【静岡・伊豆】「いずタビPickUp!レポ」~修善寺温泉人力車体験編~
伊豆のいいコト・いいモノを完全な独自目線でしたためる 今回は「伊豆半島で唯一」の俥夫さんに修善寺温泉を観光人力車でご案内いただいた
「いずタビPickUp!」は、静岡県伊豆市の体験や特産品を購入できるウェブサイトです。
「いずタビPickUp!レポ」では、「いずタビPickUp!」に掲載されているところへ足をはこび、感じたことや体験したことをしたためます。
修善寺温泉における人力車のスタート地点。
修善寺温泉の入り口には老舗旅館の菊屋とバス停がある。そこから続く道は緩く続くカーブで、その先にはいくつか店が見え、「いよいよ温泉街だ」と気持ちが高鳴る。乾燥しいたけ専門店、ギフトショップ、喫茶店を横目に日枝神社を過ぎれば目の前に開ける景色がまさに修善寺温泉街の中心だ。
そこには温泉街のシンボルでもある赤い橋と風情ある建物に溶け込むように、人力車があることを発見できるだろう。
伊豆半島唯一の俥夫(しゃふ)
「島ちゃん」という愛称で親しまれる島川さんは、伊豆半島で唯一の俥夫(しゃふ)さんだ。(※俥夫…人力車の運転手。俥は人力車を意味する。)相棒の人力車と一緒に赤い橋に島ちゃんは居て、いつでもここを起点に修善寺温泉街を風のごとく走っていく。
今回は島ちゃんが運転してくれるこの人力車に乗りたくて楽しみにしてきた。そう、単に人力車が乗りたかったんじゃなくて、彼に案内して欲しかったのだ。
島ちゃんと言えば修善寺温泉では知らない人はいないくらいこの町を愛している人。当人は至って謙虚だから、きっと「知らない人がいないなんて、そんなことはないです!」と言いそうだけど。それもまた島ちゃんの良いところで愛される理由なのは間違いない。
さて今回は「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で2つ星を獲得した「竹林の小径」も走ってくれる豪華な30分コースをお願いすることにした。
はじめて人力車に乗る
私はといえば、修善寺温泉の景色の一部として彩りたくて、温泉場入り口にある「街ナビゆるり」さんで着付けをしてもらった。準備はばっちりだ!
いざ人力車に乗ろうとすると不慣れな着物で足元が不安だったが…島ちゃんのエスコートがあれば心配ない。踏み台を用意してくれて、手荷物のサポートもしながら側で見守ってくれている。
修善寺温泉街は若者にとってはコンパクトでちょうどいいサイズの町だが、ご高齢の方にはまぁまぁな距離と感じたり、少々厳しい坂道があったりする。
島ちゃん曰く、温泉場では次のような場面に出くわすことがあるらしい。ご高齢の夫婦が、娘さんや息子さんに向かって「私たちはここで待っているから行っておいで。」と口にする場面だ。折角の家族旅行なのに一緒に周れない…ちょっとだけなんだか寂しい。もちろん気持ちはわかるけど…。
そんな時には人力車の出番である!!ご両親は島ちゃんの人力車に乗車。普段よりも少し高い位置から優雅に街並みを通り抜け、傍らで娘さん・息子さんが一緒に歩く、こんな最高の想い出づくりはなかなか無いんじゃない?と想像した。
法被
島ちゃんの出身は実は東京だ。2018年に伊豆半島の西側にある松崎町に移住。そこで人力車と出会い俥夫として仕事をすることを選んだ。松崎町で人力車をスタートさせたこともあり、トレードマークの法被には“人力車伊豆松崎組”と書かれている。私は「修善寺で活動しているのに、なんで松崎なんだろう?」と疑問を持ったのだが、話を聞いていると、それはまったく島ちゃんらしいと思えてきた。島ちゃんはその土地にいる人たちが大切にしてきたモノやコトはとても尊いし、愛おしいんだという純粋なまごころをもっている。彼にとって法被の文字は単に文字ではない。この人力車を取り巻く人々、関わった人々、それにまつわるストーリー、街並み、思い出そのもので、“それ”を着ているという島ちゃんなのだ。
人力車って見ても乗っても非日常!
先ほども少し触れたが、人力車は座ったまま、いつもより目線が高くなるというところが非日常だ。囲いが在るようで無くて、風をダイレクトに感じるため、体感速度が早く感じられてまるで鳥になった気がする。この人力車特有の目線が高くなるという贈り物は、車いすの方や、背の低い子供さんにも喜ばれるという。
島ちゃんは度々足を止めては、地元の人に聞かないと知れなかっただろうなぁというような話をしてくれる。景観のことであったり、昔の暮らしに関することだったり、歴史のことであったり。
個人的な観点だが、人力車に乗るなら竹林の小径コースをお勧めする。歩いても素晴らしい場所なのはもちろんだが、鮮やかな緑の空間をこの人力車で抜けられるのは優越感と特別感でいっぱいになる。この空間で人力車に乗った姿を写真に収められるのも素晴らしい思い出になることは間違いない。
島ちゃんの話で私に印象に残ったものを1つだけ。(もっと言いたいけど抑えておこう。)赤い桂橋の上で右側(上流)と左側(下流)では違うところがあると説明がはじまった。どれどれと目をやると確かに石の積み方が違う。私から見て左側の上流の石積みはおよそ100年前に作られたもので、今はもう作ることが出来ない貴重なものだそうだ。「上流と下流では石積みだけでなく、川の音も違うんですよ。」とせせらぎに耳を傾ければ確かに川音が違う。目と耳両方にこの土地の歴史と感動を届けてもらった。
さぁ、スタート地点に戻ってきた。あっという間の30分であった!
魅力が詰まった修善寺温泉。人力車という特別な空間を大切な誰かに、またはご自身にプレゼントされてみてはいかが?忘れられない素敵な思い出になること間違いなし!
📷2024年10月11日撮影
人力車伊豆松崎組
修禅寺門前の赤い橋(虎渓橋)のたもとで待機しています。
この記事の制作者
📷: 齋藤洋平│観光カメラマン
この記事で訪れた場所
伊豆市インバウンド推進プロジェクトチーム(通称「IIP」)は、伊豆の観光資源を活かした魅力ある国際観光地を目指し、伊豆市への外国人観光客の誘致や受け入れ体制の整備等を促進することを目的として設置した組織です。 伊豆市は、自然と農業が豊かで、温泉や海水浴場、山岳地帯など、様々な観光スポットがあります。また、東京から電車で約2時間とアクセスが良く、日帰り観光や週末旅行にも最適な場所です。 【カバー画像に関する注意事項】 カバー画像は、伊豆市を彩る写真コンテスト入賞作品です。 撮影者:尾島 裕樹 作品名:「小雪(しょうせつ)を彩る」 カバー画像の無断転用及び複製を禁止します。 カバー画像の利用については、伊豆市観光情報サイトでご確認ください。