【長崎】海と山、異なる泉質を満喫できる雲仙温泉と小浜温泉へ行こう!

長崎県雲仙市には、異なる魅力を持つ2つの温泉地があります。ともに「国民温泉保養地」に登録されている雲仙温泉と小浜温泉の泉質の違いや、温泉の魅力を詳しくご紹介します。
雲仙(うんぜん)温泉と小浜(おばま)温泉は、ともに長崎県の島原半島に位置しており、半島西岸の海底深くにあるマグマだまりを熱源とする源泉が湧いています。
雲仙温泉・小浜温泉とは?
標高700メートルある山の雲仙温泉と、橘湾沿いの海辺の小浜温泉は、それぞれ異なる素晴らしい泉質で、山と海の豊かな自然環境も楽しめることから「国民温泉保養地」に登録されています。
山の「雲仙温泉」

雲仙温泉は日本で最初の国立公園「雲仙天草国立公園」内に位置し、四季折々の自然景観が楽しめる温泉地です。
泉質は強酸性の硫黄泉。殺菌作用が高く、皮膚病にも効果が期待できるといわれています。
雲仙温泉の歴史は古く、開湯は1300年以上前といわれています。標高が高いことから夏でも涼しく、かつては上海や香港に駐在する西洋の人々が船に乗ってわざわざ訪れる避暑地として賑わいました。

街を歩くと、クラシカルな建物や、クリーム色の壁と茶褐色の屋根で統一された温泉街の町並みに出会います。避暑地の洗練された雰囲気は今も健在で、のんびりとした雰囲気に癒されることでしょう。
海の「小浜温泉」

小浜温泉は橘湾に沿うように海岸線に面した温泉地。
マグマだまりに近いことから源泉は105度と高温です。およそ30カ所もある源泉からは1日あたり約1万5,000トンもの湯が湧き出ており、街のあちこちからもくもくと湯気を立ち上らせています。
泉質は塩化物泉で、湯に含まれる塩分が肌をコーティングすることで湯冷めしにくいといわれています。海沿いの立地を生かし、屋上に露天風呂を設けている旅館も多く、開放感たっぷりの温泉を楽しめます。


海岸線には長崎市内からのバスも走る国道が通っており、レストランや立ち寄り湯等も立ち並び賑やかな雰囲気。
小浜温泉周辺は美しい夕日が見られるスポットとしても知られており、オレンジ色に輝く海は忘れられないほど幻想的です。
温泉地の見どころ
1. 火山が生んだ絶景「雲仙地獄」(雲仙温泉)

雲仙温泉で絶対に訪れてほしいのが「雲仙地獄」です。
火山ガスが噴き出し、白く変色した岩肌や湯けむりが立ち込める、まるで異世界のような風景が広がります。この光景が日本人の地獄のイメージと近いため、「地獄(JIGOKU=HELL)」の名前がつきました。

地熱を利用した「足蒸し」や温泉の熱で温めた「温泉たまご」を楽しめるなど、温泉の恵みを感じられる場所です。
また、1627年~32年の雲仙では、多くのキリスト教信者が迫害を受け、殉教の地となりました。この地には、その悲しい歴史を伝える十字架がたてられています。
2. レトロな共同浴場「湯の里温泉共同浴場」(雲仙温泉)

100年以上の歴史がある「湯の里温泉共同浴場」は、町の人に愛される温泉のひとつ。
昔の日本ではお風呂がない家も多く、地域の共同浴場が重宝されていました。

時代が変わっても温泉に人々が集う文化は健在で、「湯の里温泉共同浴場」は地域の人々が気軽に集う社交場のような雰囲気が素敵です。
入浴料は大人200円で、タオルなどを購入することもできます。
3. 食事と温泉がセットで楽しめる「よしちょう」(小浜温泉)

小浜温泉でぜひ訪れたいのが、地元の名店「よしちょう」。昼から夜22時まで営業しており、海の幸をふんだんに使った料理や名物の麺料理「小浜ちゃんぽん」が楽しめます。

併設する日帰り温泉(大人400円)が、食事をすると無料で利用できるというユニークなサービスも魅力です。
4. 日本一長い足湯「ほっとふっと105」(小浜温泉)

小浜温泉には、日本一長い105メートルの足湯「ほっとふっと105」があります。源泉温度105度にちなんで名付けられたこの足湯は、海を眺めながらのんびりと温まることができます。

階段状の棚を温泉が流れる湯棚が近くにあり、湧き上がる真っ白い湯気は迫力満点!
ここでは温泉の蒸気を活かして、食材を蒸すこともできます。
5. 珍しい冷たい温泉「炭酸泉」(小浜温泉)

小浜温泉には、珍しい冷泉の「炭酸泉」があります。見た目はまるで熱湯のようにぼこぼこと湧いていますが、触るとひんやり。
この炭酸泉がある地区は「刈水(かりみず)」といい、綺麗な水が湧き出る地域。この炭酸泉も、そんな豊かな水の土地ならではの自然体験スポットです。
※入浴や飲泉はできません
小浜温泉のおすすめ宿「伊勢屋」

小浜温泉で宿泊するなら、創業350年以上の老舗旅館「伊勢屋」がおすすめ。自家源泉を持ち、豊富な湯量をふんだんに活用した大浴場が魅力です。

特に注目したいのが、壁一面に笹の枝がつるされている大浴場の「笹湯」。笹の枝に湯を通すことで、100度以上になる高温の源泉を適温に冷ます天然の温度調節装置として使われています。

湯の温度を下げるために温泉に水を加える方法もありますが、せっかくの温泉の成分が薄まらないよう、この方法が考案されたのだそうです。
笹湯よりさらに温度の低い浴槽もあるほか、各部屋には海に面した部屋風呂(温泉)もあり、体調や好みに合わせて選べます。

清潔に安全に温泉を楽しんでほしいという思いから、浴室も脱衣所も清潔に磨き抜かれています。蛇口など金属製の設備がさびていることがありますが、これは温泉の成分が強い証拠ですから安心してくださいね!
驚かされるのは湯上りの体の変化です。短時間入浴しただけでも、その保温効果は抜群で、体の芯からじんわり温まっていくのを体感することができました。
雲仙・小浜温泉へのアクセス
雲仙温泉や小浜温泉へは、長崎空港を起点に車またはバスで向かいます。
東京・大阪から長崎空港へ
東京(羽田空港)→長崎空港 約2時間
大阪(伊丹・関西国際空港)→長崎空港 約1時間20分
長崎空港からのアクセス
バス:長崎空港→諫早駅前(30分)→小浜温泉(50分)→雲仙温泉(25分)
長崎空港から諫早駅前まで行き、雲仙行きのバスに乗り換えます。雲仙温泉までは乗り換えなしで行くことができます。
長崎空港から諫早駅前までのバスの時刻表はこちら
諫早駅前から小浜温泉方面のバスの時刻表はこちら
車:長崎空港→小浜温泉(60分)→雲仙温泉(20分)
バスは本数が少ないため、利用する場合は事前に時刻表を確認するのがおすすめです!
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。