのだと言います。細かな黒い粒子が足裏などにつくと、肌が黒くなることもありますが、数日のうちに綺麗に落ちます。
この特徴も岩室温泉の個性の一つとして、黒湯温泉を楽しんでみてください。
黒湯にちなんで、岩室温泉一帯では黒をテーマにしたお土産やお弁当、グッズも販売中。ちょっぴり個性的なお土産を求めている方にもおすすめですよ。
泉質は高張性弱アルカリ性で、神経痛や肩こり、冷え性、ストレスによる諸症状など、さまざまな優れた効能で有名。
優れた泉質から、国民保養温泉地にも指定されており、国内外問わず多くの観光客から愛されています。
【日帰り温泉】地元住民の憩いの場「よりなれ」
新潟市が運営している日帰り温泉施設「よりなれ」。タオル付きで大人1回500円で、岩室温泉の効能をたっぷり堪能できるお財布にやさしい温泉です。岩室温泉街の中でも少し高台にあるため、越後平野や温泉街のようすが一望できますよ。
男湯と女湯はそれぞれ岩風呂と木風呂と名付けられており、どちらも露天風呂には岩室の源泉が使用されています。
受付でタオルを受け取って、早速お風呂に入ろうとすると、受付の方に「お水飲んだ?」と確認されました。どうやら岩室温泉の泉質である高張性弱アルカリ性によって、短い時間でも温泉の成分が身体に浸透しやすいのだそう。
そのため、温泉に入る前と出た後にはたっぷり水分を摂ることを勧めているそうで、筆者も無事に水分補給ができました。
男女ともにお風呂は内風呂は7名程度、露天風呂は3名程度が定員のこじんまりとした浴槽。アットホームな雰囲気を重視しているよりなれでは、お客様同士で譲り合いながら入浴を楽しむ方が多いと言います。
受付では常連さん同士の挨拶が飛び交い、お風呂では笑顔を向けてくれる人が多く、人の温かさに触れられました。
ゆっくりと露天風呂に浸かると、手や足からじんわりと温まり、旅の疲れがホッと和らぐのを感じます。
肩まで浸かると短時間でもじんわりと汗をかくほど、すぐに体が温まり、岩室温泉の偉大さも実感。湯船から出た後も、しばらくポカポカとした良い心地が続き、大満足の日帰り温泉体験となりました。
【日帰り温泉】3種類の源泉掛け流し風呂に入れる「だいろの湯」
岩室温泉街にいながら、もう一つの温泉・多宝温泉が楽しめるのが、「だいろの湯」。
日帰り温泉施設では珍しく、100%源泉掛け流しの天然温泉に浸かることができるスポットです。
だいろの湯の特徴は、日によってお湯の色が変わること。
その気候や設備、自然状況によって、お湯の色が変化します。乳白色になったり緑色っぽくなったりと、予想がつかない変化で私たちを楽しませてくれるそう。
同じ時間帯でも男湯と女湯で色が変わることもあるそうなので、家族や恋人同士で訪れても楽しめるでしょう。
また、だいろの湯では、全国でも珍しい3本の源泉掛け流し温泉に入浴できます。3本の源泉は、1号からそれぞれ「大庭露天風呂」「内湯」「露天打たせ湯」に使用。
美肌効果があったり、角質を柔らかくしたり、リラクゼーション効果があったりと、異なる効能が期待できるため、身体の不調や疲れ具合によって、贅沢な湯めぐり体験が味わえます。
露天風呂は、開放的でぼーっと湯船に浸かるのにうってつけ。
露天風呂とはいえ小屋のように覆われているため、冬場でも寒さを感じることなくゆっくりと湯船に浸かれました。
だいろの湯の入り口には、飲泉(いんせん)できる蛇口のスポットも。
優しい温度のお湯は、口に含むと多少の塩気と、鼻から抜ける硫黄の香りが感じられます。こちらも源泉となっているため、だいろの湯の営業時間はいつでも飲泉できますよ。
館内には、湯上がりにまったりできるラウンジや、新潟の特産品が並ぶお土産コーナーも充実。1〜2時間を優雅に過ごせる日帰り温泉として、ぜひチェックしてみてくださいね。
【宿泊】新潟の四季と岩室温泉の恵みが楽しめる「穂々」
宿泊におすすめなのが「越後平野と弥彦連山一望の宿 穂々」。
新潟県で唯一、天然温泉と岩盤浴が一度に楽しめる温泉宿です。宿に入った瞬間、ブワッと硫黄の香りが身体中を包み込みます。
温泉
浴場に足を踏み入れると、ふわっと湯けむりが立ち込め、幻想的な雰囲気が感じられました。
ガラスで仕切られたプライベート感ある洗い場で、しっかり体を洗って、いざ入浴!
温泉は内湯の大浴場と露天風呂の2種類があり、岩室温泉随一の広さを誇ります。
内湯に体を沈めると、豊かな緑の庭が目の前いっぱいに広がっており、森林浴をしているかのような開放感が味わえます。
落ち着く硫黄の香りに包まれながら、旅の思い出に浸り、ゆったりと体を温めます。
体温が上がってきたら、いよいよ露天風呂へ。
新潟の夜風に吹かれながら、露天風呂へ向かうと、湯けむりとともに柔らかいお湯に出迎えられホッと一息。夜だったにも関わらず、みるみるうちに身体の芯からポカポカと温まり、夜風が心地よく感じられるように。
また、お風呂から上がった後に足裏を見てみると、硫化鉄の黒い付着物も発見!
岩室温泉から“お土産”がもらえたようで、心も体もホクホクの温泉体験となりました。
食事
■夕食
入浴後の腹ペコ筆者を出迎えてくれたのは、穂々が誇るプレミアム夕食「豪華・新潟満喫コース」のお料理たち。
夏は暑く、冬はグッと冷え込み、日本海にも面している新潟県は、海産物や農作物の宝庫なんだとか。
旬を活かした食材がずらりと並び、食欲がそそられます。
お食事の目玉は、ブランド牛・松上牛と、ブランド豚・越後もち豚の食べ比べしゃぶすき!
艶々のお肉たちを出汁に潜らせれば、自分だけのプライベートしゃぶすきが完成します。
柔らかい肉質の松上牛と、上品な脂が楽しめる越後もち豚は、のどぐろの釜飯とともに贅沢にいただきました。
このほか、エビやマグロが入ったお造りや銀鱈の漬け焼き、越後味噌のお味噌汁など、米どころ・新潟ならではの“ご飯のお供”が盛りだくさんの夕食を楽しめました。
■朝食
朝食会場の外まで漂ってくる良い香りを追いかけると、寝起きの体に優しい温かい朝食が用意されています。
翡翠豆腐の湯豆腐や、新潟の郷土料理であるのっぺをはじめとして、ご飯が進む小鉢が6種類付いてきます。
朝食では、産地別のお米食べ比べバイキングを実施!
伊弥彦米、岩船、魚沼のコシヒカリが食べ比べでき、朝から新潟の恵みをたっぷり吸収できますよ。
アクセス
岩室温泉へのアクセスは、電車とバスを利用する方法、新潟空港から「新潟ウエストコートライナー」を利用する方法など、いくつかの方法があります。
新潟駅と新潟空港のどちらを利用するかによって、アクセスの良し悪しが変わるため、詳しくご紹介します。
【首都圏からのアクセス】上越新幹線+バス
まず、上越新幹線で新潟駅まで移動します。東京からは、最速列車の場合1時間半、各駅停車の場合は2時間15分ほど。
大阪や広島方面から来る場合でも、一度東京や大宮までアクセスする必要があります。
新潟駅に着いてからは、JR越後線に乗り換えて岩室駅で下車。岩室駅からは路線バス(巻~和納~岩室~間瀬線)に乗車し、岩室温泉で下車します。
新潟駅を発車してからバス停の岩室温泉までは、およそ1時間半ほどでアクセスできます。
また、積雪のない4月下旬から10月下旬までの土日祝日限定で、岩室温泉がある新潟県新潟市西蒲区を周遊できる「にしかん観光周遊ぐる〜んバス」も運行。
温泉街を中心に、だいろの湯や彌彦神社、カーブドッチワイナリーなど、西蒲区の観光名所を周遊できます。
1日500円のフリーパスで、リーズナブルに岩室温泉街を楽しみ尽くせます。
【新潟空港からのアクセス】飛行機+新潟ウエストコーストライナー
新潟空港から岩室温泉へアクセスする場合は、新潟ウエストコーストライナーの利用がおすすめです。
新潟ウエストコーストライナーは、事前予約制の乗り合いタクシーのこと。片道1人あたり3,000円で利用でき、「新潟ワインコースト」や「彌彦神社」などの観光スポットも巡れます。
【台湾からのアクセス】台湾桃園国際空港から新潟空港
月曜日と金曜日限定で、台湾桃園国際空港から新潟空港への直行便が出ています。所要時間は4時間ほどで、台湾から簡単に新潟へアクセスが可能。新潟空港からは、上記でご説明した新潟ウエストコーストライナーにて岩室温泉まで向かいましょう。
金曜日に出発し、翌週月曜日の直行便で帰国すれば、3泊4日の贅沢な新潟旅が楽しめるでしょう。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。